恋人や夫婦、あるいはワンナイト狙いの男女など、さまざまな人たちが利用するラブホテル。しかし、時にはそこで思いもよらないハプニングに巻き込まれてしまうこともある。今回は、アプリでナンパした女性とラブホに行った結果、“まさかの珍ハプニング”に遭遇してしまった50代男性のエピソードを紹介する。
◆出張先の大阪でアプリナンパ
イベント企画運営、コスメの店舗販売のリーダー、集客アドバイザーとマルチに活躍するバツイチの宮永さん(仮名・52歳)は、50歳を過ぎてもナンパは日常茶飯事。倫理観よりも本能の赴くままに生きている。
しかし、コロナ禍以前の数年前にアプリで若い女性をゲットできたと喜んでいたら、「とんでもないことが起こった」という。場所は出張先の大阪。「美味しいお好み焼き屋を知りませんか。一緒に食べてくれる人を探しています」とマッチングアプリでナンパを呼びかけたのがきっかけだった。
「複数の女性達とアプリでやり取りをしているうちに、25歳の会社員と話が徐々に弾んでいったんです」
手ごたえを感じた宮本さん。その女性と大阪の繁華街で待ち合わせをすることになったという。現れた女性は、ミユキさんと言う名前で朝ドラのヒロインのような清楚な感じ、宮永さんの好みのタイプだった。
◆終電をなくしての一言で有頂天に
「彼女が勧めるお好み焼き屋に入りました。もっぱら話を聞くことに徹して、時には盛り上げたりしました。会社の人間関係に悩んでいたので解決のヒントを示唆すると、とても喜んでいましたよ。ただ、しめしめとほくそ笑んでいたこの時が一番幸せでした」
さらに話が弾んで、宮永さんが「行ってみたいバーが近くにあるんだけど、初めて行くので、そこにも一緒に行ってくれませんか」と誘ってみると、なんと女性側もOKの回答。
「移動したバーでももっぱら聞き役に徹し、相手を飽きさせないように努力を続けていました。深夜0時を回って閉店時間になり、店の外に出て『電車あるの?』と尋ねると、『終電が行ってしまったから、宮永さんが宿泊しているホテルに行きたい』と積極的になってくれたんです。これはラッキーだと有頂天になりました」
ところがその後、とんでもないことが起こった。
◆近くにあったラブホにチェックイン
「ミユキさんがうつらうつらしていたんで『眠いの?』と尋ねると『うん、大丈夫』と答えて、しゃきっとなりました。その様子から宿泊先のホテルではなく、近くにあったラブホテルにチェックインしました。しかし、彼女は率先して部屋に入ったのですが、すぐにベッドに倒れ込んで、そのままいびきをかいて寝てしまったんです」
あっけにとられてしまった宮永さん。そんなにお酒を飲ませた覚えはなく、酔いの気配もなかったのだが、とりあえず彼女の着衣の乱れを直して、紳士的に布団をかけたという。そして、ホテルのソファに寝っ転がり、目を覚ますのを待とうとした。
「すると今度はミユキさんから激しい歯ぎしりや寝言が聞こえて、うるさくて眠れないんです。そこで旅行用の携帯の耳栓をバッグから取り出してつけて『朝になったらチャンスが到来するかも』と期待しながら、そのまま僕も寝てしまいました」
ところが朝になると、さらに意外なことが起こった。
◆目の前に若い男が仁王立ち
「突然、腰や足に痛みを感じて起きました。蹴られたとわかると同時に、目の前に若い男が仁王立ちになって睨んでいたんです」
宮永さんが起き上がろうとすると、さらに二度、三度、蹴ってきたので「何をするんだ」と制すると、その男性は「お前こそ、彼女をコケにしやがって、なんやねん」と怒鳴ってきた。必死でドアのところまで逃れた宮永さんに男がつかみかかってくる。いつの間にか目を覚ましていた女性は椅子に座って、その様子を冷たい視線で見ていたという。
状況を察した宮永さんは男をはねのけてから、「ちょっと待て。誤解だよ。彼女が自分から僕の部屋に行きたいと言ったんだ。部屋に入るなり、ベッドに倒れ込んでいびきをかいて寝てしまった。だから何もなかったんだよ」と説明したが、男は「嘘つけ、このボケ! ミユキが襲われたと言っているぞ」とさらに掴みかかってきた。
「本当に誤解なんだよ、彼女に聞いてくれよ」と何度も誤解を解こうとしたが、若い男は首を横に振り、「警察に訴えられたくなかったら、ここで示談金を払え」と脅してきた。宮永さんはやっと事情を察した。彼女は美人局なのだ。その時、ある男のことが閃いた。
◆「大阪では二度とナンパしない」
「本当に何もしてないよ。でも示談金を要求するなら、弁護士に相談する」宮永さんはポケットからスマホを取り出して、ある男に電話をした。ある男とは弁護士ではなく、友達の作家だった。
幸いなことに作家の友達がすぐに電話に出た。こっそりと事情を説明し、「弁護士に相談すると言ったから、電話を替わるけど、いいかな」と言うと、友達は状況を察してくれた。そして弁護士になりすました作家の友達の言われるままに、若い男は自分のスマホを取り出して、友達の番号に電話をかけるとみるみるうちに表情が変わった。
「くそっ!と電話を切った男は、『有り金全部出せ! それで勘弁してやる』と言うので、ポケットから財布を出したら、小銭しかなかったんですよ。クレジットカードはバックの上げ底にあるもうひとつの財布に隠していたから、カードもなし。美人局の男女が関西弁で悪態をつきながら出て行ってくれました」
宮永さんも大急ぎでチェックアウトをして、東京に戻った。新大阪駅のホームから宮永さんは作家の友達に電話。後日、とっておきのディナーをご馳走すると約束をした。そして「大阪では二度とナンパしない」と心に誓ったという。
<取材・文/夏目かをる>
【夏目かをる】
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」
―[ラブホの珍ハプニング]―
◆出張先の大阪でアプリナンパ
イベント企画運営、コスメの店舗販売のリーダー、集客アドバイザーとマルチに活躍するバツイチの宮永さん(仮名・52歳)は、50歳を過ぎてもナンパは日常茶飯事。倫理観よりも本能の赴くままに生きている。
しかし、コロナ禍以前の数年前にアプリで若い女性をゲットできたと喜んでいたら、「とんでもないことが起こった」という。場所は出張先の大阪。「美味しいお好み焼き屋を知りませんか。一緒に食べてくれる人を探しています」とマッチングアプリでナンパを呼びかけたのがきっかけだった。
「複数の女性達とアプリでやり取りをしているうちに、25歳の会社員と話が徐々に弾んでいったんです」
手ごたえを感じた宮本さん。その女性と大阪の繁華街で待ち合わせをすることになったという。現れた女性は、ミユキさんと言う名前で朝ドラのヒロインのような清楚な感じ、宮永さんの好みのタイプだった。
◆終電をなくしての一言で有頂天に
「彼女が勧めるお好み焼き屋に入りました。もっぱら話を聞くことに徹して、時には盛り上げたりしました。会社の人間関係に悩んでいたので解決のヒントを示唆すると、とても喜んでいましたよ。ただ、しめしめとほくそ笑んでいたこの時が一番幸せでした」
さらに話が弾んで、宮永さんが「行ってみたいバーが近くにあるんだけど、初めて行くので、そこにも一緒に行ってくれませんか」と誘ってみると、なんと女性側もOKの回答。
「移動したバーでももっぱら聞き役に徹し、相手を飽きさせないように努力を続けていました。深夜0時を回って閉店時間になり、店の外に出て『電車あるの?』と尋ねると、『終電が行ってしまったから、宮永さんが宿泊しているホテルに行きたい』と積極的になってくれたんです。これはラッキーだと有頂天になりました」
ところがその後、とんでもないことが起こった。
◆近くにあったラブホにチェックイン
「ミユキさんがうつらうつらしていたんで『眠いの?』と尋ねると『うん、大丈夫』と答えて、しゃきっとなりました。その様子から宿泊先のホテルではなく、近くにあったラブホテルにチェックインしました。しかし、彼女は率先して部屋に入ったのですが、すぐにベッドに倒れ込んで、そのままいびきをかいて寝てしまったんです」
あっけにとられてしまった宮永さん。そんなにお酒を飲ませた覚えはなく、酔いの気配もなかったのだが、とりあえず彼女の着衣の乱れを直して、紳士的に布団をかけたという。そして、ホテルのソファに寝っ転がり、目を覚ますのを待とうとした。
「すると今度はミユキさんから激しい歯ぎしりや寝言が聞こえて、うるさくて眠れないんです。そこで旅行用の携帯の耳栓をバッグから取り出してつけて『朝になったらチャンスが到来するかも』と期待しながら、そのまま僕も寝てしまいました」
ところが朝になると、さらに意外なことが起こった。
◆目の前に若い男が仁王立ち
「突然、腰や足に痛みを感じて起きました。蹴られたとわかると同時に、目の前に若い男が仁王立ちになって睨んでいたんです」
宮永さんが起き上がろうとすると、さらに二度、三度、蹴ってきたので「何をするんだ」と制すると、その男性は「お前こそ、彼女をコケにしやがって、なんやねん」と怒鳴ってきた。必死でドアのところまで逃れた宮永さんに男がつかみかかってくる。いつの間にか目を覚ましていた女性は椅子に座って、その様子を冷たい視線で見ていたという。
状況を察した宮永さんは男をはねのけてから、「ちょっと待て。誤解だよ。彼女が自分から僕の部屋に行きたいと言ったんだ。部屋に入るなり、ベッドに倒れ込んでいびきをかいて寝てしまった。だから何もなかったんだよ」と説明したが、男は「嘘つけ、このボケ! ミユキが襲われたと言っているぞ」とさらに掴みかかってきた。
「本当に誤解なんだよ、彼女に聞いてくれよ」と何度も誤解を解こうとしたが、若い男は首を横に振り、「警察に訴えられたくなかったら、ここで示談金を払え」と脅してきた。宮永さんはやっと事情を察した。彼女は美人局なのだ。その時、ある男のことが閃いた。
◆「大阪では二度とナンパしない」
「本当に何もしてないよ。でも示談金を要求するなら、弁護士に相談する」宮永さんはポケットからスマホを取り出して、ある男に電話をした。ある男とは弁護士ではなく、友達の作家だった。
幸いなことに作家の友達がすぐに電話に出た。こっそりと事情を説明し、「弁護士に相談すると言ったから、電話を替わるけど、いいかな」と言うと、友達は状況を察してくれた。そして弁護士になりすました作家の友達の言われるままに、若い男は自分のスマホを取り出して、友達の番号に電話をかけるとみるみるうちに表情が変わった。
「くそっ!と電話を切った男は、『有り金全部出せ! それで勘弁してやる』と言うので、ポケットから財布を出したら、小銭しかなかったんですよ。クレジットカードはバックの上げ底にあるもうひとつの財布に隠していたから、カードもなし。美人局の男女が関西弁で悪態をつきながら出て行ってくれました」
宮永さんも大急ぎでチェックアウトをして、東京に戻った。新大阪駅のホームから宮永さんは作家の友達に電話。後日、とっておきのディナーをご馳走すると約束をした。そして「大阪では二度とナンパしない」と心に誓ったという。
<取材・文/夏目かをる>
【夏目かをる】
コラムニスト、作家。2万人のワーキングウーマン取材をもとに恋愛&婚活&結婚をテーマに執筆。難病克服後に医療ライターとしても活動。ブログ「恋するブログ☆~恋、のような気分で♪」
―[ラブホの珍ハプニング]―