ゴミ捨てに関するトラブルは数多い。市町村単位で収集や分別ルールが異なるだけに、戸惑った経験を持つ人は多いと聞く。池内里奈さん(仮名・30代)もそのうちの一人だ。
◆ゴミ出し時間に門番のように立っている50代女性
池内さんは秋田県からきっかけに上京。26歳のときに結婚し、出産を経て神奈川県の某所に移住したそう。そこで遭遇したのが、ゴミ集積場の“門番”だった。
「朝7時半くらいになると、必ず50代の女性が集積場に怖い顔をして仁王立ちしているんです。私がゴミを出しに来ると、ジロジロ見られて、本当に気味が悪くて……。最初は、なにが目的なのかわかりませんでした」
その目的は「ゴミのチェック」だった。
「子供が保育園に行くようになり、ママ友ができました。会話のなかで『ゴミ集積場に変なおばさんがいるけど、あれはなに?』と質問すると、『人の出すゴミをチェックしている』と。私はびっくりして言葉を失っていると『とにかくルールにうるさくて、注意される』『町内の厄介者だけど、みんな関わり合いたくないので、文句を言わない』と教えてもらいました」
◆「時間が遅い」「出し方が悪い」と細々とした注文が絶えない
ゴミ出しの際に向けられる視線に窮屈な思いをしながらも、やりすごしていたという池内さん。ついに、直接声をかけられてしまったそう。
「ある日、子供が急に熱を出し、保育園と自分の会社を休むことになって。電話連絡やスケジュールの調整に時間がかかって、ゴミ出しが遅くなってしまったんです。集積場についた時点でまだ収集車は来ていませんでしたし、『セーフ』という感じでしたが、おばさんが『あなた、来るのが遅いわよ。本来なら収集車が来ている時間よ』と言われました。内心ムカついていましたが、今後のこともあるし『すみません』とだけ言って、その場を離れました」
別の日にも事件があったという。
「ペットボトルを収集する日だったのですが、捨てる量が多くなってしまい、ゴミ袋から少し缶が出るような状態になっていました。それでも、しっかり袋は閉じていました。しかし、『あんた、ちゃんとゴミ袋をしばりなさい。これは2袋にわけたほうがいい』と言われて。私はもう、頭にきて『あなたこそ、なんなんですか。なんの権利があって、そういうことを言うんですか』と言い返しました。おばさんは言い返されたことがなかったのか、意味不明なことをつぶやきながら、去っていきました」
◆ゴミ袋を勝手に開けられ…
池内さんが文句を言ったことで、火がついたのかとんでもない行動にでる。
「私が文句を言ったあとは、とくに文句を言われることもなかったのですが、ある日突然、聞き覚えのある声で電話がかかってきたんです。『もしもし、山田ですけど、池内さん、あなたゴミの出し方がおかしいわよ。ちゃんと分別しなさいよ』と。頭にきた私は『うるさいですよ。なんの権利もないくせに。というか、なぜ連絡先を知っているのですか? ゴミ袋を開けたんじゃないですか』と聞くと、答えませんでした。とにかく、気持ちが悪いので『これはプライバシーの侵害です。警察と相談します』と言って電話を切りました。実際警察が動くとは思えませんでしたが、こうでもいわないと怒りを抑えきれませんでした」
結局どうなったのだろうか。
「私はどうしてもこのおばさんが許せなかったので、近所で同じような被害に遭っている人を探したんです。その結果、予想通り多くの人が存在に困っていることがわかりました。なかには、私と同じように電話をされた人もいました。そこで私は『町内会』の総意として『ゴミ集積場に立つのはやめてほしい』『今後、勝手にゴミ袋を開ける行為をしたら警察に通報、もしくは損害賠償を求める』と書面で警告をしました。町内中から嫌われているという事実を突きつけられたおばさんは、しばらくして姿を見せなくなりました。噂によると、旦那さんから三行半を突きつけられ、出ていったそうです」
ルールを守らないゴミの捨て方に憤りを持つことは理解できる。ただ、指導や罰則などは、個人ではなく市町村などしかるべき組織に対応を任せてほしいものだ。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など
◆ゴミ出し時間に門番のように立っている50代女性
池内さんは秋田県からきっかけに上京。26歳のときに結婚し、出産を経て神奈川県の某所に移住したそう。そこで遭遇したのが、ゴミ集積場の“門番”だった。
「朝7時半くらいになると、必ず50代の女性が集積場に怖い顔をして仁王立ちしているんです。私がゴミを出しに来ると、ジロジロ見られて、本当に気味が悪くて……。最初は、なにが目的なのかわかりませんでした」
その目的は「ゴミのチェック」だった。
「子供が保育園に行くようになり、ママ友ができました。会話のなかで『ゴミ集積場に変なおばさんがいるけど、あれはなに?』と質問すると、『人の出すゴミをチェックしている』と。私はびっくりして言葉を失っていると『とにかくルールにうるさくて、注意される』『町内の厄介者だけど、みんな関わり合いたくないので、文句を言わない』と教えてもらいました」
◆「時間が遅い」「出し方が悪い」と細々とした注文が絶えない
ゴミ出しの際に向けられる視線に窮屈な思いをしながらも、やりすごしていたという池内さん。ついに、直接声をかけられてしまったそう。
「ある日、子供が急に熱を出し、保育園と自分の会社を休むことになって。電話連絡やスケジュールの調整に時間がかかって、ゴミ出しが遅くなってしまったんです。集積場についた時点でまだ収集車は来ていませんでしたし、『セーフ』という感じでしたが、おばさんが『あなた、来るのが遅いわよ。本来なら収集車が来ている時間よ』と言われました。内心ムカついていましたが、今後のこともあるし『すみません』とだけ言って、その場を離れました」
別の日にも事件があったという。
「ペットボトルを収集する日だったのですが、捨てる量が多くなってしまい、ゴミ袋から少し缶が出るような状態になっていました。それでも、しっかり袋は閉じていました。しかし、『あんた、ちゃんとゴミ袋をしばりなさい。これは2袋にわけたほうがいい』と言われて。私はもう、頭にきて『あなたこそ、なんなんですか。なんの権利があって、そういうことを言うんですか』と言い返しました。おばさんは言い返されたことがなかったのか、意味不明なことをつぶやきながら、去っていきました」
◆ゴミ袋を勝手に開けられ…
池内さんが文句を言ったことで、火がついたのかとんでもない行動にでる。
「私が文句を言ったあとは、とくに文句を言われることもなかったのですが、ある日突然、聞き覚えのある声で電話がかかってきたんです。『もしもし、山田ですけど、池内さん、あなたゴミの出し方がおかしいわよ。ちゃんと分別しなさいよ』と。頭にきた私は『うるさいですよ。なんの権利もないくせに。というか、なぜ連絡先を知っているのですか? ゴミ袋を開けたんじゃないですか』と聞くと、答えませんでした。とにかく、気持ちが悪いので『これはプライバシーの侵害です。警察と相談します』と言って電話を切りました。実際警察が動くとは思えませんでしたが、こうでもいわないと怒りを抑えきれませんでした」
結局どうなったのだろうか。
「私はどうしてもこのおばさんが許せなかったので、近所で同じような被害に遭っている人を探したんです。その結果、予想通り多くの人が存在に困っていることがわかりました。なかには、私と同じように電話をされた人もいました。そこで私は『町内会』の総意として『ゴミ集積場に立つのはやめてほしい』『今後、勝手にゴミ袋を開ける行為をしたら警察に通報、もしくは損害賠償を求める』と書面で警告をしました。町内中から嫌われているという事実を突きつけられたおばさんは、しばらくして姿を見せなくなりました。噂によると、旦那さんから三行半を突きつけられ、出ていったそうです」
ルールを守らないゴミの捨て方に憤りを持つことは理解できる。ただ、指導や罰則などは、個人ではなく市町村などしかるべき組織に対応を任せてほしいものだ。
<TEXT/佐藤俊治>
【佐藤俊治】
複数媒体で執筆中のサラリーマンライター。ファミレスでも美味しい鰻を出すライターを目指している。得意分野は社会、スポーツ、将棋など