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“いとこ同士で結婚”した夫婦の苦悩。優しい祖母に「穢らわしい」と言われ…親戚に認めてもらうまで「3年かかった」

日刊SPA! 2024年10月7日 15時52分

 結婚に関する日本の法律では、直系ではない4親等以上離れた親族間の結婚が認められている。そのため、いとこ同士での結婚が可能なのだが、距離の近さならではの苦悩もあるようだ。
 名取祐樹さん(仮名・29歳)は、父親が3人兄妹で、父方のいとこはふたりいるが、そのふたりが“いとこ婚”をしたのだという。結婚した宏明さん(仮名・29歳)と佳奈さん(仮名・32歳)と名取さんは歳が近く、家同士の距離も近いため、幼い頃から3人でよく遊ぶ仲だった。

◆結婚の報告は寝耳に水だった

「自分と佳奈ちゃんは活発で、ひろちゃんは大人しい性格だったので、ふたりでひろちゃんを連れ回して遊ぶような感じでした。大人になってからも3人で飲みに行ったりしていて仲が良かったんですが、結婚するとの報告を受けるまでは恋愛関係にあることを知らなくて……」

 だが、思い返してみると、布石となるような出来事は幼い頃にあったという。

「ひろちゃんは、小さい頃から佳奈ちゃんのことが好きで、自分はそのことをからかっていたりしていたんです。ただ、子どもの頃は、この手のことってあると思うんですが、まさか大人になって結婚することになるとは思ってもいませんでした」

◆祖母は「身内同士で結婚するなんて穢らわしい」と…

 恋愛関係に発展したきっかけは、3人で飲んでいる時に佳奈さんがふとこぼした一言だった。

「佳奈ちゃんが『最近、彼氏とうまくいってなくて』と話したことがあったんです。自分はただの興味本位で話を聞いていたんですが、ひろちゃんは、彼の浮気に原因があることを知ると、ガチで怒っていました。その後、相談するためにふたりで会うようになって、交際に発展したそうでした。そうして付き合うことにはなったものの、どこか後ろめたい気持ちもあり、誰にも話さずにいたそうでした」

 名取さんはふたりの結婚を祝福した。だが、親族の仲にはそうは思わない人物もいたようで……。

「父方の一族は、同じ家業をやっているんですが、それを取り仕切っているのが祖母なんです。みんなから慕われている存在で、父たちには厳しい面もありますが、孫の自分達には優しくて、怒られたことなんて一度もありませんでした。そんな祖母が、ふたりが結婚すると聞いて、『身内同士で結婚するなんて穢らわしい』と言って烈火の如く怒ったそうなんです」

◆家業で3年働き、認めてもらったものの…

 ふたりの親も認めてもらおうと奔走したが……。

「それぞれの両親が結婚を許して欲しいと頭を下げたそうですが、いっさい聞き入れてもらえませんでした。ふたりは親戚の集まりにも参加できなくなって、両親たちから『あきらめた方がいい』と言われてしまい……。佳奈ちゃんはショックで痩せ細ってしまうほどでした」

 その状況に奮起したのが宏明さんだった。

「ひろちゃんは働く姿を見てもらったら変わるのではと考え、仕事を辞めて家業で働き始めたんです。下っ端の仕事から始めて3年経って、ようやく結婚を認めてもらえた形でした。報告を受けた時は、自分ももらい泣きしてしまうくらいにうれしかったですね。ただ、佳奈ちゃんが楽しみにしていた結婚式は許可をもらえず、行うことはできませんでした……」

◆あらぬ誤解によって気まずい雰囲気が…

 困難を乗り越えての結婚だったので、ふたりは仲睦まじい結婚生活を送っていた。だが、ある年の正月に不安になる出来事があった。

「ひろちゃんがいつものように正月の親戚の集まりに参加したところ、佳奈ちゃんの両親の様子がひどく冷たかったそうなんです。しかも、ひろちゃんの両親にも冷たくて、不可解に思うほどだったそうで……」

 その理由は後に判明した。

「佳奈ちゃんは、ひろちゃんが職場の後輩と浮気しているのではないかと疑っていて、両親に相談していたらしいんです。それで態度が冷たかったそうでした。ひろちゃんは浮気なんてしていなかったので、誤解が解けて関係は元に戻ったんですが……。ひろちゃんはもしも離婚することになったら、同じ家業をやっていることもあり、家族を巻き込んだ大ごとになると不安に思っているそうです」

 距離が近いからこその難しさもありそうないとこ婚。ふたりには末長く幸せに暮らしてほしいと願うばかりである。

<TEXT/和泉太郎>

【和泉太郎】
込み入った話や怖い体験談を収集しているサラリーマンライター。趣味はドキュメンタリー番組を観ることと仏像フィギュア集め

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