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「全裸以上の恥ずかしい事態に」35歳の現役グラドルがパリコレに出演してみたら――仰天ニュース傑作選

日刊SPA! 2024年11月23日 8時45分

過去5万本の記事より大反響だった話をピックアップ!(初公開2023年10月31日 記事は取材時の状況) *  *  *

 10月頭、パリコレことパリ・コレクションにモデルとして出演した筆者(麻衣阿)。パリコレと聞くと一見華やかな印象があるが、今回は筆者がじかに目にしたパリコレ事情を包み隠さずお話ししたい。パリから日本に帰国するまで、旅はまさにハプニング続きだった……!

◆「お前の衣装をよこせ」モデル同士の攻防戦

 まず驚いたのは、現地で日本の関係者から聞かされた注意事項である。

「ブランドから割り当てられた衣装は、肌身離さず持っていること。たとえ『デザイナーからチェンジするように言われた』と他のモデルが言ってきたとしても、その場で衣装を渡してはダメ。必ず主催側と事実関係を確認してください。中には『私の方が似合うから(着こなせるから)お前の衣装をよこせ』と言ってくるモデルもいます」

「いやそんなまさか」と思うような話だが、実際に衣装ごとランウェイの出演を盗られてしまうなんていうことは多々あるそうで、今回も衣装を盗られた日本人モデルがいた。

 強奪防止に、仲の良いモデル同士で互いの衣装を見張ったりもしていたが、同時に同じブランドで出番がきてしまうなど、どうしても目が離れてしまう時間もあった。今回衣装を盗られずに済んだ筆者はラッキーだったのかもしれない。

◆待ち時間は、まるで“市場に売れ残ったお野菜”の気分

 インド系のプロのメイクアップアーティストに施されたヘアメイクはこてこてのアジア顔で、眉上までアイラインで太く描かれたアイブロウ、そして本物のアイラインのほうは特に何も引かれず、目の下はアイシャドウで真っ黒に。

 ちなみに筆者はブランドの専属モデルとして呼ばれたわけではない。

 筆者のようにフリーで参加するモデルは、椅子に座り、デザイナーやスタッフから声が掛かるのをひたすら待ち続ける。しかし筆者は35歳(出演時)、身長158cm(年々縮む)。

 こんな低身長でアジア顔のモデルに振ってもらえる、西洋の衣装が果たしてどれほどあるのだろうか。そう内心震えながら待ち続けた。

 もちろん真っ先に声が掛かるのは海外のモデルや、いかにもモデルなスタイルの人ばかり……。皆が続々とフィッティングに入るなか、自分よりもだいぶ高齢で低身長のモデルとふたりで取り残され、自信を失っていった。

「ここ(パリ)まで来て、まさかの衣装なし……?」

 笑顔を見せる余裕なんてもはや無い。不安に駆られながら待ち続ける時間は、市場で売れ残ったお野菜の心地がした。

◆全裸以上の恥ずかしい事態に

 やっとのことでビキニブランドの衣装を与えてもらえた筆者。おそらく、下着・水着OKなモデルが少なかったためだろう。

 しかし急な出番で、男性のスタッフやモデルもいるバックヤードで全裸になって着替えることに。

 また運の悪いことに、その日は月のものが来ていたので、急いでずり下ろしたパンツには血塗られた日本国旗が……。

(以前、使用済みナプキンのことを「日の丸弁当」と呼ぶと聞いたことがあったが、そんなところで日本を主張したくはなかった……)

 そして股間からは念のために着用していたタンポンの紐がプラプラと揺れる。

 ビキニ衣装は紐パンだったため、皆アンダーなど穿かずに直穿きしていたのだが、着替えを手伝ってくれていたデザイナーも、筆者の日の丸には驚きつつ「It’s OK!」と言ってくれた(優しい)が、筆者としてはそんなにOKではなかった……。

 ビキニでのランウェイ後は、そのまま大急ぎで別ブランドの衣装へ。Tバック気味のビキニを脱ぎ、パンツを穿く暇もなく、ノーパンのままランウェイ。

 幸い2着目は腰回りが隠れる衣装だったので、観客にノーパンはバレず……しかし転んではいけない、いろんな意味で。

◆もう一人のノーパン星人

 今年3月に、友人でグラビアアイドルの星那美月もパリコレに出演しているのだが、そんな星那もまた、ノーパンでランウェイを歩いたとのこと。

「透けるタイプの衣装でパンツに困っていた他のモデルに自分の脱ぎたてホヤホヤのパンツを貸して、自分はノーパンでランウェイしました。ショー前も、リハーサル中に突然フィッティングに入ったので、DJの人たちや設営スタッフがいる中でおっぱいドーンという感じでした。パリコレの洗礼を受けましたね」(星那美月)

 そう朗らかに語る星那。パリコレのバックヤードはとにかくおっぱいドーン、全裸バーンという光景が普通だった。これには日本の男性モデルたちもなかなか肩身が狭そうで、隅っこの方で静かに目線を外している姿があった。

 そのほかにも日本との違いを聞いてみると、

「あちら(ヨーロッパ)の方たちはあまり時間を気にしないようで、スタートや終わりの時間が数時間単位でズレても、ショーを待っている観客すら誰も怒らなくて、良くも悪くもおおらかで、文化の違いを感じましたね」(同上)

 時間に対する認識の違いだったり、出演者以上に派手な装いの観客がたくさんいたり。パリコレ体験、これすなわち異文化交流会である。

◆最後まで油断禁物のパリコレ旅行、まさかの一文無しに…

 何はともあれ、華やかなステージに立つことができて喜びに満ち溢れた筆者。パリコレ終了後は、他のモデルと数日にわたってパリ観光を楽しんだ。

 そして帰国当日、シャルル・ド・ゴール国際空港へ向かう途中のエレベーター内でスリに遭い、一文無しになった。

 まず何が起きたかというと、エレベーターであとから乗り込んできた長身の男性が、無言で後ろからグイグイ押し込んできたのだが(「エレベーターに乗りきれない」というような空気で)、その直後、筆者が背負っていたリュックのチャックが全開になっていて、財布が消えていた。

 財布に入っていたデビットカードは盗難から1時間以内に5回使われ、クレジットカードは止める前に既に止まっていた。窃盗犯が認証に失敗したからだ。

 かろうじてパスポートだけは別で持っていたのでなんとか出国できたが、あまり使わずに残しておいた現金(ユーロ)全てと保険証類も盗られ、カードや口座関係は全て止めて再発行に。フランスでは通報も何もできないまま搭乗時刻を迎えた。成田に着いてからも無一文で水すら買うことができず、妹が空港まで迎えに来てくれた。

 ちなみにドイツで会社経営をしていた父も、昔、肩にコンデンスミルクのようなものを掛けられ「汚れていますよ」と知らない人から声を掛けられたそうだ。

 そして肩の汚れに気を取られている間に置いた鞄を丸ごと盗まれ、汚れを教えてくれた親切な人の姿も消えていたのだとか。

 鞄の中には家の住所から鍵まで全て入っていたので、防犯のため、家のドアごと取り換えるハメになり、追加で17〜18万円掛かったという(ドアをこじ開けようとした痕跡も見られたそうだ)。

 小切手の冊子も見事に使い切られ、彼のパスポートはその15年後にスペインで、銃殺された人の所持品の中から見つかった。

◆ヨーロッパの美しさと汚さと

 パリだけでなく、ヨーロッパは人助けの精神に富んでいて、困っている人を皆が見過ごさない。街全体で、妊婦やベビーカー、大荷物の人や、老人、迷った観光客を助けるのがもはや常識なので、(かなり離れた場所からも、困っている人に気付けば助けにきてくれる)バリアフリー設備が少ない環境下でもわりと問題なく過ごせたりする。

 こういった側面からも「日本人は冷たい」と言われる意味がよくわかった。筆者も何度、階段前で大荷物と共に立ち尽くしてきたことだろう。

 日本では手を差し伸べてくれるどころか、しかめ面をされたり、「邪魔くせえ」という感じで怒ってくる人までいて、それが当たり前になっている。

 うちの母が妊婦だった頃、ヨーロッパでは至れり尽くせりだったのに、帰国後、たとえばやっとのことで重たいドアを開けたときなど、ドアを開けた妊婦を差し置いて我先にと溢れ出ていく日本人の姿に唖然としたそうな。

 しかし先述の通り、素晴らしい国民性の一方で、ヨーロッパではスリ被害やぼったくりもまだまだ多い。多民族国家ならではというのもあるかもしれないが、単純に街の規模も大きく、そしてどこにだって悪い奴は存在するのだ。

 美しいパリコレのステージ、石造りの街並み、おおらかな精神を持つ人々。そんな華やかな地の光と影……。

 スリ被害は悲しかったけれど、パリコレ含め、素晴らしい経験もたくさんさせてもらった。もしまたパリに行く機会があれば、今度はもっと心して臨みたい。

 皆さんも旅行の際は筆者の二の舞にならぬよう、注意していただきたい。その旅が最後まで楽しいものになることを願う。

<取材・文/麻衣阿、ランウェイ写真/Augustin PARIS>

【麻衣阿】
2社10事業を経営する現役モデル。大河ドラマやオペラ出演など、表舞台で活躍しつつ、イベントや舞台を100企画主催、グラビア作品を100本プロデュースする。辰巳出版『実話ローレンス』、講談社『with online』など、男性向けから女性向けまで幅広く記事を執筆する。Twitter:@MaiaUmetani、Instagram:@maiaumetani

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