日本の人口減少が叫ばれる中、在日外国人人口は増加傾向にあります。中でも、韓国・朝鮮国籍者は2020年時点で日本の外国人人口の15.6%を占めており、中国に次いで2番目に多い国籍です。
実は韓国の若者の間では、ここ数年で日本をはじめとする海外移住ブームが起きているといいます。
今回は、韓国から日本へ移住した韓国人男性・アルファさん(30代)に、移住の経緯やブームの理由を伺いました。
◆日本人女性との結婚を機に日本へ移住
――アルファさんが日本に移住した経緯を教えてください。
アルファさん:私は兼ねてからお付き合いしていた日本人女性と結婚し、2022年から日本に移住しています。今は建設業界で社員として働きながら、妻と一緒に暮らしています。
――アルファさんには、もともと日本に移住する夢があったのですか?
アルファさん:そうです。高校のときから日本のアニメを1日1シリーズずつ見たり、兵役中も語学を勉強したりと、もともと日本に関心がありましたし言葉もしゃべれていました。
でも、外国人が日本で暮らすにはハードルが高く、普通は結婚ビザか就労ビザが必要です。どのように移住しようか考えていたところ、言語交換アプリで運よく今の妻と出会い、結婚、移住と事が運びました。
◆日本移住コミュニティに80名からの相談が寄せられる
アルファさん:私は移住をきっかけに、日本での生活風景を韓国人向けに紹介するYouTubeチャンネルを始めました。もともとそのチャンネルではゲーム関連の投稿が中心で、視聴者の男女割合は7:3でした。
移住後に妻との生活の様子をアップするようになると、視聴者層ががらっと変わり、見てくれる人の95%が男性になりました。その大部分が私と同じ30代くらいで、日本移住に興味をもつ韓国人たちです。
――視聴者層ががらりと変わったのですね。
アルファさん:はい。また、韓国の大型掲示板で日本移住の相談に乗るコミュニティを作ってみたら、なんとそこには80人ほどから相談が寄せられたんです。
――個人で作ったコミュニティに、80人もの相談が寄せられたのですか?
アルファさん:そうなんです。相談しに来るのは20代から40代前半の人で、中には医者として働いている人もいました。立派な仕事に就いて、人生がうまくいってそうな人まで移住を考えているとは驚きましたね。
――彼らはどういった悩みを抱えていましたか?
アルファさん:日本人と結ばれたいけど何をどうしたらいいか分からない、という人が多かったです。しかし、中には恋愛は眼中になく、とにかく韓国から出たいという思いから相談される方もいました。日本語を勉強したこともなく、すべて一からのスタートを考える人も多かったです。
◆韓国人男性が感じている“生きづらさ”とは
――海外に移住してまで自分の生活を変えたい人がそんなにもいるとは、少し驚きました。ある意味、生きることへの必死さが伝わってきます。なぜ、そこまでして海外に住みたいと思うのでしょうか。
アルファさん:理由はさまざまですが、今かなり言われているのは韓国人男性の生きづらさです。簡単に言うと、韓国ではフェミニズムの意識が強くなりすぎています。
今から40〜50年前、つまり私たちの両親より上の世代が生きてきた時代は、女性の発言権がありませんでした。その反動で、今は女性の声が大きくなっています。
――日本やそれ以外の国でも、女性の権利意識は高まっていますよね。
アルファさん:もちろん、歴史的に見れば当然の流れですし、女性の権利が増すのは素晴らしい傾向です。しかし、韓国はちょっと行き過ぎていると感じます。
◆日本に移住する韓国人男性が増えているわけ
――どのような点が行き過ぎているのでしょうか。
アルファさん:無告罪といって、事実でないことを男性に押し付け警察に差し出そうとする女性が増えています。
警察も女性を優先したほうが自分たちの実績になるから、必然的に男性は不利な立場に置かれます。本当に罪があるかないかに関わらず、女性に言われたら男性は一旦警察に行かなければなりません。電車で痴漢の疑いをかけられた場合もそうです。
――そのような女性たちは、何を目的としているのでしょうか。
アルファさん:お金でしょうね。また、韓国ではここ5年間で離婚率がかなり増加しています。
韓国でも日本同様、離婚すると夫婦の財産を分ける決まりがあります。お金目当てで好きでもない人と結婚し、さっさと離婚しようと考える女性が多いんです。
――日本にもそういう女性はいなくもなさそうですが、どちらかというとドラマのストーリーを聞いているような、非現実味があります。
アルファさん:そうそう。あまりに現実味がないから「現実はドラマよりひどい」という言葉が生まれたくらいです(笑)
ですから、韓国人男性は「韓国で一生暮らしたり、ましてや結婚するメリットがない」と考えるんです。日本に限らず、とにかく海外に出たいという人が増えていますよ。
◆日本移住を考える韓国人男性に伝えていること
――日本への移住を考える人に対して、アドバイスしていることを教えてください。
アルファさん:まず、外国人が海外移住するにはビザの取得が大変です。その中でも結婚ビザは比較的ハードルが低いと言われているため、取得を目指す人は多くいます。
私のように結婚ビザで移住したい韓国人男性には、日本語の勉強は必ずするように伝えています。
――日本に住むなら日本語の勉強は当然必要ですよね?
アルファさん:そうですね。ただ、いろんなレベルの人がいますし、就職や夫婦関係を円滑にするならうまければうまいほうがいいです。
言葉というのは不思議なもので、日本語でしか通じない感情、韓国語でしか通じない感情があります。とくに、夫婦関係では言葉が通じても思いが伝わらないと、お互いが対話を諦めてしまい、関係が深まりません。
大切なのは、相手に言葉の勉強を求めることではありません。互いに自ら進んで、相手の感情や考えを理解できるレベルまで言葉を学ぶことです。そうすることで、互いの文化や価値観への理解も深まり、よりよい関係を築くことができると思います。
【松浦聡美】
韓国のじめっとしたアングラ情報を嗅ぎ回ることに生きがいを感じるライター。新卒入社した会社を4年で辞め、コロナ禍で唯一国境が開かれていた韓国へ留学し、韓国の魅力に気づく。珍スポットやオタク文化、韓国のリアルを探るのが趣味。X:@bleu_perfume
実は韓国の若者の間では、ここ数年で日本をはじめとする海外移住ブームが起きているといいます。
今回は、韓国から日本へ移住した韓国人男性・アルファさん(30代)に、移住の経緯やブームの理由を伺いました。
◆日本人女性との結婚を機に日本へ移住
――アルファさんが日本に移住した経緯を教えてください。
アルファさん:私は兼ねてからお付き合いしていた日本人女性と結婚し、2022年から日本に移住しています。今は建設業界で社員として働きながら、妻と一緒に暮らしています。
――アルファさんには、もともと日本に移住する夢があったのですか?
アルファさん:そうです。高校のときから日本のアニメを1日1シリーズずつ見たり、兵役中も語学を勉強したりと、もともと日本に関心がありましたし言葉もしゃべれていました。
でも、外国人が日本で暮らすにはハードルが高く、普通は結婚ビザか就労ビザが必要です。どのように移住しようか考えていたところ、言語交換アプリで運よく今の妻と出会い、結婚、移住と事が運びました。
◆日本移住コミュニティに80名からの相談が寄せられる
アルファさん:私は移住をきっかけに、日本での生活風景を韓国人向けに紹介するYouTubeチャンネルを始めました。もともとそのチャンネルではゲーム関連の投稿が中心で、視聴者の男女割合は7:3でした。
移住後に妻との生活の様子をアップするようになると、視聴者層ががらっと変わり、見てくれる人の95%が男性になりました。その大部分が私と同じ30代くらいで、日本移住に興味をもつ韓国人たちです。
――視聴者層ががらりと変わったのですね。
アルファさん:はい。また、韓国の大型掲示板で日本移住の相談に乗るコミュニティを作ってみたら、なんとそこには80人ほどから相談が寄せられたんです。
――個人で作ったコミュニティに、80人もの相談が寄せられたのですか?
アルファさん:そうなんです。相談しに来るのは20代から40代前半の人で、中には医者として働いている人もいました。立派な仕事に就いて、人生がうまくいってそうな人まで移住を考えているとは驚きましたね。
――彼らはどういった悩みを抱えていましたか?
アルファさん:日本人と結ばれたいけど何をどうしたらいいか分からない、という人が多かったです。しかし、中には恋愛は眼中になく、とにかく韓国から出たいという思いから相談される方もいました。日本語を勉強したこともなく、すべて一からのスタートを考える人も多かったです。
◆韓国人男性が感じている“生きづらさ”とは
――海外に移住してまで自分の生活を変えたい人がそんなにもいるとは、少し驚きました。ある意味、生きることへの必死さが伝わってきます。なぜ、そこまでして海外に住みたいと思うのでしょうか。
アルファさん:理由はさまざまですが、今かなり言われているのは韓国人男性の生きづらさです。簡単に言うと、韓国ではフェミニズムの意識が強くなりすぎています。
今から40〜50年前、つまり私たちの両親より上の世代が生きてきた時代は、女性の発言権がありませんでした。その反動で、今は女性の声が大きくなっています。
――日本やそれ以外の国でも、女性の権利意識は高まっていますよね。
アルファさん:もちろん、歴史的に見れば当然の流れですし、女性の権利が増すのは素晴らしい傾向です。しかし、韓国はちょっと行き過ぎていると感じます。
◆日本に移住する韓国人男性が増えているわけ
――どのような点が行き過ぎているのでしょうか。
アルファさん:無告罪といって、事実でないことを男性に押し付け警察に差し出そうとする女性が増えています。
警察も女性を優先したほうが自分たちの実績になるから、必然的に男性は不利な立場に置かれます。本当に罪があるかないかに関わらず、女性に言われたら男性は一旦警察に行かなければなりません。電車で痴漢の疑いをかけられた場合もそうです。
――そのような女性たちは、何を目的としているのでしょうか。
アルファさん:お金でしょうね。また、韓国ではここ5年間で離婚率がかなり増加しています。
韓国でも日本同様、離婚すると夫婦の財産を分ける決まりがあります。お金目当てで好きでもない人と結婚し、さっさと離婚しようと考える女性が多いんです。
――日本にもそういう女性はいなくもなさそうですが、どちらかというとドラマのストーリーを聞いているような、非現実味があります。
アルファさん:そうそう。あまりに現実味がないから「現実はドラマよりひどい」という言葉が生まれたくらいです(笑)
ですから、韓国人男性は「韓国で一生暮らしたり、ましてや結婚するメリットがない」と考えるんです。日本に限らず、とにかく海外に出たいという人が増えていますよ。
◆日本移住を考える韓国人男性に伝えていること
――日本への移住を考える人に対して、アドバイスしていることを教えてください。
アルファさん:まず、外国人が海外移住するにはビザの取得が大変です。その中でも結婚ビザは比較的ハードルが低いと言われているため、取得を目指す人は多くいます。
私のように結婚ビザで移住したい韓国人男性には、日本語の勉強は必ずするように伝えています。
――日本に住むなら日本語の勉強は当然必要ですよね?
アルファさん:そうですね。ただ、いろんなレベルの人がいますし、就職や夫婦関係を円滑にするならうまければうまいほうがいいです。
言葉というのは不思議なもので、日本語でしか通じない感情、韓国語でしか通じない感情があります。とくに、夫婦関係では言葉が通じても思いが伝わらないと、お互いが対話を諦めてしまい、関係が深まりません。
大切なのは、相手に言葉の勉強を求めることではありません。互いに自ら進んで、相手の感情や考えを理解できるレベルまで言葉を学ぶことです。そうすることで、互いの文化や価値観への理解も深まり、よりよい関係を築くことができると思います。
【松浦聡美】
韓国のじめっとしたアングラ情報を嗅ぎ回ることに生きがいを感じるライター。新卒入社した会社を4年で辞め、コロナ禍で唯一国境が開かれていた韓国へ留学し、韓国の魅力に気づく。珍スポットやオタク文化、韓国のリアルを探るのが趣味。X:@bleu_perfume