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大谷翔平の“バットフリップ”が試合中断の引き金に?ヒートアップする「ライバル対決」の行方は

日刊SPA! 2024年10月8日 15時45分

 現地7日(日本時間8日)に行われたア・リーグの地区シリーズは、投手戦を制したタイガースとロイヤルズがそれぞれ勝利。これでナ・リーグの2カードを含めた全4カードが1勝1敗の五分となった。
 力と力がぶつかり合い、投手戦もあれば乱打戦もあるという見どころに満ちた今季のポストシーズン。どのカードも熱気ムンムンのなか行われているが、特にヒートアップしているのがナ・リーグ西地区のライバル対決となった「ドジャース対パドレス」である。

◆第2戦は球場が騒然とする事態に…

 ドジャー・スタジアムで行われた第1戦は、大谷翔平の活躍でドジャースが逆転勝利を飾ったが、第2戦はパドレスが投打でドジャースを圧倒。大谷はダルビッシュ有の前に仕事をさせてもらえず、レギュラーシーズンを含め、約3週間ぶりの無安打に終わった。

 そして、その第2戦はプレー以外の出来事も大きな話題となった。

 10分近い中断を強いられたのは、4-1とパドレスがリードして迎えた7回裏の直前。ダルビッシュが投球練習を終えようとした際に、レフトスタンドのドジャースファンとみられる人物が、パドレスの左翼手ジュリクソン・プロファーの方向にボールを投げ込んだのだ。その直前には現地テレビ局のカメラがレフトスタンドに向かって叫ぶプロファーの姿をとらえており、ドジャースファンとプロファーの間に何かしらのいざこざがあった様子。

 近くにいたファンのSNS投稿された動画によると、どうやらドジャースファンがプロファーから手渡しで受けとったボールをグラウンド上に投げ込んだことをきっかけに、他のファンもヒートアップ。そこからボールやゴミなど、さまざまものが投げ込まれたようだ。パドレスのマイク・シルト監督もプロファーの元に向かい、レフトスタンドを指さして吠える場面もあった。

◆プロファーのホームランキャッチが伏線か

 実は試合中、このハプニングに至る“いくつかの伏線”があった。まず、1回裏にドジャースのムーキー・ベッツが本塁打性の当たりを左翼に放ったが、プロファーが左手を伸ばしてこれを好捕。すると、プロファーが客席の方を向きながらピョンピョンと飛び跳ねて観客席から離れた。接触したファンとどういった会話があったかは不明だが、ドジャースファンはこれを煽りととらえた可能性がある。

 また6回表にドジャースの先発ジャック・フラーティに死球をぶつけられたフェルナンド・タティスJr.が憮然とした表情で一塁に歩くと、ドジャースのデーブ・ロバーツ監督をはじめ両軍ベンチから罵声が飛び交う事態に……。

 さらに次打者のマニー・マチャドが空振り三振に倒れると、フラーティが吠え、2人の間で舌戦が展開されると、両軍ベンチだけでなく、球場全体の緊張感も一気に高まった。そんなパドレスとドジャース、パドレスとドジャースファンの応酬が7回裏直前の中断につながったというわけだ。

◆現地ファンからは「大谷のバットフリップ」に対する声も

 ただ一部の現地ファンからは、初回にプロファーが見せたホームランキャッチ以前にも、この事態の引き金になる出来事があったと推測する声も上がっている。それが第1戦で大谷が本塁打を放った直後に見せたバット投げ、いわゆる“バットフリップ”である。

 時計の針を第1戦に戻すと、ドジャース先発の山本由伸が初回にパドレスの猛攻に遭い3失点。形勢不利となったドジャースを救ったのは他でもない大谷だった。

 3点のリードを許した2回裏の二死一、二塁の場面でこの日の第2打席を迎えた大谷は、4球目の高めストレートをひと振り。バットの芯でとらえた打球は一目散にライトフェンスを越えていった。打った瞬間に本塁打を確信した大谷は、バットを放り投げると、雄叫びを上げながら一塁へと走り出した。

 チームの危機を救う一発と気合のこもったバットフリップには日米で好意的な意見が寄せられた。「雄叫びとバット投げカッコよすぎるだろ」や「バットフリップとしては大谷翔平史上最大のパフォーマンスだった」といった声である。ただ一方で、「挑発行為と思われないか心配するくらい」とする日本のファンもXで散見された。

◆大谷のバットはパドレスベンチ方向へ

 改めて本塁打の映像を見ると、柵越えを確信した大谷が放り投げたバットはパドレスが陣取る一塁ベンチの手前まで転がっていったことがわかる。仮にこのパフォーマンスを見せたのが大谷ではなく“いわくつき”の打者なら、挑発行為と捉えられても不思議ではないだろう。

 現地でも大谷のバットフリップに対して好意的な意見が大半だが、反対の意見もないわけではない。「第1戦の大谷のバットフリップはあまり好きではなかった」「フィールド上で興奮を露わにするのは好きだけど、相手チームのダッグアウトに向けて放り投げるのはちょっと失礼だと思う」「大谷が1時間で稼ぐ額を1年で稼げない人(ボールボーイ)が、フィールドの反対側まで行ってバットを拾わなければならない」など、大谷に疑問を投げかける意見も少なからずあった。

 大谷をよく知る日本のファンは、あのバットフリップに悪意のかけらもないことは言わずもがな。ただし、結果的に第2戦のいざこざの小さな火種になっていた可能性も否定はできない。

◆注目の第3戦の行方は…

 舞台をサンディエゴに移して行われる第3~4戦も引き続き熱戦が期待される。第2戦で沈黙した大谷の打棒にも期待がかかるが、再び熱くなりすぎるようなら、突如としてパドレスベンチの“標的”になる危険性も秘めているといえるかもしれない。

 両チームにはプレーでファンを魅了し、報復合戦のような様相にだけはならないことを祈りたい。

文/八木遊(やぎ・ゆう)

【八木遊】
1976年、和歌山県で生まれる。地元の高校を卒業後、野茂英雄と同じ1995年に渡米。ヤンキース全盛期をアメリカで過ごした。米国で大学を卒業後、某スポーツデータ会社に就職。プロ野球、MLB、NFLの業務などに携わる。

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