深刻な人手不足が叫ばれる今、多くの職場が採用難にあえいでいる。そうしたなか、ひと昔前までは採用されなかったような“ヤバいバイト”が現場に大量発生しているという。常識やモラルが疑わしい人材でも雇わざるを得ない、壮絶現場の実態とは?バイトの横暴で疲弊する社員や店長、バイトリーダーたちを直撃!
◆薬を販売する薬剤師にもヤバいバイトが
都内で3店舗の薬局を経営する椎木直哉さん(仮名・51歳)がバイトとして雇うのは薬剤師。その採用もまた、苦戦を強いられている。
「そもそも薬剤師は飲食店の接客バイトなどと比べて絶対数が少ないので、1人募集して1人応募にくればいいほう。こちらが選べる状況ではありません」
薬剤師の採用はエージェント経由で行うのが一般的だというが、仲介料は1人あたり250万円ほどかかるそうだ。
「エージェントに大金を支払って雇ってもハズレ薬剤師は多い。そこで無料で募集できるハローワーク経由で採用しましたが、これも失敗でした。薬剤師の免許はあるけど、調剤経験がないという60代の人で、結局3か月で辞めてしまいました」
また、彼らを雇用する上での悩みもつきない。
「彼らはプライドと時給が高すぎる。時給2500円と地方のキャバ嬢よりいい給料をもらっているにもかかわらず、雇われているという感覚がないようで常に態度が高圧的です。患者さんに対してもきちんとコミュケーションをとれない人も多いんです」
そんな状況でも、国家資格持ちで売り手市場の薬剤師。注意されてもどこ吹く風だ。
「一番の悩みは、薬が足りなくなって患者さんに謝ることをプライドが許さないらしく、大量の薬を仕入れてしまうバイトがいること。経営者である私が『今月は薬の仕入れは300万円までにしてください』と言っても完全無視。月の売り上げよりも仕入れ額のが20万円も上回っていたこともありました」
◆問題を起こされても、なかなかクビにできない理由
そんな高給取りにもかかわらず、“権利”の主張は一丁前なのだとか。
「あるバイトさんには、車で通勤しているのを知りつつも、交通費として多めの額になるバス代を支給していました。そしたらその人が突然、『バス代が10円上がったのに交通費が上がってない!』と文句を言ってきたんです。ほかにも、勝手に自分用の化粧品を卸業者に注文して伝票を切る人とか。もうやりたい放題ですよ」
それでも、勉強ができるがゆえに雇用契約にも詳しい彼ら。問題を起こされても、なかなかクビにできないという。
「こちらから『辞めてくれ』とは言えないので、シフトを徐々に削って、あちらから『辞めたい』と言ってくるのを待つしかありません。国家資格を盾に、『一生仕事に困らない』とあぐらをかいているヤツが多いですが、地方で薬学部が増設され、今後は薬剤師がどんどん増えていく。そうすると仕事のできない薬剤師バイトは地獄を見るでしょうね」
オーナーである椎木さんの苦労は絶えない。
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/PIXTA
◆薬を販売する薬剤師にもヤバいバイトが
都内で3店舗の薬局を経営する椎木直哉さん(仮名・51歳)がバイトとして雇うのは薬剤師。その採用もまた、苦戦を強いられている。
「そもそも薬剤師は飲食店の接客バイトなどと比べて絶対数が少ないので、1人募集して1人応募にくればいいほう。こちらが選べる状況ではありません」
薬剤師の採用はエージェント経由で行うのが一般的だというが、仲介料は1人あたり250万円ほどかかるそうだ。
「エージェントに大金を支払って雇ってもハズレ薬剤師は多い。そこで無料で募集できるハローワーク経由で採用しましたが、これも失敗でした。薬剤師の免許はあるけど、調剤経験がないという60代の人で、結局3か月で辞めてしまいました」
また、彼らを雇用する上での悩みもつきない。
「彼らはプライドと時給が高すぎる。時給2500円と地方のキャバ嬢よりいい給料をもらっているにもかかわらず、雇われているという感覚がないようで常に態度が高圧的です。患者さんに対してもきちんとコミュケーションをとれない人も多いんです」
そんな状況でも、国家資格持ちで売り手市場の薬剤師。注意されてもどこ吹く風だ。
「一番の悩みは、薬が足りなくなって患者さんに謝ることをプライドが許さないらしく、大量の薬を仕入れてしまうバイトがいること。経営者である私が『今月は薬の仕入れは300万円までにしてください』と言っても完全無視。月の売り上げよりも仕入れ額のが20万円も上回っていたこともありました」
◆問題を起こされても、なかなかクビにできない理由
そんな高給取りにもかかわらず、“権利”の主張は一丁前なのだとか。
「あるバイトさんには、車で通勤しているのを知りつつも、交通費として多めの額になるバス代を支給していました。そしたらその人が突然、『バス代が10円上がったのに交通費が上がってない!』と文句を言ってきたんです。ほかにも、勝手に自分用の化粧品を卸業者に注文して伝票を切る人とか。もうやりたい放題ですよ」
それでも、勉強ができるがゆえに雇用契約にも詳しい彼ら。問題を起こされても、なかなかクビにできないという。
「こちらから『辞めてくれ』とは言えないので、シフトを徐々に削って、あちらから『辞めたい』と言ってくるのを待つしかありません。国家資格を盾に、『一生仕事に困らない』とあぐらをかいているヤツが多いですが、地方で薬学部が増設され、今後は薬剤師がどんどん増えていく。そうすると仕事のできない薬剤師バイトは地獄を見るでしょうね」
オーナーである椎木さんの苦労は絶えない。
取材・文/週刊SPA!編集部 写真/PIXTA