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競輪がもっと熱くなる!「知っておくと車券購入に役立つ“5つの格言”」

日刊SPA! 2024年10月31日 15時30分

 競輪は、ただ速く走るだけでは勝てないスポーツです。連係する選手との絆の強さ、風の影響を読む力、駆け引きのタイミング……。これらが複雑に絡み合い、毎回異なるドラマが生まれます。
 このコラムでは、競輪メディアでライターとして活動してきた筆者が、競輪ファンなら一度は耳にしたことがある有名な競輪格言を5つご紹介します。

 一見すると難しそうですが、初心者でも格言を知っていれば、車券であれ応援であれ、より競輪を楽しむことができるはずです。

◆格言①「先行一車は黙って買え」

 格言1つ目は「先行一車は黙って買え」。

 競輪は7人か9人で行われ、男子競輪の場合、複数の選手が「ライン」と呼ばれるチームを組んでレースを進めます。その中に先行選手が1人しかいない場合は、その選手を軸に車券を買うのが良い、という格言です。

 基本的にラインの先頭を走る選手は「先行選手」、先行選手の後ろにつく選手は「番手選手」と呼びます。レース中の展開も主に先行選手が判断。この先行選手が1人しかいない場合、その選手はレースの流れを支配しやすく、そのまま逃げ切って1着ということも期待できます。

 競輪メディアの出走表で「脚質」に「逃」と記されている選手が、まさにその主役候補です。また、「keirin.jp」など、並び予想に「先行一車」と掲載されているメディアもあるので、その文字を見たら、まずは先行選手に注目してみましょう。

◆格言②「地元3割増し」

 競輪ファンなら誰もが知る格言、それが「地元3割増し」。

 地元の競輪場で戦う選手は、実力の3割増しで勝利に近づくという意味です。

 家族や友人の応援、地元ファンの期待もあり、地元選手は特別な気合が入ります。気持ち的な面以外でも、普段練習で使っている競輪場なら、特性も熟知しているので、その点も有利になるといえるでしょう。仲間との固い絆と、なじみのホームバンクで、いつも以上の魅せる走りが期待できます。

 地元選手に注目して、レース展開を予想してみてはいかがでしょうか。

◆格言③「9車立ては“ヨーロッパ”が絡むと高配当」

 4・6・8番車は語呂合わせで “ヨーロッパ” と呼ばれます。これらの番車は競争得点が低めの選手が割り当てられることが多く、人気薄となる傾向があります。そのため、1〜3着に入ると多くの競輪ファンの予想が外れ、高配当になりやすいのです。

 例えば、競輪史上最高配当も、やはり“ヨーロッパ”車券が絡んだものでした。2006年9月21日に奈良競輪場でさく裂したのは、3連単で100円がなんと476万700円となる超高額配当。着順は⑧→④→⑤で、498番人気の組み合わせでした。

 このような高配当は意外と出現します。最近では、2024年10月26日に開幕した京王閣競輪G3の初日7レースで、98万4340円の配当が飛び出しました。3連単が④→⑧→②で433番人気の組み合わせ。やはり4番車と8番車が1、2着に入っています。

 また、10月18日の弥彦競輪「寛仁親王牌・世界選手権記念トーナメント(G1)」2日目の11レースでも、56万7190円の配当が飛び出しています。3連単が③→④→②で478番人気の組み合わせでした。

 穴狙いをするなら、4・6・8番車の“ヨーロッパ”に注目です。 意外な高配当を手にするチャンスが待っているかもしれません。

◆格言④「後ろには自分より強い地元の先輩」

 車券を的中させるためには、過去のレース結果だけでなく、選手たちの得意な戦法やレース中の駆け引きなど、記憶に焼き付いたシーンも予想の武器になります。ここからは格言とともに、記憶に残るレースを振り返ってみましょう。

 ラインの先頭を走る若手選手は、後ろに自分より強い地元の先輩がいると、いつも以上に気合を入れて走ることがあります。地元、そして尊敬する先輩のためにも全力で駆けるのです。

 例えば、2024年1月14日の和歌山競輪場「和歌山グランプリ(G3)」決勝でのことです。地元地区での記念開催を制覇すべく、近畿の選手たちは燃えていました。この決勝で近畿ラインの先頭は寺崎浩平(30歳・福井=117期)が任され、番手はS級S班の名レーサー古性優作(33歳・大阪=100期)が固めます。

 寺崎は残り1周半を伝える「打鐘(ジャン)」のタイミングで、後方から全力で踏み始め、主導権を奪います。この圧倒的なスピードは他のラインを寄せ付けず、近畿勢4車が上位を独占。まさに「後ろには自分より強い地元の先輩」を体現した名レースでした。

◆格言⑤「二段駆けの頭鉄板」

 最後に紹介したい格言は「二段駆けの頭鉄板」。

 この格言は、二段駆けによって番手選手の勝率が高まるという考えによるものです。二段駆けとは、同じラインの中で2人の先行選手が順番に先行してスピードを上げ、最終的にチーム全体の勝利を目指す戦法のこと。ライン先頭の先行選手がまずスパートし、体力を消耗して後退すると、今度は2番手の“先行もできる番手選手”が前に出て、ラインをけん引します。

 番手の選手は先行選手を風よけにして脚を温存しているため、最後のスパートで有利に立ちやすくなるのです。

◆鉄板パターンが崩れると高配当に

 2024年10月20日のG1寛仁親王牌・決勝でも、この二段駆けが注目されました。このときの近畿勢は先頭を寺崎、番手を脇本雄太(35歳・福井=94期)が務め、3番手は古性です。強力な先行型の選手でもある脇本が二段駆けで優勝を狙うのではと、注目が集まりました。オッズも脇本が人気の中心です。

 しかしレース終盤、近畿勢のラインは崩れてしまい、二段駆けは不発に終わりました。「二段駆けは頭鉄板」の格言通りにはなりませんでしたが、ここには「穴狙い」のヒントがあります。

 定番の格言通りにならない展開を予想すると、高配当になることも。この寛仁親王牌・決勝の結果は、3連単が①→④→⑥で12万1980円となる十万車券の高配当となったのです。

 *  *  *

 10月の寛仁親王牌も閉幕し、今年のG1も11月19日に開催予定の競輪祭を残すのみ。そして12月30日には、いよいよ静岡競輪場で競輪界最高峰のレース「KEIRINグランプリ2024」が予定されています。優勝賞金1億4千万円をめぐり、この1年を代表するトップ9名が激突するのです。このグランプリ出場権を手にするために、選手たちの戦いますます熾烈になっています。

 競輪格言はこうしたレース観戦を楽しむ手がかりになるでしょう。ぜひあなたも格言を参考に、予想を楽しんでみませんか。

文/木村邦彦

【木村邦彦】
編集者・ライター。法政大学文学部哲学科卒業後、歴史、金融、教育、競輪など幅広い分野の専門メディアに関わり、大手競輪メディアではニュースやコラムを執筆。現在は、アルコールやギャンブル依存症の回復支援団体で広報も担当。FP2級と宅建士の資格を保有。趣味は油絵とコーヒー。

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