◆カレーチェーン3社の「カツカレー」を食べ比べてみた
子どもから大人まで大好きで、いくつになっても食べたくなる「カツカレー」。お腹と心を満たしてくれるメニューの代表格と言えるのではないでしょうか?
今回は、全国店舗数の多い大手カレーチェーン3社の「カツカレー」を食べ比べ。それぞれの店全体の概要・メニュー等の違いについてもまとめました。
なお、カツの重さを量るため、すべてテイクアウトにて実食。価格も「ライス普通盛り・辛さノーマル・テイクアウト」のものを記載しています(価格は地域・店舗により異なります)。
◆カレーチェーンの王道「CoCo壱番屋」
まずは「CoCo壱番屋」から。国内店舗数約1200軒を誇る、言わずと知れたカレーチェーンの代名詞的存在。基本となるポークをはじめ、ビーフ、ベジカレーなど5種類のカレーソースに、50種類以上のトッピング、20辛まで選べる辛さを自由に選んで、自分好みにカスタマイズできるのが最大の特色です。
それでは、「ロースカツカレー 1052円(税込)」を実食! ライスの量は普通サイズで300グラムと、かなりボリューミー。カツの重量は101グラムでした。
ほんのりとろみのあるルーは、塩気とまろやかさが同居し、複雑ながらやさしいスパイスの香味。「家庭の味」がコンセプトなだけあって、万人受けしやすい味といえます。米も少々硬めながら、オーソドックスな日本米。
しかし、ロースカツが物足りない印象。
自立するくらいの厚みがあるものの、衣が分厚く肉感にも乏しく、柔らかい噛み応えに逆に違和感を覚えました。辛さも控えめなので、「家庭的なカレーが食べたい」という場合にはうってつけだと思います。
◆マイカリー食堂はボリューム感がある一品
お次は「マイカリー食堂」。牛丼でおなじみの「松屋フーズ」が展開するカレー専門店です。単独店舗、松屋併設型、定食業態である松のや併設型の3種類があり、今回は松のや併設型の店舗でテイクアウトしました。
経営母体が大きいだけあり、カツカレーは他社と比べ200円以上安いなど、良心的な価格が目を引きます。ルーは今回実食したプレーンのほか、欧風カレーもセレクト可能です。
「ロースかつカレー 760円(税込)」のライスの量は、CoCo壱番屋の300グラムより若干少ない印象、しかしカツの重量は121グラムと、今回調べた3社のうち最安値ながら最重量でした。では実食。
さらりとしたルーは、スパイスのほか、野菜やフルーツも感じられる香り高さがあります。スプーンで運ぶと意外とココナッツのようなまろやかさがあり、塩味とガーリックの風味、あとからスパイスの香味と中程度の辛さが追いかけてきます。
◆カツの分厚さはあったものの…
ライスは丸みを帯び、硬めの炊き加減ながら水分をしっかり含んだ日本米。カツは自立するくらい分厚く噛み応えがありますが、肉の味は控えめ。
この日の揚げ加減もあったと思いますが、剣先立った衣の焦げ臭さが少々鼻に残りました。
トータルバランスの良さはあまり感じられなかったものの、「ボリューム感とコストパフォーマンスはバッチリ」です。辛さも一般的だと思いました。
◆「日乃屋カレー」はカレーとカツの相性抜群
最後は「日乃屋カレー」です。「始まり甘く、後より辛い、余韻残りしカレールウ」がキャッチコピーで、口当たりのハッキリとした甘さから、食べ進めるほどに辛くなってくる、ルーの独特な味わいが特徴です。
基本メニュー数は16種とさほど多くないものの、カツカレーを名物に掲げています。
では、「名物カツカレー 980円(税込)」の実食と参りましょう! カツの重さは101グラム。ライスの大盛りは無料で、普通盛りだと他社よりも少なめに設定されています。
持ち重りのする、どろっとしたルーは、リンゴなどフルーツとシナモン系の甘みが口当たりにハッキリと感じられます。そこからさらにひと口、ふた口とスプーンを運ぶとだんだん辛くなってくるのですが、これがけっこう辛い。ライスは、一般的な日本米よりも粒が若干長く、ぱらりと硬めで、どろりとしたルーとほどよいコントラストになっていました。
また、カツは分厚さこそないものの豚の脂身と赤身を両方感じられる、バランスの良い肉感。豚肉の甘みと衣の香ばしさが、甘みの立ったカレーと非常に好相性でした。
やはりルーの味わいが独特で、ノーマルでもわりと辛め。ここは好みが分かれるところと言えるでしょう。ただ、「全体のバランスがしっかりと考えられたカツカレー」という印象を受けました。
◆筆者の推しは「日乃屋カレー」!
同じカツカレーとはいえ、店のコンセプトやルーの味わいだけでなく、カツにもかなり大きな違いがあるのが意外でした。各社とも、そもそも目指す方向性が違っていそうなので、あくまで個人的な推しにはなりますが、今回は「日乃屋カレー」を選びました。3社の中では唯一、全体のバランスがしっかり計算されており、ルーもほかではなかなか味わえない一品だと思います。
マイカリー食堂は「圧倒的なコスパ」、CoCo壱番屋は「親しみやすさ」と、それぞれに良さがありました。
夏の疲れが抜けない身体に、カツカレーでガツンとエネルギー補給してみてはいかがでしょう?
文/川瀬章太
【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中
子どもから大人まで大好きで、いくつになっても食べたくなる「カツカレー」。お腹と心を満たしてくれるメニューの代表格と言えるのではないでしょうか?
今回は、全国店舗数の多い大手カレーチェーン3社の「カツカレー」を食べ比べ。それぞれの店全体の概要・メニュー等の違いについてもまとめました。
なお、カツの重さを量るため、すべてテイクアウトにて実食。価格も「ライス普通盛り・辛さノーマル・テイクアウト」のものを記載しています(価格は地域・店舗により異なります)。
◆カレーチェーンの王道「CoCo壱番屋」
まずは「CoCo壱番屋」から。国内店舗数約1200軒を誇る、言わずと知れたカレーチェーンの代名詞的存在。基本となるポークをはじめ、ビーフ、ベジカレーなど5種類のカレーソースに、50種類以上のトッピング、20辛まで選べる辛さを自由に選んで、自分好みにカスタマイズできるのが最大の特色です。
それでは、「ロースカツカレー 1052円(税込)」を実食! ライスの量は普通サイズで300グラムと、かなりボリューミー。カツの重量は101グラムでした。
ほんのりとろみのあるルーは、塩気とまろやかさが同居し、複雑ながらやさしいスパイスの香味。「家庭の味」がコンセプトなだけあって、万人受けしやすい味といえます。米も少々硬めながら、オーソドックスな日本米。
しかし、ロースカツが物足りない印象。
自立するくらいの厚みがあるものの、衣が分厚く肉感にも乏しく、柔らかい噛み応えに逆に違和感を覚えました。辛さも控えめなので、「家庭的なカレーが食べたい」という場合にはうってつけだと思います。
◆マイカリー食堂はボリューム感がある一品
お次は「マイカリー食堂」。牛丼でおなじみの「松屋フーズ」が展開するカレー専門店です。単独店舗、松屋併設型、定食業態である松のや併設型の3種類があり、今回は松のや併設型の店舗でテイクアウトしました。
経営母体が大きいだけあり、カツカレーは他社と比べ200円以上安いなど、良心的な価格が目を引きます。ルーは今回実食したプレーンのほか、欧風カレーもセレクト可能です。
「ロースかつカレー 760円(税込)」のライスの量は、CoCo壱番屋の300グラムより若干少ない印象、しかしカツの重量は121グラムと、今回調べた3社のうち最安値ながら最重量でした。では実食。
さらりとしたルーは、スパイスのほか、野菜やフルーツも感じられる香り高さがあります。スプーンで運ぶと意外とココナッツのようなまろやかさがあり、塩味とガーリックの風味、あとからスパイスの香味と中程度の辛さが追いかけてきます。
◆カツの分厚さはあったものの…
ライスは丸みを帯び、硬めの炊き加減ながら水分をしっかり含んだ日本米。カツは自立するくらい分厚く噛み応えがありますが、肉の味は控えめ。
この日の揚げ加減もあったと思いますが、剣先立った衣の焦げ臭さが少々鼻に残りました。
トータルバランスの良さはあまり感じられなかったものの、「ボリューム感とコストパフォーマンスはバッチリ」です。辛さも一般的だと思いました。
◆「日乃屋カレー」はカレーとカツの相性抜群
最後は「日乃屋カレー」です。「始まり甘く、後より辛い、余韻残りしカレールウ」がキャッチコピーで、口当たりのハッキリとした甘さから、食べ進めるほどに辛くなってくる、ルーの独特な味わいが特徴です。
基本メニュー数は16種とさほど多くないものの、カツカレーを名物に掲げています。
では、「名物カツカレー 980円(税込)」の実食と参りましょう! カツの重さは101グラム。ライスの大盛りは無料で、普通盛りだと他社よりも少なめに設定されています。
持ち重りのする、どろっとしたルーは、リンゴなどフルーツとシナモン系の甘みが口当たりにハッキリと感じられます。そこからさらにひと口、ふた口とスプーンを運ぶとだんだん辛くなってくるのですが、これがけっこう辛い。ライスは、一般的な日本米よりも粒が若干長く、ぱらりと硬めで、どろりとしたルーとほどよいコントラストになっていました。
また、カツは分厚さこそないものの豚の脂身と赤身を両方感じられる、バランスの良い肉感。豚肉の甘みと衣の香ばしさが、甘みの立ったカレーと非常に好相性でした。
やはりルーの味わいが独特で、ノーマルでもわりと辛め。ここは好みが分かれるところと言えるでしょう。ただ、「全体のバランスがしっかりと考えられたカツカレー」という印象を受けました。
◆筆者の推しは「日乃屋カレー」!
同じカツカレーとはいえ、店のコンセプトやルーの味わいだけでなく、カツにもかなり大きな違いがあるのが意外でした。各社とも、そもそも目指す方向性が違っていそうなので、あくまで個人的な推しにはなりますが、今回は「日乃屋カレー」を選びました。3社の中では唯一、全体のバランスがしっかり計算されており、ルーもほかではなかなか味わえない一品だと思います。
マイカリー食堂は「圧倒的なコスパ」、CoCo壱番屋は「親しみやすさ」と、それぞれに良さがありました。
夏の疲れが抜けない身体に、カツカレーでガツンとエネルギー補給してみてはいかがでしょう?
文/川瀬章太
【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中