昨今、注目が集まる50代転職。その活況から、ただ会社にしがみついていただけのスキルゼロ、コネゼロの負け組社員が参戦し、屍の山を築いている。しかし、この大多数の50代くすぶり社員でも転職を成功させ、年収増を狙える秘策が。その極意を探る。
◆スキルなし50男が年収増!
●赤木和夫さん(仮名・55歳)
転職前年収250万円
建設会社営業
↓200万円UP!
転職後年収450万円
警備員
「長く保険営業をやったあと転職を繰り返し、前職は一日14時間働いても手取り月収が17万円でした」
そう話すのは、千葉県在住の赤木和夫さん(仮名・55歳)だ。51歳のときに前職にあたる建設会社に就職。青天井に積み上がる給与形態に魅力を感じていたものの、契約が取れずに50代前半で、年収が最下点に達した。
「最後は基本給だけになって、事実上のクビ宣告をされました。そのタイミングで親の介護も始まって、早急に仕事に就きたく、なりふり構っていられない状況でしたね」
しかし、キャリアを積み重ねず、これといったスキルも持たない50代男の転職活動はかなり難しい。救いは独身だったこと。そこで、赤木さんは条件を「勤務地が家の近く」のみとし、その他条件にはこだわらない戦略に出た。
「あえて他人が嫌がる仕事から優先してチェックしていましたね。あまりやる人がいない仕事だったら受かるんじゃないかと……」
◆年収大幅アップの勝因は「開き直り」だった
「僕は自慢できるような資格も特別なスキルもない」と卑下する赤木さん。たしかに、50代転職で一番使えないとされている「営業スキル」を長年やってきただけに苦しいところだが、面接では「健康だけが取りえです」と各社に猛アピール。結果、転職活動を始めて1か月足らずで今の職場である警備会社に就職が決まったという。年収も250万円→450万円と+80%の大幅増である。
「開き直るしかなかったんですが、それが功を奏しましたね。周りには家族も友達もいないので、年収や境遇を比較する相手がいない。特に気にせず、今も与えられた仕事を全力で向き合うことができています」
唯一の条件である「家の近くの勤務地」も実現できた赤木さんの年収450万円は同世代の平均より低いが、他者と比較せず、自分の願いを叶えた彼の幸福度は高そうだ。
◆シニアジョブ中島康恵氏が解説するGood Point!
希望者は少ないが好条件の穴場企業への応募と誠実な人柄
人手不足の会社を狙ったのはとても効果的です。特に警備や介護職、最近では荷物のドライバーも常に人手不足な上に、未経験でも歓迎する企業がほとんど。その会社に求められていないスキルのアピールは逆効果になりますし、噓をついても結局はバレてしまうので「スキルはないけど健康です」という潔さも、赤木さんが功を奏した要因でしょう。誠実な人柄は中高年転職でも武器になります。
◆50代になったら転職先の年収は生涯年収で考える
50代以降の転職を考える際に、目先の収入よりも生涯年収の考え方にシフトすべき」
そう話すのは中高年の転職を多くサポートする前出の中島氏。
「定年後の再雇用時の給与や働ける年齢上限は企業により大きく異なります。そのため50代以降の職探しは今後いかに長く働けるかも重要な要素になります」
長く現役でいられる職場選択をすることで生涯年収が増え、今後の生活がより豊かなものになるという。
「転職は年齢を重ねるほど狭き門に。現職の条件があまりよくない場合は転職も検討すべきです。早期に手を打てば長く働けて、生涯年収が増える可能性が高いですよ」
先を見据えた早めの選択で生涯現役を目指すべし!
◆転職したほうがいい50代チェックリスト
□給料が30%以上減額された
転職により減額前と比較した下がり幅を押さえられる可能性が上がってくる。
□65歳未満で雇用が切られる
生涯年収を上げるにはできるだけ長く働ける職場を選択する必要がある。
□同世代以降の現職種の求人募集が減少
高齢になるほど転職難易度は上がるため、今のうちに職種を変える選択も。
□想定される定年後が現在の生活スタイルではない
親の介護など生活拠点に変化が伴う場合は早期の決断で職の選択肢が広がる。
【シニアジョブ代表 中島康恵氏】
’14年に同社を設立。50代以上のシニア求人に特化した転職支援を行う。日刊SPA!ではシニアの転職・キャリアなどをテーマに連載中
取材・文/週刊SPA!編集部
―[負け組50代転職の極意]―
◆スキルなし50男が年収増!
●赤木和夫さん(仮名・55歳)
転職前年収250万円
建設会社営業
↓200万円UP!
転職後年収450万円
警備員
「長く保険営業をやったあと転職を繰り返し、前職は一日14時間働いても手取り月収が17万円でした」
そう話すのは、千葉県在住の赤木和夫さん(仮名・55歳)だ。51歳のときに前職にあたる建設会社に就職。青天井に積み上がる給与形態に魅力を感じていたものの、契約が取れずに50代前半で、年収が最下点に達した。
「最後は基本給だけになって、事実上のクビ宣告をされました。そのタイミングで親の介護も始まって、早急に仕事に就きたく、なりふり構っていられない状況でしたね」
しかし、キャリアを積み重ねず、これといったスキルも持たない50代男の転職活動はかなり難しい。救いは独身だったこと。そこで、赤木さんは条件を「勤務地が家の近く」のみとし、その他条件にはこだわらない戦略に出た。
「あえて他人が嫌がる仕事から優先してチェックしていましたね。あまりやる人がいない仕事だったら受かるんじゃないかと……」
◆年収大幅アップの勝因は「開き直り」だった
「僕は自慢できるような資格も特別なスキルもない」と卑下する赤木さん。たしかに、50代転職で一番使えないとされている「営業スキル」を長年やってきただけに苦しいところだが、面接では「健康だけが取りえです」と各社に猛アピール。結果、転職活動を始めて1か月足らずで今の職場である警備会社に就職が決まったという。年収も250万円→450万円と+80%の大幅増である。
「開き直るしかなかったんですが、それが功を奏しましたね。周りには家族も友達もいないので、年収や境遇を比較する相手がいない。特に気にせず、今も与えられた仕事を全力で向き合うことができています」
唯一の条件である「家の近くの勤務地」も実現できた赤木さんの年収450万円は同世代の平均より低いが、他者と比較せず、自分の願いを叶えた彼の幸福度は高そうだ。
◆シニアジョブ中島康恵氏が解説するGood Point!
希望者は少ないが好条件の穴場企業への応募と誠実な人柄
人手不足の会社を狙ったのはとても効果的です。特に警備や介護職、最近では荷物のドライバーも常に人手不足な上に、未経験でも歓迎する企業がほとんど。その会社に求められていないスキルのアピールは逆効果になりますし、噓をついても結局はバレてしまうので「スキルはないけど健康です」という潔さも、赤木さんが功を奏した要因でしょう。誠実な人柄は中高年転職でも武器になります。
◆50代になったら転職先の年収は生涯年収で考える
50代以降の転職を考える際に、目先の収入よりも生涯年収の考え方にシフトすべき」
そう話すのは中高年の転職を多くサポートする前出の中島氏。
「定年後の再雇用時の給与や働ける年齢上限は企業により大きく異なります。そのため50代以降の職探しは今後いかに長く働けるかも重要な要素になります」
長く現役でいられる職場選択をすることで生涯年収が増え、今後の生活がより豊かなものになるという。
「転職は年齢を重ねるほど狭き門に。現職の条件があまりよくない場合は転職も検討すべきです。早期に手を打てば長く働けて、生涯年収が増える可能性が高いですよ」
先を見据えた早めの選択で生涯現役を目指すべし!
◆転職したほうがいい50代チェックリスト
□給料が30%以上減額された
転職により減額前と比較した下がり幅を押さえられる可能性が上がってくる。
□65歳未満で雇用が切られる
生涯年収を上げるにはできるだけ長く働ける職場を選択する必要がある。
□同世代以降の現職種の求人募集が減少
高齢になるほど転職難易度は上がるため、今のうちに職種を変える選択も。
□想定される定年後が現在の生活スタイルではない
親の介護など生活拠点に変化が伴う場合は早期の決断で職の選択肢が広がる。
【シニアジョブ代表 中島康恵氏】
’14年に同社を設立。50代以上のシニア求人に特化した転職支援を行う。日刊SPA!ではシニアの転職・キャリアなどをテーマに連載中
取材・文/週刊SPA!編集部
―[負け組50代転職の極意]―