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SKE48・青木詩織「焼津に生まれてよかった」最後の凱旋ライブで伝えたかったこと

日刊SPA! 2024年11月23日 8時46分

11月4日、アイドルグループ・SKE48の青木詩織が、地元・静岡県焼津市の焼津文化会館にて「SKE48青木詩織 卒業記念凱旋LIVE ~それを青春と呼ぶ日~」を開催した。11月30日にグループから卒業を発表している青木にとって地元での最後のライブとなった。
2012年にSKE48の6期生オーディションに合格し、2013年にお披露目された青木は、研究生の期間を経て2015年にTeam KⅡの正規メンバーに昇格。同年には地元・焼津市のPR役を担う「やいづ親善大使」に任命され活動もスタート。焼津市のイベントや広告にも登場し、夏祭り「踊夏祭」ではメンバーを引き連れ野外ライブを実施するなど、後に続く地方出身メンバーの活動の雛形にもなった。

◆「思い出に残る良い一日にしましょう!」

今回の凱旋ライブに参加するのは青木詩織、青木莉樺、荒井優希、伊藤実希、岡本彩夏、篠原京香、西井美桜、藤本冬香の8名。全員がTeam KⅡのメンバーだ。またライブも入場無料で実施され、約1200名を招待するという異例の対応がなされた。会場にはファンだけでなく焼津市民も、青木の地元での晴れ姿を見届けるべく訪れていた。

会場前にはこれまで青木が出演してきた焼津市のポスターをはじめ、地元の出店やフラワースタンドが並ぶなど、温かな歓迎ムードに包まれていた。恒例の開演前の影アナウンスでは、本ライブの主役である青木が「みなさんこんばんは!みなさん焼津へようこそ!楽しんでますか!?こうした形で焼津に帰って来られるとは思っていなかったので本当に幸せです。今日は思い出に残る良い一日にしましょう!」と呼びかけ盛り上げる。

開演時間となり会場中が青・黄色・白のサイリウムカラー(青木詩織のメンバーカラー)に染まるなか、『あの頃の君を見つけた』からライブはスタートした。イントロの終わり、センターポジションでスポットライトを浴びて振り向く青木を見つけると、会場中から大きな歓声と共に「おしりんコール」が沸き起こった。フルサイズで歌唱される中で、2番で歌われる歌詞の一節一節から“卒業までの時間はないのだ“と伝えられる。今、目にしている光景が思い出に変わる前に、悔いを残さないようにメンバーたちはパフォーマンスで魅せ、ファンはコールとMIXで応えていく。続いて披露したのは2018年の「踊夏祭」ミニライブでも披露した『いきなりパンチライン』。情熱的な歌詞とダンスに会場はさらに熱を帯びていく。楽曲冒頭から常に声を上げ続ける『Stand by you』で声量が絶対値を超えたところで、「サビで回るところ、踊ってみたかったの!」と話す『青春Growing』で笑顔の花を咲かせた。

4曲を披露し終え、既にライブ一本分の汗と熱量を見せるメンバーたち。自己紹介のコーナーで荒井は、会場から寄せられる青木への声援に「おしりんさんがスターすぎる!」と感嘆。「鳴り止まない歓声……」と言いかけたところで静まってしまった会場に、「いや鳴り止んだ」と青木がツッコみ和ます一幕も。“おしゆき”コンビの掛け合いは場所を問わない。今回のライブで焼津を初めて訪れたという岡本は「焼津のみなさんが本当に暖かくて素敵な場所だなって思いました」と感動し、篠原も「美味しいご飯がいっぱい食べられてすごく幸せです!」と満面の笑顔を見せた。

◆後輩たちへ伝えたいこと

続くユニットブロックでも青木は常にステージからパフォーマンスを届ける。披露された楽曲ごとにメンバーへの想いが込められているといい、岡本、藤本と踊った『Glory days』は、ともに「手をつなぎながら」公演に出演して公演を頑張ったから。荒井、篠原との『放課後レース』は、レッスン後の帰り道がよく一緒になったから。青木莉樺、伊藤、西井ら10期生との『心の端のソファー』では、仲のいい10期生3人の関係がこれからも続いてほしいという願いを込めた。

再び8人でステージに立ちパフォーマンスしたのは、AKB48の『ひと夏の出来事』。この楽曲は「AKB48 53rdシングル 世界選抜総選挙」で青木がランクインした際に、アップカミングガールズとして選抜入りした楽曲。卒業までのどこかのタイミングで歌いたかった一曲だという。

後半戦は『ヘビーローテーション』からリスタート。お馴染みのマイクスタンドを使った振り付けをノリノリでパフォーマンスし、『ウイニングボール』ではメンバー全員が横並びになり、サインボールを客席へ投げ込む。『47の素敵な街へ』では、メンバーたちが客席へ躍り出るサプライズも。このとき青木はトロッコに見立てた台車に載っていたが、これはSKE48の全国ツアーに出演できなかった際に、荒井、市野成美(卒業生)と一緒に「SHOWROOM」で披露した自主企画「全国ツアー in SHOW ROOM」のセルフオマージュ。実際のコンサート会場でやってのける光景に、ファンからは笑いと涙の両方が溢れる。台風が接近する荒天の中、6期生とずぶ濡れになって踊り狂った『オキドキ』、初めて買ったAKB48のCDで、学生の頃に振り付けを覚えて踊っていた『上からマリコ』と、青木の思い出が深掘りされていく。

ライブも終盤戦となったところで、ステージに中野弘道焼津市長と、同市のマスコットキャラクター・やいちゃんが、大きな花束を持って登場した。中野市長は「やいづ親善大使」として同市に貢献した青木へ感謝を述べながら、「まさに“スーパーアイドル”。青木さんの活躍で焼津市も勢いが増しております。青木さんのこれからの新しい船出を応援していただきたく思いますし、焼津市からも暖かい気持ちで見守っていきたいと思います」と激励。岡本考案の“焼津ポーズ”(顔の下で両手をYの字にするポーズ)を披露しステージを去った。

◆前のめりに地を蹴って

本編の最後は『前のめり』で締め括られた。ファンの前で卒業を発表するまでの期間中に聴き、辛かった時期に背中を押してもらっていたのだという。歌詞の通り、新しい世界へと駆け抜けていく準備は整ったかのように、曲中に何度もあるソロパートを全力で歌う青木。そのスタート地点は自身の故郷であり、苦楽を共にしたTeam KⅡのメンバーと会場に集ったファンが門出を後押しする。なんて多幸感に満ち溢れた空間だろうか。やがて会場全体に“おしりんコール”が湧き起こりアンコールが発動した。

新衣装に着替えてステージに戻ってきたメンバーたちは『逆上がり』から再びライブをスタート。以前、グループの冠番組で実際に逆上がりに挑戦し、人生初成功したエピソードが重なっているという。そして、楽曲はライブタイトルにもなっている『それを青春と呼ぶ日』へ。この楽曲は2013年当時、卒業を発表していた矢神久美、小木曽汐莉らに贈られた卒業ソング。彼女たちが旅立った日本ガイシホールでのコンサートは、青木ら6期生が初めて出演したコンサートだった。メンバーたちの頭上を通過していった卒業生9人の後ろ姿を見ていた彼女が、この楽曲と共にSKE48を卒業しようとしている。ステージに立つ姿は指折りで数えるだけ。アイドルでいる“最後”の瞬間がまもなく訪れようとしている。2番の歌詞を荒井と一緒に歌う姿からも強く感じる場面だった。

◆「焼津に生まれてよかった」

最後のMCの時間で青木は、「加入した頃からの夢が地元でお仕事をすることだったんです。昇格してすぐに『やいづ親善大使』のお話をいただいて、地元でたくさんお仕事をさせていただきました。それだけじゃなくて、アイドルではなかなかないマグロの解体ショーや車両の広告ジャックだったり、いろんな経験をさせてもらえて、最後の最後に『やいづ親善大使』に任命していただいた会場で凱旋ライブができたことがとってもとっても幸せです。焼津に生まれてよかったと改めて思いました」と感謝を述べた。

そして、共にステージに立ったメンバーたちへ向けて、「ここにいるメンバーのほとんどが他県から名古屋へ出てきて頑張っている子たちで、自分の地元でお仕事をしたいと思っている子もSKE48にはたくさんいます。みんなが地元で夢をたくさん叶えられたらいいなって思います。SKE48は私が卒業してもまだまだ続くので、これからもSKE48のことを応援し続けてほしいし、今日をきっかけに焼津のことを好きになって帰ってくれたらなって思います」と締め括った。

いよいよ最後の楽曲を前に、焼津でのライブには欠かせないご当地シャツ「魚河岸シャツ」を羽織ったメンバーたち。深く深呼吸して『DA DA マシンガン』を全力でパフォーマンス。しんみりとさせずに、最後の最後までやりたいことを詰め込んだ完全燃焼系ライブとなった。

アイドルとして活動してきた12年。加入して程なく当時の中心メンバーが卒業し、“組閣”でグループの体制が変化。それから「NHK紅白歌合戦」、ナゴヤドーム(現・バンテリンドーム ナゴヤ)コンサートと目まぐるしく駆け巡りながら、ある日突然劇場公演に出られないというピンチにも見舞われた。無事にTeam KⅡへ昇格しても、心のどこかに不安を抱え、それが表に出てしまったことも何度もあった。それでも、「選抜総選挙でランクインしたい」、「選抜メンバーになりたい!」と目標を語り、全てが叶ったわけではないが、SHOWROOMやTikTokなど、今の自分にできることをコツコツと紡ぎ、いろんな形で実現させてきた。多くの後輩たちに支え、支えられ、今では誰よりもメンバーを理解できる先輩へと成長した。アイドルを卒業し、次はどこへと向かうのか?
彼女の未来はまだ内に秘められている。

<取材・文・撮影/安藤龍之介>

◆凱旋ライブ前の青木詩織にインタビュー

ライブ前の青木にインタビューをする機会を得た。「やいづ親善大使」として活動したこれまでの歩みと、凱旋ライブにかける思いを語ってもらった。

Q.当時は出身地を明かして、親善大使として自治体と活動する取り組みが珍しかったと思いますが、任命されたときの率直な気持ちはどんなものでしたか?

青木詩織(以下、青木):福士奈央(卒業生)ちゃんが最初に親善大使の活動を始めたと思うんですけど、もう羨ましくて!私もやりたいと思っていたので、お話をいただいたときに同じように親善大使の仕事ができることがとにかく嬉しかったです。加入時から将来の夢に“静岡のローカルタレント”と書いてもいましたし。

Q.キャッチフレーズに「やいづ親善大使」のアピールも加えるようになってから、自己紹介よりも焼津の紹介の方が長くなることもありましたね。

青木:それぐらい自分にとって自慢できることで、1番にアピールしたいポイントだったんです!

Q.焼津市との取り組みで印象に残っているものはありますか?

青木:どれもインパクトのあるコラボだったんですけど、その中でも特に嬉しかったのが、焼津市のふるさと納税の広告に起用されて、それが地下鉄の車両全部に掲示されたことです。どこを見渡しても私の顔があって、「私、芸能人だー!」って思いました(笑)。メンバーもファンの方も見つけて、写真を撮ってくれて報告してくれて嬉しかったです。

Q.名古屋から臨時列車を走らせたり、クリスマスのイルミネーションの点灯式にも参加されたり、マグロの解体ショーもありましたね。

青木:マグロの解体ショーは世界選抜総選挙の公約で勝手に言っちゃったものなんですよね(笑)。実際にランクインできてやることになって、「自分たちで用意するのか?」って悩んでいたときに焼津市さんが場所とマグロを提供してくださったんです。もう本当に感謝してもしきれないです。

Q.さて、凱旋ライブもまもなくですが、今の心境的に楽しみと緊張、どっちが強いですか?

青木:今は楽しみが勝ってますけど、たぶん、ここからヤバいと思います(笑)。まだリハーサル前なので緊張がどんどん出てきそうで。

Q.MCで噛まないか心配って投稿されていましたけど。

青木:なのでメンバーには前もって言ってあります。「もしものときはフォローしてね」って。

Q.ライブにはTeam KⅡから青木莉樺さん、荒井優希さん、伊藤実希さん、岡本彩夏さん、篠原京香さん、西井美桜さん、藤本冬香さんが一緒に盛り上げてくれますね。

青木:本当はTeam KⅡ全員を呼びたかったんですけど、お仕事の状況を聞いたらこの7人がちょうど空いてたんです。仲のいいメンバーが揃って本当に奇跡みたいです!

Q.ライブを通じてファンの方へ伝えたいことはありますか?

青木:今回のセットリストの内容は、SKE48として活動してきた12年間の中で思い入れのある楽曲で組みました。一緒に出てくれるメンバーへの想いも込めています。当時の楽曲を聴いて、「あの頃のおしりんってこうだったな」って、振り返ってもらいながら観てもらいたいと思ってます。

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