たとえ仲の良い家族や友人であったとしても、相手のすべてを理解することは難しいもの。相手の言葉や表情を読み違え、気まずい思いをしたという人も多いのではないだろうか。もしそれが、これから関係を深めていこうという相手なら、なおさらかもしれない。
◆エリート商社マンとマッチング
人並みには恋愛も経験してきた船橋静子さん(仮名・32歳)だが、30歳を過ぎてから「このままでいいのか?」という気持ちが強くなり、マッチングアプリや婚活アプリを開始。それは、学生時代から密かに憧れていた理想のパートナーを探すためだった。
「マッチングアプリに登録するとすぐ、たくさんの男性から返信があり嬉しかったです。やり取りをするなかで、理想の男性Sさん(30代後半)とも知り合うことができました。容姿端麗で、エリート商社マン。とてもやさしく完璧すぎるような人でした」
そのため静子さんは、「どうしてこんな人が、マッチングアプリに登録したのだろう?」「どうして私を選んでくれたのか?」と疑問に思ったほど。けれど聞くことによってSさんとの関係が変わってしまうことが怖く、そのままズルズルとデートを重ねていった。
◆両腕を縛って…本性をむき出しに
「そんなある日、彼が自分の愛車で旅行しようと提案してくれたのです。宿泊先や行き先は秘密と言われ、すごく楽しみでした。オシャレなカフェでランチを食べ、水族館でまったりデート。ステキな時間を過ごしたのですが、到着した宿泊先が、なんとラブホだったんです」
歴代彼氏とのデート体験から、「旅行なら、リゾートホテルと思っていた」という静子さんは違和感を覚えながらもラブホテルへ。最初はアルコールや食事を注文して楽しく過ごし、「いよいよSとの初体験か」と期待していたところ、Sさんの本性が顔を出した。
「私が酔っぱらったのを見計らうと、洗面台にあったフェイスタオルを持ってきたのです。そして、すごい力で私をベッドに押し倒すと、怖い顔で『じっとしてろ!』と声を荒げ、Sは鳴れた手つきで私の両腕をまとめてフェイスタオルで縛り上げました」
◆「強引なぐらいの人が好き」を誤解?
いままで見たこともないような鋭いSさんの表情。そして、お酒に酔っていることもあり上手く抵抗できないことが、恐怖心を掻き立てる。けれど、静子さんが恐怖で震えはじめるとSさんは嬉しそうにニヤニヤと笑い、「そういう顔が最高だよ」などと囁きはじめたとか。
「これから何をされるのかと、恐怖のあまり鳥肌が立ちました。そして無意識に、ぶわっと涙があふれてきたのです。思わず泣き出した私を見て、Sは驚いていました。そして狼狽えた表情で『え……っと、どういうこと?』と質問してきたのです」
静子さんが思わず「こっちが聞きたい」と泣きながら伝えると、Sさんは「マッチングアプリのプロフィールに『強引なぐらいの人が好き』って書いてあったし、メッセージのやり取りでも『Sっぽい人がタイプ』と書いてあったから」と、ションボリ。
◆勘違いのまま自然消滅に
「私は『引っ張ってくれる、男らしい人がタイプ』くらいのつもりで書いていたのですが、Sは言葉どおり素直に解釈していたようです。そして、『Mっ気のある理想の人と出会えたと思っていたのに、残念』と言い残し、そのままベッドでひとり眠ってしまいました」
翌日は観光して帰宅する予定だったが、Sさんの様子を気遣って、静子さんのほうから「今日は、もう帰ろう」と提案。帰りの車内では「勝手に勘違いしていて申し訳なかった」と謝罪があったものの、そのあとは1時間ほぼ無言の状態が続いたという。
「何を話せばいいかわからなかったし、Sも同じ感じだったと思います。その後、向こうからの連絡はないですし、私からもしていないので、自然消滅のような状態です。誤解が生んだ恐怖のラブホ体験をして、意思の疎通って難しいと実感しました」
初対面はもちろん、これから関係を深めていこうという相手との意思疎通は難しいもの。婚活アプリやマッチングアプリで出会いを求める人も増えているが、プロフィール欄への記載やメールでのやり取りには十分に気をつけてほしい。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
―[ラブホの珍エピソード]―
◆エリート商社マンとマッチング
人並みには恋愛も経験してきた船橋静子さん(仮名・32歳)だが、30歳を過ぎてから「このままでいいのか?」という気持ちが強くなり、マッチングアプリや婚活アプリを開始。それは、学生時代から密かに憧れていた理想のパートナーを探すためだった。
「マッチングアプリに登録するとすぐ、たくさんの男性から返信があり嬉しかったです。やり取りをするなかで、理想の男性Sさん(30代後半)とも知り合うことができました。容姿端麗で、エリート商社マン。とてもやさしく完璧すぎるような人でした」
そのため静子さんは、「どうしてこんな人が、マッチングアプリに登録したのだろう?」「どうして私を選んでくれたのか?」と疑問に思ったほど。けれど聞くことによってSさんとの関係が変わってしまうことが怖く、そのままズルズルとデートを重ねていった。
◆両腕を縛って…本性をむき出しに
「そんなある日、彼が自分の愛車で旅行しようと提案してくれたのです。宿泊先や行き先は秘密と言われ、すごく楽しみでした。オシャレなカフェでランチを食べ、水族館でまったりデート。ステキな時間を過ごしたのですが、到着した宿泊先が、なんとラブホだったんです」
歴代彼氏とのデート体験から、「旅行なら、リゾートホテルと思っていた」という静子さんは違和感を覚えながらもラブホテルへ。最初はアルコールや食事を注文して楽しく過ごし、「いよいよSとの初体験か」と期待していたところ、Sさんの本性が顔を出した。
「私が酔っぱらったのを見計らうと、洗面台にあったフェイスタオルを持ってきたのです。そして、すごい力で私をベッドに押し倒すと、怖い顔で『じっとしてろ!』と声を荒げ、Sは鳴れた手つきで私の両腕をまとめてフェイスタオルで縛り上げました」
◆「強引なぐらいの人が好き」を誤解?
いままで見たこともないような鋭いSさんの表情。そして、お酒に酔っていることもあり上手く抵抗できないことが、恐怖心を掻き立てる。けれど、静子さんが恐怖で震えはじめるとSさんは嬉しそうにニヤニヤと笑い、「そういう顔が最高だよ」などと囁きはじめたとか。
「これから何をされるのかと、恐怖のあまり鳥肌が立ちました。そして無意識に、ぶわっと涙があふれてきたのです。思わず泣き出した私を見て、Sは驚いていました。そして狼狽えた表情で『え……っと、どういうこと?』と質問してきたのです」
静子さんが思わず「こっちが聞きたい」と泣きながら伝えると、Sさんは「マッチングアプリのプロフィールに『強引なぐらいの人が好き』って書いてあったし、メッセージのやり取りでも『Sっぽい人がタイプ』と書いてあったから」と、ションボリ。
◆勘違いのまま自然消滅に
「私は『引っ張ってくれる、男らしい人がタイプ』くらいのつもりで書いていたのですが、Sは言葉どおり素直に解釈していたようです。そして、『Mっ気のある理想の人と出会えたと思っていたのに、残念』と言い残し、そのままベッドでひとり眠ってしまいました」
翌日は観光して帰宅する予定だったが、Sさんの様子を気遣って、静子さんのほうから「今日は、もう帰ろう」と提案。帰りの車内では「勝手に勘違いしていて申し訳なかった」と謝罪があったものの、そのあとは1時間ほぼ無言の状態が続いたという。
「何を話せばいいかわからなかったし、Sも同じ感じだったと思います。その後、向こうからの連絡はないですし、私からもしていないので、自然消滅のような状態です。誤解が生んだ恐怖のラブホ体験をして、意思の疎通って難しいと実感しました」
初対面はもちろん、これから関係を深めていこうという相手との意思疎通は難しいもの。婚活アプリやマッチングアプリで出会いを求める人も増えているが、プロフィール欄への記載やメールでのやり取りには十分に気をつけてほしい。
<TEXT/山内良子>
【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
―[ラブホの珍エピソード]―