ジャニー喜多川氏の性加害問題を皮切りに、旧「ジャニーズ事務所」は「SMILE-UP.」という会社名に変更。新たに「STARTO ENTERTAINMENT」というマネジメント事務所が誕生したほか、退所したタレントは「TOBE」や各々の個人事務所に所属することになった。
ジャニー氏問題の余波を受けて、一時歌番組への出演は減少したものの、俳優業では各タレントをドラマや映画、舞台などで目にする機会はいまだに多い。
その理由として彼らの知名度やスター性はもちろん、パフォーマンスで鍛え上げられた表現力の高さを挙げる業界人も少なくない。
そんな“旧ジャニーズ”俳優であるが、彼らの中には使いたい、使いたくない俳優がいるという。リアルな声を現場に関わる人物たちに聞いてみた。
◆『西園寺は家事をしない』でも話題の演技派 SixTONES・松村北斗
キー局のドラマ部で働き、現在はフリーのプロデューサーを務めるA氏は語る。
「業界人がこぞって使いたいと思っているのは、松村北斗(SixTONES)さんでしょう。ドラマ『カムカムエヴリバディ』(NHK)や映画『キリエのうた』、『夜明けのすべて』、最近では『西園寺さんは家事をしない』(TBS)に出演。
来年には新海誠監督のアニメ『秒速5センチメートル』の実写版で主人公にも抜擢されるなど、引っ張りだこですから。
彼の魅力はクールながら飾らないルックスと卓越した演技力。自然体な表情やセリフ回しで不器用なキャラクターから変わり者の役柄までを演じ分ける能力は、現役“旧ジャニ俳優”ではトップレベルだと思います。
現場でも監督に率先して演技について相談しており、役への探求心も強く、彼が演じれば間違いないという信頼感もある」
数年先までオファーが決まっているという旬の演技派・松村北斗。一方で、A氏が使いたくない俳優とは?
◆注文が多すぎて評判低下の嵐・松本潤
「松本潤(嵐)さんですかね。国民人気者になったからなのか、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)では、自身が演じた徳川家康のセリフをたびたび変更するように指示するなど、やや傍若無人なところが目に付くようになったことはテレビマンの間では有名です。
役柄も、『花より男子』(TBS)で演じた道明寺司のようなクセの強いキャラクターは適役ですが、繊細な演技はうまいとは言い難い。近年のドラマは映画的な演出をするものが増えているので、松本さんを主役に抜擢しづらいのもあります」
また、A氏は他にも使いたくない俳優を挙げてくれた。
「『先生さようなら』(日本テレビ)や『青島くんはいじわる』(テレビ朝日)などに出演していた渡辺翔太(Snow Man)さん。見た目の華はあるのですが、表情やセリフに抑揚がなく、役柄に感情移入をしづらいです。
今後演技経験が増えてくれば実力も伴ってくると思うのですが、今のところは主役級のキャストとして使うのは厳しいですかね」
SNSでも視聴者から「演技がちょっと……」「原作のキャラと違う」といった声も多い渡辺翔太。今後、成長を遂げて飛躍することはあるのか。
◆大人の品格と秘めた狂気に惹きこまれる稲垣吾郎
映画や配信ドラマを担当する映像ディレクターのB氏にも話を伺った。
「使いたいのは、元SMAPの稲垣吾郎さん。どこか影がありミステリアスな役どころは相変わらず素晴らしいものを持っていますし、近年はいわゆる“普通”の人間を多く演じていて、それが見事としか言いようがない。
映画『正欲』で演じた父親役では上品さとともに、普通の人が時折垣間見せる狂気をあまりにもリアルに表現されていました。主役はもちろん、脇役でも存在感を発揮してくれそうな稲垣さんはぜひ一度使ってみたい」
円熟味を増す元・国民的グループの一員・稲垣吾郎。現在は映画出演が多いが、テレビドラマで再び活躍する日も近そうだ。
◆目で喜怒哀楽を表現できるなにわ男子・道枝駿佑
さらに、B氏は若い女性に圧倒的な支持を得るメンバーにも太鼓判を押す。
「個人的に使いたいのは、関西ジャニーズJr.時代から演技経験が豊富な道枝駿佑(なにわ男子)さん。王子様のような甘いルックスを持っているだけでなく、演技も光るものがある。
『マイ・セカンド・アオハル』(TBS)や『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日)では、セリフこそまだたどたどしさはありましたが、表情の使い方や目で喜怒哀楽を訴えかける演技は“旧ジャニ俳優”の中でも唯一無二。何より努力家で研究熱心という評判も聞くので、一緒に仕事をしてみたい」
グループでも中心的存在の道枝駿佑だが、俳優業でもグループの先頭を走っていきそうだ。
◆キムタクブランドは崩壊寸前か
そんなB氏に、使いたくない俳優も聞いてみた。
「強いて言えば、元SMAPの木村拓哉さんになりますかね。かつての視聴率キングで、近年も『教場』シリーズ(フジ)、『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日)などのヒット作に出ていますが、50歳を超えた現在、“かっこいい”だけの演技だとどうしても役柄の幅が狭い。
できれば、中年男性の哀愁や苦悩を感じさせる演技をしてほしいと思っています。いつまでも“キムタクブランド”が通用するとは思えないので……」
日本を代表するスター俳優・木村拓哉も50歳を超えて岐路に立たされているようだ。
◆迫力に満ちた悪役を演じたら業界イチの森田剛
最後に、恋愛ものやサスペンスなどを幅広く手掛ける女性脚本家のC氏にも意見を聞いた。
「ぜひ使っていただきたいのは元V6の森田剛さん。若い頃から演技力に注目していましたが、映画『ヒメアノ~ル』や『インフォーマ』(関西テレビ)で見せた悪役っぷりは一度見たら忘れられないほど迫力に満ちていました。
ダークな役柄ばかりがフィーチャーされがちですが、どんな役柄も憑依的な演技をできる人だなと思っています」
◆大人のラブストーリーに向かない元King&Prince・平野紫耀
では、ラブストーリーを多く書いてきたC氏が使いたくない俳優とは?
「ファンの方には申し訳ないですが、元King&Princeの平野紫耀さん。端正な顔立ちとハスキーボイスのギャップは惹かれる部分もありますが、『クロサギ』(TBS)や映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』では抑揚のないセリフ、くどい表情の演技が気になってしまいました。
青春ラブコメでは輝くと思うのですが、大人向けのラブストーリーを演じてもらうのはつらいかもしれないです」
今なおドラマや映画に欠かせない“旧ジャニ俳優”たちだが、その評判は業界人によって千差万別のようだ。今後、出演が続く俳優もいれば、徐々に消えていく俳優もいるかもしれない――。
<ライター/木田トウセイ>
【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。
ジャニー氏問題の余波を受けて、一時歌番組への出演は減少したものの、俳優業では各タレントをドラマや映画、舞台などで目にする機会はいまだに多い。
その理由として彼らの知名度やスター性はもちろん、パフォーマンスで鍛え上げられた表現力の高さを挙げる業界人も少なくない。
そんな“旧ジャニーズ”俳優であるが、彼らの中には使いたい、使いたくない俳優がいるという。リアルな声を現場に関わる人物たちに聞いてみた。
◆『西園寺は家事をしない』でも話題の演技派 SixTONES・松村北斗
キー局のドラマ部で働き、現在はフリーのプロデューサーを務めるA氏は語る。
「業界人がこぞって使いたいと思っているのは、松村北斗(SixTONES)さんでしょう。ドラマ『カムカムエヴリバディ』(NHK)や映画『キリエのうた』、『夜明けのすべて』、最近では『西園寺さんは家事をしない』(TBS)に出演。
来年には新海誠監督のアニメ『秒速5センチメートル』の実写版で主人公にも抜擢されるなど、引っ張りだこですから。
彼の魅力はクールながら飾らないルックスと卓越した演技力。自然体な表情やセリフ回しで不器用なキャラクターから変わり者の役柄までを演じ分ける能力は、現役“旧ジャニ俳優”ではトップレベルだと思います。
現場でも監督に率先して演技について相談しており、役への探求心も強く、彼が演じれば間違いないという信頼感もある」
数年先までオファーが決まっているという旬の演技派・松村北斗。一方で、A氏が使いたくない俳優とは?
◆注文が多すぎて評判低下の嵐・松本潤
「松本潤(嵐)さんですかね。国民人気者になったからなのか、大河ドラマ『どうする家康』(NHK)では、自身が演じた徳川家康のセリフをたびたび変更するように指示するなど、やや傍若無人なところが目に付くようになったことはテレビマンの間では有名です。
役柄も、『花より男子』(TBS)で演じた道明寺司のようなクセの強いキャラクターは適役ですが、繊細な演技はうまいとは言い難い。近年のドラマは映画的な演出をするものが増えているので、松本さんを主役に抜擢しづらいのもあります」
また、A氏は他にも使いたくない俳優を挙げてくれた。
「『先生さようなら』(日本テレビ)や『青島くんはいじわる』(テレビ朝日)などに出演していた渡辺翔太(Snow Man)さん。見た目の華はあるのですが、表情やセリフに抑揚がなく、役柄に感情移入をしづらいです。
今後演技経験が増えてくれば実力も伴ってくると思うのですが、今のところは主役級のキャストとして使うのは厳しいですかね」
SNSでも視聴者から「演技がちょっと……」「原作のキャラと違う」といった声も多い渡辺翔太。今後、成長を遂げて飛躍することはあるのか。
◆大人の品格と秘めた狂気に惹きこまれる稲垣吾郎
映画や配信ドラマを担当する映像ディレクターのB氏にも話を伺った。
「使いたいのは、元SMAPの稲垣吾郎さん。どこか影がありミステリアスな役どころは相変わらず素晴らしいものを持っていますし、近年はいわゆる“普通”の人間を多く演じていて、それが見事としか言いようがない。
映画『正欲』で演じた父親役では上品さとともに、普通の人が時折垣間見せる狂気をあまりにもリアルに表現されていました。主役はもちろん、脇役でも存在感を発揮してくれそうな稲垣さんはぜひ一度使ってみたい」
円熟味を増す元・国民的グループの一員・稲垣吾郎。現在は映画出演が多いが、テレビドラマで再び活躍する日も近そうだ。
◆目で喜怒哀楽を表現できるなにわ男子・道枝駿佑
さらに、B氏は若い女性に圧倒的な支持を得るメンバーにも太鼓判を押す。
「個人的に使いたいのは、関西ジャニーズJr.時代から演技経験が豊富な道枝駿佑(なにわ男子)さん。王子様のような甘いルックスを持っているだけでなく、演技も光るものがある。
『マイ・セカンド・アオハル』(TBS)や『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日)では、セリフこそまだたどたどしさはありましたが、表情の使い方や目で喜怒哀楽を訴えかける演技は“旧ジャニ俳優”の中でも唯一無二。何より努力家で研究熱心という評判も聞くので、一緒に仕事をしてみたい」
グループでも中心的存在の道枝駿佑だが、俳優業でもグループの先頭を走っていきそうだ。
◆キムタクブランドは崩壊寸前か
そんなB氏に、使いたくない俳優も聞いてみた。
「強いて言えば、元SMAPの木村拓哉さんになりますかね。かつての視聴率キングで、近年も『教場』シリーズ(フジ)、『Believe-君にかける橋-』(テレビ朝日)などのヒット作に出ていますが、50歳を超えた現在、“かっこいい”だけの演技だとどうしても役柄の幅が狭い。
できれば、中年男性の哀愁や苦悩を感じさせる演技をしてほしいと思っています。いつまでも“キムタクブランド”が通用するとは思えないので……」
日本を代表するスター俳優・木村拓哉も50歳を超えて岐路に立たされているようだ。
◆迫力に満ちた悪役を演じたら業界イチの森田剛
最後に、恋愛ものやサスペンスなどを幅広く手掛ける女性脚本家のC氏にも意見を聞いた。
「ぜひ使っていただきたいのは元V6の森田剛さん。若い頃から演技力に注目していましたが、映画『ヒメアノ~ル』や『インフォーマ』(関西テレビ)で見せた悪役っぷりは一度見たら忘れられないほど迫力に満ちていました。
ダークな役柄ばかりがフィーチャーされがちですが、どんな役柄も憑依的な演技をできる人だなと思っています」
◆大人のラブストーリーに向かない元King&Prince・平野紫耀
では、ラブストーリーを多く書いてきたC氏が使いたくない俳優とは?
「ファンの方には申し訳ないですが、元King&Princeの平野紫耀さん。端正な顔立ちとハスキーボイスのギャップは惹かれる部分もありますが、『クロサギ』(TBS)や映画『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』では抑揚のないセリフ、くどい表情の演技が気になってしまいました。
青春ラブコメでは輝くと思うのですが、大人向けのラブストーリーを演じてもらうのはつらいかもしれないです」
今なおドラマや映画に欠かせない“旧ジャニ俳優”たちだが、その評判は業界人によって千差万別のようだ。今後、出演が続く俳優もいれば、徐々に消えていく俳優もいるかもしれない――。
<ライター/木田トウセイ>
【木田トウセイ】
テレビドラマとお笑い、野球をこよなく愛するアラサーライター。