実写ドラマ化された話題作『ウイングマン』が、テレ東ほかで放送中だ。
1983年から85年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されて男女を問わず人気を集め、アニメ化・ゲーム化もされた桂正和の代表作『ウイングマン』。主演を務めるのは、初代『仮面ライダー』として君臨する藤岡弘、の息子、藤岡真威人(20歳)。
父と同じ180センチの長身に、「僕のアイデンティティ」という太い眉もしっかり受け継ぐ藤岡にインタビューした。ヒーローものでの連ドラ単独初主演に「父と同じ軌跡を辿っているかのような運命的なものを感じて、そういう使命なのかなと思った」と話す藤岡。
『ウイングマン』への意気込みや、父とのエピソード、さらには評判を集めた藤岡ファミリーそろってのウェブCM出演の裏話も聞いた。
◆初主演はヒーローもの。父は「いつか来ると思っていたよ」
――地上波での連ドラ単独主演は、俳優人生の大きな目標だったとか。『仮面ライダー』を演じたお父様と同じヒーロー役での主演ですが、藤岡弘、さんの反応はいかがでしたか?
藤岡真威人(以下、藤岡):「やったな」と喜んでくれました。同時に、でもどこか、「俺はいつか来ると思っていたよ」といった反応でした。
――「いつか来ると思っていた」と。
藤岡:かつて父がブレイクしたきっかけとなったのが『仮面ライダー』です。
以前、『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』(21)で仮面ライダー1号を演じたことはありますが、全世界の、観てくれる人に希望を与えられるような作品の役柄で、自分の初単独主演が決まったというのは、父と同じ軌跡を辿っているかのような、運命的なものを感じました。
――そうなんですね。
藤岡:そういう“使命”なのかな、みたいな。主演を務めることはもちろん嬉しいけれど、さらにヒーローものでということに驚きと運命、そして使命を。多くのファンの方がいる作品だということへの思いもあります。
全力で取り組んで、『ウイングマン』という作品が、僕の俳優人生の中で、新たなスタートを切れる代表作になればいいなと思っています。
◆『ウイングマン』は今までにない新しいヒーロー
――『ウイングマン』はどんなヒーローだと感じましたか?
藤岡:1980年代に大ヒットした伝説の作品ということで、僕は生まれていなかったので読んだことがなかったのですが、オファーをいただいた直後に全巻買って読みました。すごく面白かったです。
これまでヒーローと聞いて自分の中で思い描いていたのは、最初から強い正義の味方だったんですけど、健太は、ヒーローに憧れてはいたけれど、最初から強いわけではないんです。
アオイさんに出会ったことで、姿が変わっただけじゃ自分の理想とするヒーローにはなれないことに気づいて、成長していく。そこに今までにない新しいヒーロー像と魅力を感じて、すごく感動しました。
――実写化発表と同時に、ファンからの反響もすごかったです。予想以上で驚いたのでは。
藤岡:発表の際は本当にドキドキしていました。初主演という点でもドキドキでしたし。でもみなさん、本当に温かい声ばかりで。連載から40年経ってますけど、みなさん、とにかく待っていたんだなと伝わってきました。
そうした作品にキャスティングしていただけて本当に光栄ですし、その期待に応えられるだけの熱量で取り組んだ自信はあります。
◆『パワーレンジャー』などで知られる坂本浩一監督によるアクションは必見
――最初はプレッシャーもあったのでは?
藤岡:実写化に対する声に対しては、正直シビアな声も覚悟はしていました。でも本当に温かい声が多くて、感謝しきれないです。
原作の桂先生や、監督、スタッフさん、共演者のみなさんたち、いろんなものがタイミングよくかけ合わさって世に出たものが、みなさんに受け入れてもらえているのだと思います。
――アクションを楽しみにしているファンも多いかと。
藤岡:そこはおそらく皆さんが思っている以上に、たくさん盛り込まれていると思います。振り返ってみると、このドラマの半分以上は殴ったりけったり、吹っ飛ばされたりしていたんじゃないかなと(笑)。
坂本浩一監督がアクションにお強いお方なので、やっていくうちにもっともっととなったのかな?(笑)
台本で感じた以上に、相当やった印象です。それに健太は、中身はただの一般人なので、やられて吹っ飛ばされることが多くて、いままでにないアクションの勉強になりました。
◆いわゆる“2世”とみられることをどう思うか
――藤岡さんは、デビューとなったSEGAのCMで、せが四郎を演じたときもお父様からのアドバイスを受けたとお話されていました。芸能界ではいわゆる2世とみられることに抵抗を感じる人もいますが、藤岡さんはご家族でとても仲がいいのを隠そうとしませんね。
藤岡:自分は小さな頃から、とにかく愛情たっぷりに育てられました。物心ついていないときから愛情を注いでもらっていて、その感覚というか、経験が僕の体と記憶に残り続けています。だから父の言うこと、教えること、親に対しての抵抗が芽生えないですね。
それに、別に無条件に従っているわけではないんですよ。小さなころから、反発したいときは反発しています。お互いにちゃんと意見を言い合う関係性ができているので、日ごろから不満やストレスがたまることがないんです。
――お姉さんに2人の妹さんと、兄弟も多いですが、「ひとりでいたい」と殻に閉じこもった時期は。
藤岡:そうなったら周りがこじ開けにきますから(笑)。それに信頼関係が続いているから、そもそも殻に閉じこもるといった状態になっていないですね。
――反抗期もなかった。
藤岡:反抗期というか、反発したいときに反発して、そのときにとことんケンカして、寝て、次の日は仲良し。その繰り返しです。ちゃんとケンカができる関係なので、こじれることがないのだと思います。
◆藤岡ファミリー総出のあのCMの出来に「我ながらうまくできた」
――ご家族といえば、皆さんの眉毛を活かしたKATEのアイブロウマスカラのウェブCMもかなりの反響でした。
藤岡:あのときは企画の内容を聞いたときから、「これは面白いな」と思いました。まず父がすっごい剛毛なんです。いまだにふっさふさの毛ですし、眉毛もしっかりしていて、僕ら子どももみんなちゃんとその点を引き継いでるんです。
だからこの眉毛、僕たちもアイデンティティのひとつだとしっかり思っています。そこがうまくはまって、企画で使っていただけたのが嬉しかったのと、面白さがありつつも、ちゃんと僕らの良さを引き出してくださっていて、そのバランスがとても良かったので本当に感謝しています。
――撮影現場はどんな雰囲気だったのですか?
藤岡:みんなで「これいいね」とか。マスカラの色や、どれくらいつけたらいいかとか、みんなで相談して試行錯誤しながら進めました。
――かっこいいのと面白いのと、絶妙でした。
藤岡:ありがとうございます。我ながらうまくできたなと(笑)。みなさんにも楽しんでもらえたみたいで、嬉しいです。
◆二十歳の記念は、それまで禁酒していた父と一緒にお酒を
――昨年、二十歳を迎えました。お酒は飲みましたか?
藤岡:父と一緒に飲みました。僕はジュースみたいなお酒でしたけど(笑)。実は僕が生まれてからずっと、父がお酒を飲んでいる姿を見たことがなかったんです。「え、飲むの?」と驚いたんですけど、「二十歳の記念に」って。
僕が二十歳になったときに飲もうと決めていたらしくて、それまでは禁酒してたみたいで。そのとき一緒に日本酒を飲んでくれました。嬉しかったです。
――最後に改めて。放送中の『ウイングマン』を楽しんでいる視聴者、これから観たいと思っている人にメッセージをお願いします。
藤岡:今回は、自分でもいろいろ研究して、健太のヒーロー好きなキャラクターがいろんなところに垣間見えるように出していきました。よく見ると、分かる人には分かる動きや工夫を入れたので、そういった部分も楽しんでもらえたらと思います。
アクションも、終盤に近づくにつれて、僕自身、いろいろ分かってきた部分があったりして、健太と一緒に成長していけました。ぜひ楽しみに観てください!
<取材・文・撮影:望月ふみ スタイリスト:柴山陽平 ヘアメイク:藤井まどか>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
1983年から85年まで「週刊少年ジャンプ」で連載されて男女を問わず人気を集め、アニメ化・ゲーム化もされた桂正和の代表作『ウイングマン』。主演を務めるのは、初代『仮面ライダー』として君臨する藤岡弘、の息子、藤岡真威人(20歳)。
父と同じ180センチの長身に、「僕のアイデンティティ」という太い眉もしっかり受け継ぐ藤岡にインタビューした。ヒーローものでの連ドラ単独初主演に「父と同じ軌跡を辿っているかのような運命的なものを感じて、そういう使命なのかなと思った」と話す藤岡。
『ウイングマン』への意気込みや、父とのエピソード、さらには評判を集めた藤岡ファミリーそろってのウェブCM出演の裏話も聞いた。
◆初主演はヒーローもの。父は「いつか来ると思っていたよ」
――地上波での連ドラ単独主演は、俳優人生の大きな目標だったとか。『仮面ライダー』を演じたお父様と同じヒーロー役での主演ですが、藤岡弘、さんの反応はいかがでしたか?
藤岡真威人(以下、藤岡):「やったな」と喜んでくれました。同時に、でもどこか、「俺はいつか来ると思っていたよ」といった反応でした。
――「いつか来ると思っていた」と。
藤岡:かつて父がブレイクしたきっかけとなったのが『仮面ライダー』です。
以前、『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』(21)で仮面ライダー1号を演じたことはありますが、全世界の、観てくれる人に希望を与えられるような作品の役柄で、自分の初単独主演が決まったというのは、父と同じ軌跡を辿っているかのような、運命的なものを感じました。
――そうなんですね。
藤岡:そういう“使命”なのかな、みたいな。主演を務めることはもちろん嬉しいけれど、さらにヒーローものでということに驚きと運命、そして使命を。多くのファンの方がいる作品だということへの思いもあります。
全力で取り組んで、『ウイングマン』という作品が、僕の俳優人生の中で、新たなスタートを切れる代表作になればいいなと思っています。
◆『ウイングマン』は今までにない新しいヒーロー
――『ウイングマン』はどんなヒーローだと感じましたか?
藤岡:1980年代に大ヒットした伝説の作品ということで、僕は生まれていなかったので読んだことがなかったのですが、オファーをいただいた直後に全巻買って読みました。すごく面白かったです。
これまでヒーローと聞いて自分の中で思い描いていたのは、最初から強い正義の味方だったんですけど、健太は、ヒーローに憧れてはいたけれど、最初から強いわけではないんです。
アオイさんに出会ったことで、姿が変わっただけじゃ自分の理想とするヒーローにはなれないことに気づいて、成長していく。そこに今までにない新しいヒーロー像と魅力を感じて、すごく感動しました。
――実写化発表と同時に、ファンからの反響もすごかったです。予想以上で驚いたのでは。
藤岡:発表の際は本当にドキドキしていました。初主演という点でもドキドキでしたし。でもみなさん、本当に温かい声ばかりで。連載から40年経ってますけど、みなさん、とにかく待っていたんだなと伝わってきました。
そうした作品にキャスティングしていただけて本当に光栄ですし、その期待に応えられるだけの熱量で取り組んだ自信はあります。
◆『パワーレンジャー』などで知られる坂本浩一監督によるアクションは必見
――最初はプレッシャーもあったのでは?
藤岡:実写化に対する声に対しては、正直シビアな声も覚悟はしていました。でも本当に温かい声が多くて、感謝しきれないです。
原作の桂先生や、監督、スタッフさん、共演者のみなさんたち、いろんなものがタイミングよくかけ合わさって世に出たものが、みなさんに受け入れてもらえているのだと思います。
――アクションを楽しみにしているファンも多いかと。
藤岡:そこはおそらく皆さんが思っている以上に、たくさん盛り込まれていると思います。振り返ってみると、このドラマの半分以上は殴ったりけったり、吹っ飛ばされたりしていたんじゃないかなと(笑)。
坂本浩一監督がアクションにお強いお方なので、やっていくうちにもっともっととなったのかな?(笑)
台本で感じた以上に、相当やった印象です。それに健太は、中身はただの一般人なので、やられて吹っ飛ばされることが多くて、いままでにないアクションの勉強になりました。
◆いわゆる“2世”とみられることをどう思うか
――藤岡さんは、デビューとなったSEGAのCMで、せが四郎を演じたときもお父様からのアドバイスを受けたとお話されていました。芸能界ではいわゆる2世とみられることに抵抗を感じる人もいますが、藤岡さんはご家族でとても仲がいいのを隠そうとしませんね。
藤岡:自分は小さな頃から、とにかく愛情たっぷりに育てられました。物心ついていないときから愛情を注いでもらっていて、その感覚というか、経験が僕の体と記憶に残り続けています。だから父の言うこと、教えること、親に対しての抵抗が芽生えないですね。
それに、別に無条件に従っているわけではないんですよ。小さなころから、反発したいときは反発しています。お互いにちゃんと意見を言い合う関係性ができているので、日ごろから不満やストレスがたまることがないんです。
――お姉さんに2人の妹さんと、兄弟も多いですが、「ひとりでいたい」と殻に閉じこもった時期は。
藤岡:そうなったら周りがこじ開けにきますから(笑)。それに信頼関係が続いているから、そもそも殻に閉じこもるといった状態になっていないですね。
――反抗期もなかった。
藤岡:反抗期というか、反発したいときに反発して、そのときにとことんケンカして、寝て、次の日は仲良し。その繰り返しです。ちゃんとケンカができる関係なので、こじれることがないのだと思います。
◆藤岡ファミリー総出のあのCMの出来に「我ながらうまくできた」
――ご家族といえば、皆さんの眉毛を活かしたKATEのアイブロウマスカラのウェブCMもかなりの反響でした。
藤岡:あのときは企画の内容を聞いたときから、「これは面白いな」と思いました。まず父がすっごい剛毛なんです。いまだにふっさふさの毛ですし、眉毛もしっかりしていて、僕ら子どももみんなちゃんとその点を引き継いでるんです。
だからこの眉毛、僕たちもアイデンティティのひとつだとしっかり思っています。そこがうまくはまって、企画で使っていただけたのが嬉しかったのと、面白さがありつつも、ちゃんと僕らの良さを引き出してくださっていて、そのバランスがとても良かったので本当に感謝しています。
――撮影現場はどんな雰囲気だったのですか?
藤岡:みんなで「これいいね」とか。マスカラの色や、どれくらいつけたらいいかとか、みんなで相談して試行錯誤しながら進めました。
――かっこいいのと面白いのと、絶妙でした。
藤岡:ありがとうございます。我ながらうまくできたなと(笑)。みなさんにも楽しんでもらえたみたいで、嬉しいです。
◆二十歳の記念は、それまで禁酒していた父と一緒にお酒を
――昨年、二十歳を迎えました。お酒は飲みましたか?
藤岡:父と一緒に飲みました。僕はジュースみたいなお酒でしたけど(笑)。実は僕が生まれてからずっと、父がお酒を飲んでいる姿を見たことがなかったんです。「え、飲むの?」と驚いたんですけど、「二十歳の記念に」って。
僕が二十歳になったときに飲もうと決めていたらしくて、それまでは禁酒してたみたいで。そのとき一緒に日本酒を飲んでくれました。嬉しかったです。
――最後に改めて。放送中の『ウイングマン』を楽しんでいる視聴者、これから観たいと思っている人にメッセージをお願いします。
藤岡:今回は、自分でもいろいろ研究して、健太のヒーロー好きなキャラクターがいろんなところに垣間見えるように出していきました。よく見ると、分かる人には分かる動きや工夫を入れたので、そういった部分も楽しんでもらえたらと思います。
アクションも、終盤に近づくにつれて、僕自身、いろいろ分かってきた部分があったりして、健太と一緒に成長していけました。ぜひ楽しみに観てください!
<取材・文・撮影:望月ふみ スタイリスト:柴山陽平 ヘアメイク:藤井まどか>
【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi