過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年7月18日 記事は取材時の状況) * * *
観光客の迷惑行為が全国で報告されている。その実態を追った。
◆チェックイン後の部屋がめちゃくちゃ。吐瀉物も……
海外からの宿泊客が多い、東京・お台場の某ホテル従業員に聞くと、最も多いトラブルは「騒音」問題。
「メディアは中国人や韓国人のマナー違反を書き立てていますが、当ホテルではアジア系の方のほうがマナーが良いです。それよりも欧米系観光客のほうがひどい。夜中に爆音で音楽をかけて騒いでます」
また、チェックイン後の部屋がメチャクチャというケースも多く浴槽を吐瀉物まみれにしていった客もいたとか。
「チェックアウト後に粉まみれの小さいパケを部屋に残していったアメリカ人の男女三人組もいました。大麻のような植物片もありました。警察に言うとややこしいので、上司との判断でこっそり処分しましたが……」(同)
◆備品を壊し、温泉で無断撮影
一部の観光客のせいで特定の国籍が出禁になった事例も。九州の温泉宿の経営者は、次のように話す。
「うちの地域では外国人観光客に対する依存度はものすごく高まっている。特に地理柄、ほとんどが北東アジア系。宿などは8割以上、観光地なら6割近くが外国人向けになっている。それに伴い値段も高騰化していて、今は2万円以下で泊まれるような場所はほとんどないし、6〜7万円だった高級宿も平気で10万円近くになっています。
だから観光客はありがたい存在でもあるのですが、彼らは酒が入ってテンションが上がると大声で騒ぐ。それを注意したウチの温泉の常連さんと揉め事になったことも。狭い街だから噂が広まり『◯◯人お断り』という張り紙が増えました」
ホテルの備品を持ち去る例も有名だが、「室内にあるドライヤーやズボンプレッサーなどの使い方がわからず、壊していく。なぜフロントに聞かないのか」(北関東のホテル)。逆に、「コロナ後、南アジア某国の客が激増したのですが彼らは、事あるごとにフロントに電話してくる。特に夜に活発化するので、夜は誰もシフトに入りたがらない」(成田空港ホテル)とも。
日本ならではの畑仕事などができる体験型宿泊施設も人気を集めているが、北関東の某宿でも被害が続出中。
「大浴場にスマホやGoProを持ち込んで撮影を始めてしまう。近隣にある温泉施設でもそうなので、地元民は顔をしかめていますよ」
◆ホテルを悩ます「荷物置き去り」“下流”観光客の増加も一因か
インバウンドの恩恵を受ける最右翼といえば、ホテル業界。
ホテルの備品のドライヤーやテレビといった家電が持ち帰られる事例が時に話題となるが、ホテル評論家の瀧澤信秋氏によると、最近は逆に「置き去り」被害が増加中なのだそうだ。
「壊れたスーツケースやアキバで買った電化製品を開封して残った段ボールなどを部屋に置いていく観光客が目立っています。服や化粧品、時計などもあります。遺失物法の規定により、ホテルはそれらをすぐに処分できず、ゴミと同視できるもの以外は原則3か月保管しなければなりませんが、あまりに多いので、スーツケース専用の保管場を設けている施設もあるほどです」
彼らはなぜ、モノを置いていくのか。
「もちろん不要なものをゴミとして捨てていった、スーツケースが壊れて買い替えたという前提も考えられます。一方で、交通手段が多様化し格安に移動できることから新たな層の旅行者が生まれた。そこで、一部の人が格安航空の厳しい重量制限をクリアするため少しでも荷物を少なく、軽くするため置いていくという側面も指摘できます」
もちろん宿泊者へ連絡しても、音沙汰なし。そのため、ホテルが身銭を切って処分している。
「処分費がかかり続けると、ホテルの運営コストも上がり、結果として国内向けの宿泊費に転嫁されることにも」
割を食うのは我々なのである。
【滝澤信秋氏】
日本唯一のホテル評論家、ジャーナリストとして国内ホテルを精力的に取材。ホテルにまつわる社会問題にも精通している
取材・文/週刊SPA!編集部
観光客の迷惑行為が全国で報告されている。その実態を追った。
◆チェックイン後の部屋がめちゃくちゃ。吐瀉物も……
海外からの宿泊客が多い、東京・お台場の某ホテル従業員に聞くと、最も多いトラブルは「騒音」問題。
「メディアは中国人や韓国人のマナー違反を書き立てていますが、当ホテルではアジア系の方のほうがマナーが良いです。それよりも欧米系観光客のほうがひどい。夜中に爆音で音楽をかけて騒いでます」
また、チェックイン後の部屋がメチャクチャというケースも多く浴槽を吐瀉物まみれにしていった客もいたとか。
「チェックアウト後に粉まみれの小さいパケを部屋に残していったアメリカ人の男女三人組もいました。大麻のような植物片もありました。警察に言うとややこしいので、上司との判断でこっそり処分しましたが……」(同)
◆備品を壊し、温泉で無断撮影
一部の観光客のせいで特定の国籍が出禁になった事例も。九州の温泉宿の経営者は、次のように話す。
「うちの地域では外国人観光客に対する依存度はものすごく高まっている。特に地理柄、ほとんどが北東アジア系。宿などは8割以上、観光地なら6割近くが外国人向けになっている。それに伴い値段も高騰化していて、今は2万円以下で泊まれるような場所はほとんどないし、6〜7万円だった高級宿も平気で10万円近くになっています。
だから観光客はありがたい存在でもあるのですが、彼らは酒が入ってテンションが上がると大声で騒ぐ。それを注意したウチの温泉の常連さんと揉め事になったことも。狭い街だから噂が広まり『◯◯人お断り』という張り紙が増えました」
ホテルの備品を持ち去る例も有名だが、「室内にあるドライヤーやズボンプレッサーなどの使い方がわからず、壊していく。なぜフロントに聞かないのか」(北関東のホテル)。逆に、「コロナ後、南アジア某国の客が激増したのですが彼らは、事あるごとにフロントに電話してくる。特に夜に活発化するので、夜は誰もシフトに入りたがらない」(成田空港ホテル)とも。
日本ならではの畑仕事などができる体験型宿泊施設も人気を集めているが、北関東の某宿でも被害が続出中。
「大浴場にスマホやGoProを持ち込んで撮影を始めてしまう。近隣にある温泉施設でもそうなので、地元民は顔をしかめていますよ」
◆ホテルを悩ます「荷物置き去り」“下流”観光客の増加も一因か
インバウンドの恩恵を受ける最右翼といえば、ホテル業界。
ホテルの備品のドライヤーやテレビといった家電が持ち帰られる事例が時に話題となるが、ホテル評論家の瀧澤信秋氏によると、最近は逆に「置き去り」被害が増加中なのだそうだ。
「壊れたスーツケースやアキバで買った電化製品を開封して残った段ボールなどを部屋に置いていく観光客が目立っています。服や化粧品、時計などもあります。遺失物法の規定により、ホテルはそれらをすぐに処分できず、ゴミと同視できるもの以外は原則3か月保管しなければなりませんが、あまりに多いので、スーツケース専用の保管場を設けている施設もあるほどです」
彼らはなぜ、モノを置いていくのか。
「もちろん不要なものをゴミとして捨てていった、スーツケースが壊れて買い替えたという前提も考えられます。一方で、交通手段が多様化し格安に移動できることから新たな層の旅行者が生まれた。そこで、一部の人が格安航空の厳しい重量制限をクリアするため少しでも荷物を少なく、軽くするため置いていくという側面も指摘できます」
もちろん宿泊者へ連絡しても、音沙汰なし。そのため、ホテルが身銭を切って処分している。
「処分費がかかり続けると、ホテルの運営コストも上がり、結果として国内向けの宿泊費に転嫁されることにも」
割を食うのは我々なのである。
【滝澤信秋氏】
日本唯一のホテル評論家、ジャーナリストとして国内ホテルを精力的に取材。ホテルにまつわる社会問題にも精通している
取材・文/週刊SPA!編集部