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長男1人に5000万円の教育費。世帯年収700万円でさせたアメリカ留学の“大きすぎる代償”

日刊SPA! 2024年11月26日 8時53分

人生100年時代の折り返し地点で、人は多くの問題に直面する。親の介護や病気、夫婦仲の冷え込み、子供の問題……。クリアが困難な“無理ゲー”の数々をどう解決すればいいか? 令和の家族メンテナンス法を探った。
◆私立中学の受験を勧められたのが運命の分かれ道に

「常に家計は火の車です……」

そう話すのは、学生寮の住み込み寮長として働く片岡恭平さん(仮名・57歳)。私大に通う長女と米フロリダ大学に留学した長男に計7000万円の教育費がかかったという。

「2人とも地元の公立小学校に通ってましたが、公立は教育水準が低いという理由で先生から私立中学の受験を勧められたのがきっかけでした」

◆息子がフロリダ大学に編入できたのは誇らしかったが…

長男は都内の中高一貫校に入学。短期留学を経験したことで海外志向が芽生えた。

「アメリカの大学に行きたいと言いだした。語学学校、コミュニティカレッジを経て、フロリダ大学に編入できたのは誇らしかったですが、留学費用が円安の影響で3000万円もかかりました。今年卒業しましたが……長男の教育費だけで計5000万円近くかかっています」

◆子どもが卒業しても老後が不安

世帯年収700万円ほどの片岡家にとって、あまりにも大きい代償だった。

「今は夫婦で学生寮に住み込みで働いており、家賃、光熱費、食費がかからないから、ギリギリやっていけてるだけ。長女は来年から大学院に行きたいと言ってるので、給料のほぼすべてを子供に回す生活はあと2年ほど続きそう」

問題は、老後の不安だ。

「昔買った株が少しありますが、老後資金の準備が間に合ってません。妻は『マイホームが欲しい』と言ってましたが、とうの昔に家を買うのは諦めました。少しでも長く働きながら、株が値上がりし続けることを祈ります」

◆子供の教育に過剰にお金を注ぎ込む家庭は増えている

実は、こうした家庭は増えている。ファイナンシャルプランナーの黒田尚子氏が話す。

「子供の教育に過剰にお金を注ぎ込むことは、老後を犠牲にする行為。結果的に、子供に老後の面倒を見させる行為にもなりかねません。実際、日本人の生涯医療費は平均2800万円ですが、その半分が70歳以降に発生します。自己負担割合が2割なら300万円で、別途、平均して介護費用は500万円、老人ホームへ入居するなら1000万円ほどかかる。

将来発生しうる支出と受け取る給料や年金から逆算して、教育費を設定するべきなのです。今からでも、お子さんには奨学金を利用してもらうなどして、老後資金の確保に務めるべきです」

子のための投資が自分の老後のためとなってはならない。

◆片岡家が直面する難題

①私立中高から長男は米国の大学へ
円安の影響で留学費用がかさみ、長男の大学進学に費やしたお金だけで3000万円以上になったという。

②長女は私立中高大を経て大学院に
留学した長男ほどではないが、私立理系大学に進学した長女の教育費負担も重しに。今も毎月10万円以上仕送り。

③教育費がかさみすぎて老後資金なし
学生寮に住み込みで働いているため家賃などはかからないが、収入のすべてを子供に回しているため蓄えなし。

◆黒田氏が指摘する家族のメンテナンス法

過剰な教育投資は老後を壊す

無理な教育投資は、結果的に子供に老後の負担を強いる行為となりかねません。一般に人生の“貯め時”は3回のみです。夫婦共働き時代、子供が小さい時代、そして子供が独立した後の60代前後。特に3回目で効率よく老後資金を貯めるために早くから計画を立てて教育投資の予算を設定しましょう。

【ファイナンシャルプランナー 黒田尚子氏】
日本総合研究所を経て、独立系FPに転身。城西国際大学非常勤講師も務める。著書に『お金が貯まる人は、なぜ部屋がきれいなのか』

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[無理ゲー家族]と生きる]―

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