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「ココス」の980円朝食バイキングは“酒のつまみ”にも最適!どう考えても満足度が高すぎたワケ

日刊SPA! 2024年10月3日 15時48分

 ちょっとだけ飲んでから帰りたいけど、わざわざ居酒屋に行くほどではない――。そんなときに重宝するのが「ちょい飲み」のお店だ。吉野家の「吉呑み」を筆頭に、最近ではファミレスやファストフード、大衆中華チェーンなどでもちょい飲みセットを提供するところが広がっている。
 日常的に酒場へ通い、酒にまつわる連載や本を多数執筆している酒場ライター・パリッコさん(@paricco)。普段は地元に密着していて、単独ではちょっと入りづらいような個人店を取り上げている彼に、ベタなチェーン店で飲んでもらう連載「パリッコのチェーン店ひとり酒」。

 第8回に取り上げるのは、ファミレスチェーン「ココス」。朝食バイキングの料理群を酒の肴に変えてしまうというコロンブスの卵的な店選びだが、パリッコさんの選択は?

◆幸せだった「ココス」モーニングの記憶

 以前家族で出かけた際、どこだったかの「ココス」で朝食バイキングを食べたことがあった。

 もう何年も前のことなので記憶はおぼろげだど、やたらと種類の多いおかずと、食べ放題のカレーにものすごくテンションが上がり、それまでほとんど入ったことがなかったこともあって、ココスってこんなにいいところだったんだ! と感動したことを覚えている。

 こういうシチュエーションの場合、たとえ朝であっても、僕ならばビールかワインの1杯くらいは頼むはず。その記憶がないということは、たぶん車で移動していたんだろう。それからしばらく、面目なくもココスのことはすっかり忘れて過ごしてしまっていた。けれどもこの連載が始まって、チェーン店のことを考える機会が増え、ふと思い出した。あの朝食バイキングをつまみに酒が飲めたら、最高に幸せなんじゃないだろうか!?

◆朝7時からのバイキングに酒の提供は?

 株式会社ココスジャパンは、東京都港区に本社を置く1978年設立(同い年だ!)のファミリーレストランチェーン。もともと「COCO’S」は、アメリカのレストランチェーンであり、日本では、そのコンセプトに基づくカリフォルニアスタイルのレストランとして1980年に1号店をオープン。現在は、ハンバーグやステーキ、パスタなどの洋食メニューに加え、和風の定食メニューなども充実しており、日本におけるファミレスとしてはオーソドックスなスタイルと言えるだろう。

 公式サイトを確認すると、朝食バイキングが提供されているのは、一部の限られた店舗のみらしい。

 それによると我が家からいちばん近いのは、東京都練馬区にある「平和台店」で、距離にしておよそ5km。そして、店舗によって異なるものの、平和台店の朝食バイキング提供時間は、土日祝日の午前7時から10時半(受付最終時間は10時)。

 うん、燃えてきた。開始時間の7時を目指し、コンディションをベストな状態に整えるため、徒歩で向かおう。早足で1時間もあれば着くだろう。そして空腹が最高潮になったところで、朝食バイキング飲みを始める。

 いちばん不安なのは、その時間にアルコールの提供がない可能性だ。これもまた、WEBで検索してみるといろいろな情報が出てくるので、店舗によって違うのかもしれない。かといって事前に電話し「あの、朝食バイキングの時間帯って、お酒飲めますかね……?」と聞くのもなんだかみっともないような気がして(それが目的なくせに)、いちかばちかもう行ってみることにした。

 というわけで、朝6時、酒を飲むために、5km先のココスを目指して歩きだす。

◆色とりどりの料理が食べ放題

 7時ほぼちょうどにココスに到着すると、情報どおり朝食バイキングが開催中。ファミレスで前払い制というのが新鮮だが、料金は980円(税込1,078円)。平和台店の詳細は以下のとおり。

・受付は、午前7時〜10時まで
・料理の陳列は、午前7時〜10時半まで
・席の利用は、11時半まで可
・利用できるのは、時間内で最大90分
・4歳から小学生までは580円(税込638円)で、3歳以下は無料
・内容は「お料理+プレミアムドリンクバー」

 さっそく空いている席に着き、バイキングコーナーを見にいってみよう。なんだか旅館やホテルにやって来たようなわくわく感もあり、すでに楽しい。

 料理の内容は日替わりらしいが、ソーセージやスクランブルエッグなどの定番に、サラダに、和風のおかずもある。ごはん、パン、中華麺や、みそ汁にコーンスープ。ごはんは白米と炊き込みごはんの2種類があって、そしてやった! ある! カレー! パンは専用のトースターで温めることもでき、僕はあんまり興味がないけれど、自分で作るワッフルをはじめとしたデザートコーナーもある。細かく見ていけば、納豆や玉子などのちょっとしたサイドメニューもぜんぜん酒のつまみになる。加えてドリンクバー。もはや慈善事業? ってくらいのお得さだ。

 朝早いにも関わらず、店内にはどんどんお客さんがやってきて、それぞれに思い思いのデッキを組んで食べている。全員の顔が、他の飲食店では見たことがないくらい、にっこにこなのも印象的だ。やっぱりバイキングには、バイキングでしか摂取できない幸福要素があるのだろう。

◆いくらなんでもお得すぎる

 おっと、そして肝心の酒。グランドメニューはテーブル上にある。注文用タッチパネルもある。願いを込めてタッチしてみると……いけた! 注文!

 念願のココス朝食バイキング飲みがついに始められることを確認し、満を持して料理コーナーへ。食べ放題の極意は、序盤によくばりすぎないことだ。6分割されたプレートに、食べたい料理を少しずつ盛る。

 内容は左上から、さば味噌煮、ソーセージ、コロッケ、なすと肉だんごの煮もの、スクランブルエッグ、からあげ。僕がよく行くような大衆酒場で換算しても、すでに完全に元がとれている。

 ではでは、朝によく似合う(?)角ハイボールで爽やかに始めていこう!

と思いきや、そうだそうだ、これは今日初めての食事でもある。最初に野菜も食べておいたほうがいいな。サラダもとってこよう。ついでにコーンスープも。

 こんどこそあらためて、ココスの朝食バイキングに乾杯!

 おろし玉ねぎがベースの和風醤油ドレッシングをかけてみたサラダ。大好きな海藻類やブロッコリーもとり放題なのが嬉しく、朝飲みのスタートにめちゃくちゃいい。甘めで濃厚な昔ながらの味わいのコーンスープも、思わずおかわりをしてしまった美味しさ。

 プレートに盛ったメイン料理たちは当然ハイボールに合い、そもそも僕は大食いタイプではないので、現時点でなんの心残りもないくらいに大満足だ。

◆2巡目のセレクトに最適な野菜料理が充実

 しかし、バイキング飲みは、むしろここからが本番とも言える。すでに腹八分目ほどになった状態から、どこまで満足度を高められるか。1巡目で気に入った野菜料理を中心に、2巡目のオリジナルおつまみプレートを作りに行こう。

 40代ともなると、こういうバイキングにおいていちばんありがたいのって、実は野菜類だったりする。ゆえに、チョイスはこういう方向性になりがち。いくらあっても困らないブロッコリーに、酒場でも定番のポテトサラダ、そして、1巡目でものすごく気に入った、じゅわっと味の染みたなすの煮びたしを盛り合わせた。このタイミングで、赤白どちらも220円(税込242円)というお手頃価格の「グラスワイン 白」も追加。

 つまみ不足の心配が一切ない状況で、野菜のおかずをつまみに白ワインを飲む朝。なんて優雅なんだろう……。これは、最高にもほどがあるぞ……。

 2巡目を堪能したら、まだ1時間も経っていないけど、もはやシメモード。ちょうど、ゆで玉子だと思って箸休め的に食べようとお盆にとっておき、割ってみたら生で、持て余していた玉子がある。こいつを残すわけにはいかないから、カレーの前に、軽盛りの玉子かけごはんでも食べておこうか。

◆至福の“シメカレー”作りに没頭

 最後にカレーは必ず食べるつもりだから、土台のごはんを炊き込みのほうにしてみた。結論、単体ではすごく美味しいけれど、玉子かけごはんにするならば白米のほうがよかったかもしれない。けれどももちろんまずいとかではなくて、こういう試行錯誤ができるのもバイキングの楽しさだろう。

 はい、ここで完全に満腹。それでも大好物のカレーだけは、食べないわけにはいかない。あともうひとつ、絶対に食べたかったけれどまだそこに至っていない、焼きそば。それと、福神漬け代わりのきゅうりの漬けものを少しずつ盛って、シメカレーを作りあげる。

 すると、このカレーがすごく好み。甘味と塩気が濃くて、スパイシーで、原型はないが、牛すじっぽい肉がたっぷり溶けこんでいる。ガツンとうまい。ごはんとの相性はもちろん、一緒に盛り合わせた焼きそばがカレー風味になって、良いつまみになる。

 というわけで、ここで本日は完全に終了。本気で最高だったな。ココスのモーニング飲み。どう考えても満足度が高すぎた。提供するお店が限られていたり、店舗によって値段や時間、内容にも違いがあるようだけど、ちょっと遠出になったとしても一度は行ってみる価値があるくらい、楽しくて優雅な時間を過ごさせてもらうことができた。

<TEXT/パリッコ>

※本記事に登場するメニュー、価格等は、すべて取材時点のもの。店舗によってモーニングの値段・内容は異なります。

【パリッコ】
1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco

―[チェーン店ひとり酒]―

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