―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―
この数年来、海外コレクターの熱狂もあって、「ポケモンカード(ポケカ)」の取引価格は高騰していました。2023年半ばには、ハイクラスパック「GXバトルブースト」に封入されたサポートカード「リーリエ(SR)」、通称「がんばリーリエ」の買取価格が1000万円オーバーと話題になりました。しかしその後、価格は下がり、現在「がんばリーリエ」の買取価格は100万円前後だそうです。
◆ポケカアプリ『ポケポケ』サービス開始!
「ポケカバブルは弾けた」と言われていますが、ポケモンカードそのものの人気がなくなったわけではありません。それを証明するかのように、株式会社ポケモンと株式会社クリーチャーズ、株式会社DeNAが共同開発したスマホアプリ『Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』が大ヒットしているのです。
この10月30日に配信が開始され、リリース2日で全世界累計1000万DLを突破。さらにその1週間後の11月8日には全世界累計3000万DLと一気にアプリゲームの主役に躍り出ました。
11月13日現在、App Store、Google Playでセールスランキング首位を快走中。香港やフランスなど海外のセールスランキングでも好調ぶりを見せています。一部報道では、リリース4日間で売上18億円超との試算も出ています。
◆『ポケポケ』のゲーム内容とは?
では、『ポケポケ』とはどのようなアプリなのでしょうか? 『ポケポケ』は「世界中で楽しまれているポケモンカードを、手軽にコレクションできるアプリ」(公式サイトより)。カード5枚入りのパックを毎日無料で2パック開封でき、カードが集まったら、ソロ対戦「ひとりで」や対人戦「だれかと」が遊べます。パック上部をスッとスライドして開封する瞬間は、リアルなパックを開けるときのドキドキ感と遜色ありません。
また、デジタルカードならではのエフェクト演出もポイント。ダブったカードとゲーム内資源「ひかりのすな」を消費することでエフェクトをゲットして、お気に入りのカードを飾れるという機能が搭載されています。カードイラストのなかに入り込んだかのようなビジュアル演出を備えた「イマーシブカード」も新鮮です。
◆初心者でも対戦しやすい簡易ルールを導入
対戦ルールはスマホ用にカスタマイズされ、本家のデッキ60枚に対し、エネルギーカードを省いた20枚構成でサクサクと進みます。「運の要素が強い」という声もありますが、「簡易版で誰でも遊びやすい」「特別な準備が必要ない」など好意的な声が目立ちました。
現段階ではカードは全301種。第一弾「最強の遺伝子」は、ミュウツー、ピカチュウ、リザードンの3種のパックが用意されています(収録カードは『ポケポケ』独自のもの)。トレード機能については「今後のアップデートにて実装予定」と予告されています。
◆間口の広さで全世界的に社会現象化する!?
スタートダッシュを決めた『ポケポケ』ですが、ポケモンカードに興味がなかった層にまで浸透し、社会現象的な大ブームになるポテンシャルを秘めています。
一番の強みは、やはり間口が広い点。スターターパックを購入しなくてもよく、無料で1日2パック分コレクションを増やせるというのは、無課金や微課金中心のライト層には大きな魅力です。対戦ルールがシンプルなのも初心者には嬉しいところ。
また、今後コラボなどでさまざまな限定デジタルカードが登場すれば、話題にも事欠かないでしょう。イベントに来場したり、どこかのお店で買い物したり、そうした現実の行動とリンクしてレアカードがもらえるキャンペーンが実施されるとしたら、より幅広い層にアプローチできそうです。
◆紙のカードに代わりデジタルカード収集が主流になるか?
この『ポケポケ』の大ヒットで、デジタルカードコレクションへの注目も一層高まるのでは? という声も聞かれています。
デジタルカードコレクションというとNFT(非代替性トークン)化されて、唯一無二のデータとして価値が保証され、仮想通貨で取引できるというイメージがあり、この『ポケポケ』リリース前にもNFTが導入されるのではないかという憶測がありました。
しかし、実際には現状の『ポケポケ』はNFTではなく、また利用規約で「バーチャルコンテンツ若しくは本サービス上のデータを現金や電子マネー等の現実の通貨で売買すること(いわゆるリアルマネートレード)」を禁止行為として挙げています。
ただ、株式会社ポケモンは2022年にデジタルカードに関する特許を出願し、今年認められています。その目的は「デジタルTCG(トレーディングカードゲーム)において、カードに対する思い入れを残すことが可能な技術を提供する」こと。たとえば、各デジタルカードごとに対戦での使用履歴を記録し、表示させるプログラムなどが該当するようです。
その詳細な説明文のなかには、NFTや分散型台帳(ブロックチェーン)への言及もなされています。いわゆるNFTと聞いてイメージする資産性や換金性の裏付けとは方向性が異なりますが、それぞれのカードが書き換わり世界で1枚だけの存在になるという意味では、コレクション性を高めるやり方。『ポケポケ』にも将来的に、NFTと関連した機能が導入される可能性はありそうです。
『ポケポケ』は配信開始からまだ2週間ほど。今後どのような方向性でイベントやキャンペーンが展開されるのか? 本家のゲーム『ポケットモンスター』とのコラボはあるのか? 目が離せない存在です。
<文/卯月 鮎>
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
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この数年来、海外コレクターの熱狂もあって、「ポケモンカード(ポケカ)」の取引価格は高騰していました。2023年半ばには、ハイクラスパック「GXバトルブースト」に封入されたサポートカード「リーリエ(SR)」、通称「がんばリーリエ」の買取価格が1000万円オーバーと話題になりました。しかしその後、価格は下がり、現在「がんばリーリエ」の買取価格は100万円前後だそうです。
◆ポケカアプリ『ポケポケ』サービス開始!
「ポケカバブルは弾けた」と言われていますが、ポケモンカードそのものの人気がなくなったわけではありません。それを証明するかのように、株式会社ポケモンと株式会社クリーチャーズ、株式会社DeNAが共同開発したスマホアプリ『Pokemon Trading Card Game Pocket(ポケポケ)』が大ヒットしているのです。
この10月30日に配信が開始され、リリース2日で全世界累計1000万DLを突破。さらにその1週間後の11月8日には全世界累計3000万DLと一気にアプリゲームの主役に躍り出ました。
11月13日現在、App Store、Google Playでセールスランキング首位を快走中。香港やフランスなど海外のセールスランキングでも好調ぶりを見せています。一部報道では、リリース4日間で売上18億円超との試算も出ています。
◆『ポケポケ』のゲーム内容とは?
では、『ポケポケ』とはどのようなアプリなのでしょうか? 『ポケポケ』は「世界中で楽しまれているポケモンカードを、手軽にコレクションできるアプリ」(公式サイトより)。カード5枚入りのパックを毎日無料で2パック開封でき、カードが集まったら、ソロ対戦「ひとりで」や対人戦「だれかと」が遊べます。パック上部をスッとスライドして開封する瞬間は、リアルなパックを開けるときのドキドキ感と遜色ありません。
また、デジタルカードならではのエフェクト演出もポイント。ダブったカードとゲーム内資源「ひかりのすな」を消費することでエフェクトをゲットして、お気に入りのカードを飾れるという機能が搭載されています。カードイラストのなかに入り込んだかのようなビジュアル演出を備えた「イマーシブカード」も新鮮です。
◆初心者でも対戦しやすい簡易ルールを導入
対戦ルールはスマホ用にカスタマイズされ、本家のデッキ60枚に対し、エネルギーカードを省いた20枚構成でサクサクと進みます。「運の要素が強い」という声もありますが、「簡易版で誰でも遊びやすい」「特別な準備が必要ない」など好意的な声が目立ちました。
現段階ではカードは全301種。第一弾「最強の遺伝子」は、ミュウツー、ピカチュウ、リザードンの3種のパックが用意されています(収録カードは『ポケポケ』独自のもの)。トレード機能については「今後のアップデートにて実装予定」と予告されています。
◆間口の広さで全世界的に社会現象化する!?
スタートダッシュを決めた『ポケポケ』ですが、ポケモンカードに興味がなかった層にまで浸透し、社会現象的な大ブームになるポテンシャルを秘めています。
一番の強みは、やはり間口が広い点。スターターパックを購入しなくてもよく、無料で1日2パック分コレクションを増やせるというのは、無課金や微課金中心のライト層には大きな魅力です。対戦ルールがシンプルなのも初心者には嬉しいところ。
また、今後コラボなどでさまざまな限定デジタルカードが登場すれば、話題にも事欠かないでしょう。イベントに来場したり、どこかのお店で買い物したり、そうした現実の行動とリンクしてレアカードがもらえるキャンペーンが実施されるとしたら、より幅広い層にアプローチできそうです。
◆紙のカードに代わりデジタルカード収集が主流になるか?
この『ポケポケ』の大ヒットで、デジタルカードコレクションへの注目も一層高まるのでは? という声も聞かれています。
デジタルカードコレクションというとNFT(非代替性トークン)化されて、唯一無二のデータとして価値が保証され、仮想通貨で取引できるというイメージがあり、この『ポケポケ』リリース前にもNFTが導入されるのではないかという憶測がありました。
しかし、実際には現状の『ポケポケ』はNFTではなく、また利用規約で「バーチャルコンテンツ若しくは本サービス上のデータを現金や電子マネー等の現実の通貨で売買すること(いわゆるリアルマネートレード)」を禁止行為として挙げています。
ただ、株式会社ポケモンは2022年にデジタルカードに関する特許を出願し、今年認められています。その目的は「デジタルTCG(トレーディングカードゲーム)において、カードに対する思い入れを残すことが可能な技術を提供する」こと。たとえば、各デジタルカードごとに対戦での使用履歴を記録し、表示させるプログラムなどが該当するようです。
その詳細な説明文のなかには、NFTや分散型台帳(ブロックチェーン)への言及もなされています。いわゆるNFTと聞いてイメージする資産性や換金性の裏付けとは方向性が異なりますが、それぞれのカードが書き換わり世界で1枚だけの存在になるという意味では、コレクション性を高めるやり方。『ポケポケ』にも将来的に、NFTと関連した機能が導入される可能性はありそうです。
『ポケポケ』は配信開始からまだ2週間ほど。今後どのような方向性でイベントやキャンペーンが展開されるのか? 本家のゲーム『ポケットモンスター』とのコラボはあるのか? 目が離せない存在です。
<文/卯月 鮎>
【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲーム紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。雑誌連載をまとめた著作『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)はゲーム実況の先駆けという声も
―[絶対夢中★ゲーム&アプリ週報]―