今回は、ある男性会社員を悩ませている、ちょっと特殊な“社内ハラスメント”についてお伝えします。
◆悩んだ末の転職を決意
妻と2人の子供を持つ横溝さん(仮名・34歳)。大学を卒業して入社した会社は、主に水道管などのライフライン資材を製造するその分野では名の知れた老舗企業でした。2人目の子供を授かった時に東京郊外にマイホームを購入し、順風満帆な日々を送っていました。
「マイホームを購入した翌年くらいに、取引先の会社からヘッドハンティングされたんですよ。そう言ったら聞こえは良いかもしれませんが、会社規模はかなり小さくなりますし、どちらかというと一族経営みたいな会社なんです。でも、私を部長職に招いてくれると言い、給与も2倍ほどを約束してくれたので、妻に相談し、いろいろ悩んだ末転職を決意しました」
その会社の社長は女性で、創業者の孫にあたるそうです。規模が小さい分、アットホームなところがあり、社長の豪邸で休日BBQをしたりプチ社員旅行へ行くなど、楽しい日々を送っていました。
◆女性社長との距離感に違和感
横溝さんは、学生時代に山岳部に所属していたこともあり、社内のレクリエーションでは手際よい世話役を買って出ていたため、転職当時から社長に高評価を受けていたといいます。ただ、それが次第に違和感へ変わっていきました。
「社長は60歳過ぎですが、独身のせいか見た目も年齢より若く見えます。たぶん、奇麗な女性の部類に入ると思います。でも……」
横溝さんは、1カ月前に催された社内バーベキュー大会の準備の際、社長のふるまいが気になったといいます。
「前の晩にたまたま手が空いていたので、席の準備やバーベキューコンロのセッティングなどをしていたら、いきなり社長が現れて『横溝くん、いつも感心ね。助かるわ。こんな頑張り屋の男性がいたら、私も結婚してたかな』と、少し酔った感じで話し出したんです。ま、結局、その日は準備が終わったらすぐに帰宅したのですが、なんだか社長の距離感に違和感を覚えました」
◆断りきれなかった六本木での夜
「あれは、決算前のことでした。部下と一緒に在庫チェックのため倉庫で作業をしていた時、別の部下が『横溝さん、社長がすぐに部屋に来てくれとのことです』と言いに来て、作業をその部下に任せ社長室へ直行したんです。そうしたら、『ちょっと大切なお客様と六本木で会食するので、あなたも同席してほしいの』と言われ、帯同したんです」
会食の相手は、なんと前職の担当部長で、横溝さんの直属の上司にあたる人物でした。どうやら、近い将来のビッグプロジェクトに参画してほしいという内容でした。
「前職の上司にも会えましたし、会社にとっても良い知らせだったので、そのままけやき坂にあるホテルのバーでお酒を飲みました。最初は私も自制していたのですが、社長がお酒をどんどん勧めてくるので、断り切れずにいつの間にか泥酔していました」
その後、千鳥足で社長についていった横溝さんは、いつのまにかホテルのスイートルームに連れられ、そこで一線を超えてしまったといいます。
◆転職か服従か。家庭と会社の板挟み
六本木の夜を社長とともに過ごしてしまった横溝さんは、その後葛藤の日々が続いたといいます。いつの間にか肩書きも「社長室」となり、仕事内容もほとんどが秘書業務でした。
「あの夜の一件以降、私は特に変化なく接しているのですが、社長は私のことをまるで年下の彼氏のように扱うようになりました。それだけならまだ我慢できるのですが、最近では週に1回ほど、『横溝くん、今日残業大丈夫?』という合言葉でラブホテルに連行されるようになり、正直困っています」
給料は2倍になり、横溝さんの妻は喜んでいるらしいのですが、仕事以外のパワハラとセクハラに心中が穏やかでないのは確かなようです。
「社長に正直な気持ちを打ち明けるのであれば、会社を去る覚悟が必要なのは分かっています。でも、家のローンや、これから必要となる子供たちの教育費などを考えると、正直自分さえ我慢すればよいのか否か、真剣に悩む日々を送っています」
<TEXT/ベルクちゃん>
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
―[ラブホの珍ハプニング]―
◆悩んだ末の転職を決意
妻と2人の子供を持つ横溝さん(仮名・34歳)。大学を卒業して入社した会社は、主に水道管などのライフライン資材を製造するその分野では名の知れた老舗企業でした。2人目の子供を授かった時に東京郊外にマイホームを購入し、順風満帆な日々を送っていました。
「マイホームを購入した翌年くらいに、取引先の会社からヘッドハンティングされたんですよ。そう言ったら聞こえは良いかもしれませんが、会社規模はかなり小さくなりますし、どちらかというと一族経営みたいな会社なんです。でも、私を部長職に招いてくれると言い、給与も2倍ほどを約束してくれたので、妻に相談し、いろいろ悩んだ末転職を決意しました」
その会社の社長は女性で、創業者の孫にあたるそうです。規模が小さい分、アットホームなところがあり、社長の豪邸で休日BBQをしたりプチ社員旅行へ行くなど、楽しい日々を送っていました。
◆女性社長との距離感に違和感
横溝さんは、学生時代に山岳部に所属していたこともあり、社内のレクリエーションでは手際よい世話役を買って出ていたため、転職当時から社長に高評価を受けていたといいます。ただ、それが次第に違和感へ変わっていきました。
「社長は60歳過ぎですが、独身のせいか見た目も年齢より若く見えます。たぶん、奇麗な女性の部類に入ると思います。でも……」
横溝さんは、1カ月前に催された社内バーベキュー大会の準備の際、社長のふるまいが気になったといいます。
「前の晩にたまたま手が空いていたので、席の準備やバーベキューコンロのセッティングなどをしていたら、いきなり社長が現れて『横溝くん、いつも感心ね。助かるわ。こんな頑張り屋の男性がいたら、私も結婚してたかな』と、少し酔った感じで話し出したんです。ま、結局、その日は準備が終わったらすぐに帰宅したのですが、なんだか社長の距離感に違和感を覚えました」
◆断りきれなかった六本木での夜
「あれは、決算前のことでした。部下と一緒に在庫チェックのため倉庫で作業をしていた時、別の部下が『横溝さん、社長がすぐに部屋に来てくれとのことです』と言いに来て、作業をその部下に任せ社長室へ直行したんです。そうしたら、『ちょっと大切なお客様と六本木で会食するので、あなたも同席してほしいの』と言われ、帯同したんです」
会食の相手は、なんと前職の担当部長で、横溝さんの直属の上司にあたる人物でした。どうやら、近い将来のビッグプロジェクトに参画してほしいという内容でした。
「前職の上司にも会えましたし、会社にとっても良い知らせだったので、そのままけやき坂にあるホテルのバーでお酒を飲みました。最初は私も自制していたのですが、社長がお酒をどんどん勧めてくるので、断り切れずにいつの間にか泥酔していました」
その後、千鳥足で社長についていった横溝さんは、いつのまにかホテルのスイートルームに連れられ、そこで一線を超えてしまったといいます。
◆転職か服従か。家庭と会社の板挟み
六本木の夜を社長とともに過ごしてしまった横溝さんは、その後葛藤の日々が続いたといいます。いつの間にか肩書きも「社長室」となり、仕事内容もほとんどが秘書業務でした。
「あの夜の一件以降、私は特に変化なく接しているのですが、社長は私のことをまるで年下の彼氏のように扱うようになりました。それだけならまだ我慢できるのですが、最近では週に1回ほど、『横溝くん、今日残業大丈夫?』という合言葉でラブホテルに連行されるようになり、正直困っています」
給料は2倍になり、横溝さんの妻は喜んでいるらしいのですが、仕事以外のパワハラとセクハラに心中が穏やかでないのは確かなようです。
「社長に正直な気持ちを打ち明けるのであれば、会社を去る覚悟が必要なのは分かっています。でも、家のローンや、これから必要となる子供たちの教育費などを考えると、正直自分さえ我慢すればよいのか否か、真剣に悩む日々を送っています」
<TEXT/ベルクちゃん>
【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
―[ラブホの珍ハプニング]―