特殊清掃や遺品整理をしていると、とんでもない場所に貴重品が隠されていることがある。中には見てはいけないものを見つけてしまうことも……。
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに貴重品が見つかる場所について話を聞いた。
◆貴重品の“隠し場所”はさまざま
遺品整理をするときは事前にお客さんのヒアリングを大事にしているそうだ。
「どこまでのものまで処分していいか、買い取りにするかというのを事前に決めてから作業にはいります。なんでもかんでも捨てていくのは良くないと思うので。ご希望に合わせて残すものは残して、まとめて依頼主さまに送るとか、お金になりそうなものは買い取るとか。綿密に打ち合わせはしています」
現金などの貴重品が見つかる場所としてよくあるのはタンスの中だが、絶対に見つからない場所に隠しているケースもある。
「遺品整理中に、畳に堀コタツとして利用できそうな不自然な切れ目の部分があったので、なにか怪しいと思い、引っ張って開けてみたところ、貴重品を入れた金庫があったんです。
鍵も一緒だったので開けてみると現金と土地の権利書、株券、銀行の通帳などが出てきました。もちろん依頼主さんにお渡ししました。古い一軒家だとタンス以外にも畳の下や押入れの中から入れる屋根裏のスペースに隠してあることが多いですね」
◆なんてことない場所に大金が
貴重品の場所は絶対に見つからなさそうな場所か、目につく簡単な場所に置いてあるかのどちらかだ。
「和たんすを整理していたときに一個だけ引き出しが浅いものがあったんです。おや?と思い全て引き抜いてみると、奥にもうひとつ引き出しが隠されていて、現金などの貴重品が出てきました。これは気づかないで売ってしまったり、捨ててしまったりする場合もあると思いました。
女性の家を掃除していた時、たんすの中に入っていた着物の中から現金がでてきたことがありましたね。たんすはよくある貴重品の隠し場所です」
一方、認知症だった方の家を掃除していると、さまざまな場所に現金が散らばっている場合があるそうだ。そういったお金もきちんとまとめて依頼主に返すが、「なんてことない場所に大金が隠されている場合もあります」と鈴木さんは語る。
「普通にポンと置いてあるかばんを開けるとまたカバンが入っていて、中を見てみるとビニール袋に1000万円くらいの大金が入っていたことがあります。悪徳な業者だと依頼主に報告せずネコババする人たちもいるみたいで……。
他にも押入れの中に袋があって、持ってみたらずっしりと重い。最初はダンベルかなと思って開けてみると、金の延べ棒が何本も出てきたこともありました。今だと数千万円くらいの価値はあると思います。もちろん依頼主にお渡ししましたが、かなり驚いていましたね。金庫ではないところにしまっていてよかったのか?と思いました。泥棒が入ったら一発アウトだったと思います」
◆日本刀や銃が見つかることも
他にもよく見つかる貴重品としてはこのようなものがある。
「古い家屋を掃除していると机の中だったり、タンスの中だったりから必ず見つかるのが古いお札や古銭ですね。海外の紙幣が見つかることもあります。昔の人はものを捨てずに全てとっておくのでたくさん見つかりますね。こういうのも現金扱いになるので依頼主さまにお返しするようにしています」
代々と受け継がれているような古い家屋だと明治時代から使われている部屋があり、思いもよらないものが出てくることがある。
「戦争の時に使われたものだと思いますが、日本刀やら銃が出てきたこともありましたね。それは依頼主さまに連絡をして、警察を呼んで現場まで来てもらい、引き取ってもらいます」
歴史的に価値のあるものもちょくちょく出てくるという。
「江戸時代からあるような由緒正しい家を掃除していたら、甲冑が出てきたことがあります。これは買い取るわけにもいかないし、どうしようかということで依頼主に引き取ってもらいました」
◆明らかに動物のものより大きい骨が…
また、孤独死の現場を掃除しているとたまにお宝の山と言える現場に遭遇することもある。
「大量のゲーム機やら価値のありそうな機械やらが放置してある部屋を掃除したこともあります。そのまま売ったらかなり良い値段になると思うので、依頼主さまに買い取りという形でキャッシュバックをしました。また、立派な家を掃除しているとたまにあるのですが、象牙が出てきた時は厄介です。象牙は法律で取引許可証がないと売買ができないようで、依頼主さまに引き取ってもらいます」
最後に、偶然床下から出てきたという“とんでもないもの”を教えてもらった。
「何者かの骨がでてきたんです。かなりしっかりとした大きな骨で猫でもないし、犬でもなさそう。あきらかに動物の骨ではない感じです。これは触れないほうがいいと思い、そっと蓋を戻しました。
あくまで我々は床上の掃除を任されたので床下のことは関与しません。家を解体して更地にしない限りは真実が明らかになることはないと思いますが、依頼主さまにも黙っています。あの家が解体されるまで、床下で眠り続けているのではないでしょうか」
<取材・文/山崎尚哉>
【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦
都内を中心にさまざまな現場で特殊清掃を手がけるブルークリーン株式会社で働きながら、特殊清掃の実態を伝える登録者5万3000人以上のYouTubeチャンネル「特殊清掃チャンネル」を運営している鈴木亮太さんに貴重品が見つかる場所について話を聞いた。
◆貴重品の“隠し場所”はさまざま
遺品整理をするときは事前にお客さんのヒアリングを大事にしているそうだ。
「どこまでのものまで処分していいか、買い取りにするかというのを事前に決めてから作業にはいります。なんでもかんでも捨てていくのは良くないと思うので。ご希望に合わせて残すものは残して、まとめて依頼主さまに送るとか、お金になりそうなものは買い取るとか。綿密に打ち合わせはしています」
現金などの貴重品が見つかる場所としてよくあるのはタンスの中だが、絶対に見つからない場所に隠しているケースもある。
「遺品整理中に、畳に堀コタツとして利用できそうな不自然な切れ目の部分があったので、なにか怪しいと思い、引っ張って開けてみたところ、貴重品を入れた金庫があったんです。
鍵も一緒だったので開けてみると現金と土地の権利書、株券、銀行の通帳などが出てきました。もちろん依頼主さんにお渡ししました。古い一軒家だとタンス以外にも畳の下や押入れの中から入れる屋根裏のスペースに隠してあることが多いですね」
◆なんてことない場所に大金が
貴重品の場所は絶対に見つからなさそうな場所か、目につく簡単な場所に置いてあるかのどちらかだ。
「和たんすを整理していたときに一個だけ引き出しが浅いものがあったんです。おや?と思い全て引き抜いてみると、奥にもうひとつ引き出しが隠されていて、現金などの貴重品が出てきました。これは気づかないで売ってしまったり、捨ててしまったりする場合もあると思いました。
女性の家を掃除していた時、たんすの中に入っていた着物の中から現金がでてきたことがありましたね。たんすはよくある貴重品の隠し場所です」
一方、認知症だった方の家を掃除していると、さまざまな場所に現金が散らばっている場合があるそうだ。そういったお金もきちんとまとめて依頼主に返すが、「なんてことない場所に大金が隠されている場合もあります」と鈴木さんは語る。
「普通にポンと置いてあるかばんを開けるとまたカバンが入っていて、中を見てみるとビニール袋に1000万円くらいの大金が入っていたことがあります。悪徳な業者だと依頼主に報告せずネコババする人たちもいるみたいで……。
他にも押入れの中に袋があって、持ってみたらずっしりと重い。最初はダンベルかなと思って開けてみると、金の延べ棒が何本も出てきたこともありました。今だと数千万円くらいの価値はあると思います。もちろん依頼主にお渡ししましたが、かなり驚いていましたね。金庫ではないところにしまっていてよかったのか?と思いました。泥棒が入ったら一発アウトだったと思います」
◆日本刀や銃が見つかることも
他にもよく見つかる貴重品としてはこのようなものがある。
「古い家屋を掃除していると机の中だったり、タンスの中だったりから必ず見つかるのが古いお札や古銭ですね。海外の紙幣が見つかることもあります。昔の人はものを捨てずに全てとっておくのでたくさん見つかりますね。こういうのも現金扱いになるので依頼主さまにお返しするようにしています」
代々と受け継がれているような古い家屋だと明治時代から使われている部屋があり、思いもよらないものが出てくることがある。
「戦争の時に使われたものだと思いますが、日本刀やら銃が出てきたこともありましたね。それは依頼主さまに連絡をして、警察を呼んで現場まで来てもらい、引き取ってもらいます」
歴史的に価値のあるものもちょくちょく出てくるという。
「江戸時代からあるような由緒正しい家を掃除していたら、甲冑が出てきたことがあります。これは買い取るわけにもいかないし、どうしようかということで依頼主に引き取ってもらいました」
◆明らかに動物のものより大きい骨が…
また、孤独死の現場を掃除しているとたまにお宝の山と言える現場に遭遇することもある。
「大量のゲーム機やら価値のありそうな機械やらが放置してある部屋を掃除したこともあります。そのまま売ったらかなり良い値段になると思うので、依頼主さまに買い取りという形でキャッシュバックをしました。また、立派な家を掃除しているとたまにあるのですが、象牙が出てきた時は厄介です。象牙は法律で取引許可証がないと売買ができないようで、依頼主さまに引き取ってもらいます」
最後に、偶然床下から出てきたという“とんでもないもの”を教えてもらった。
「何者かの骨がでてきたんです。かなりしっかりとした大きな骨で猫でもないし、犬でもなさそう。あきらかに動物の骨ではない感じです。これは触れないほうがいいと思い、そっと蓋を戻しました。
あくまで我々は床上の掃除を任されたので床下のことは関与しません。家を解体して更地にしない限りは真実が明らかになることはないと思いますが、依頼主さまにも黙っています。あの家が解体されるまで、床下で眠り続けているのではないでしょうか」
<取材・文/山崎尚哉>
【特殊清掃王すーさん】
(公社)日本ペストコントロール協会認証技能師。1992年、東京都大田区生まれ。地元の進学校を卒業後、様々な業種を経験し、孤独死・災害現場復旧のリーディングカンパニーである「ブルークリーン」の創業に参画。これまで官公庁から五つ星ホテルまで、さまざまな取引先から依頼を受け、現場作業を実施した経験を基に、YouTubeチャンネル「BLUE CLEAN【公式】」にて特殊清掃現場のリアルを配信中!趣味はプロレス観戦