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若い女性店員にばかり質問してくる“高齢の男性客”。「結局買わないんですよ」と悩む店側の対応が斬新すぎた

日刊SPA! 2024年12月2日 8時52分

 小売店泣かせの「結局買わない客」。買う気がないのに、店員を占領して会話を楽しんだり、さんざん説明を受けたのにもかかわらず、最終的にネット通販などを利用して店舗で買わない客です。店側にとっても、そういう客は大きなリスクになります。今回は、ある小売店が実践した回避策を紹介します。
◆初老の客と若い女性店員

 郊外型家電量販店で店長を務める宮崎さん(仮名・36歳)の店舗には、老若男女の客が日々来店するといいます。ただ、平日はどちらかというと高齢の男性客が多いのだとか。そんな宮崎さんの店舗では、ある問題が生じているといいます。

「若い女性スタッフばかりにまとわりつく高齢男性客に困っています。身なりや言葉遣いなどはいたって普通なのですが、開店とともに現れ、お目当てのスタッフに接客を求めるんです。ほぼ購入はしていませんね。外から見ていると会話を楽しんでいるようにしか見えないのです。本当に迷惑です」

宮崎さんも現場は把握していたそうで、周囲で気づいた男性スタッフにヘルプさせたりして対応策はとっていたそうですが、一筋縄ではいきませんでした。

◆スタッフたちが知恵を絞るものの…

 入社8年目になるMくんが提案した対応策は、いたってシンプルで、男性スタッフが接客を交代するというもの。

「常に男性スタッフは女性スタッフを注意深くチェックしておき、迷惑な客に捕まっているところを目撃したら、『〜さん、4番、お客様からお電話です。続きはわたくしが〜に代わりご説明いたします』という具合に、違和感なく接客を交代する方法です」

 ただ、この方法だと混雑時には男性スタッフ自身も他の接客に当たっているため、接客を交代することは難しく、その辺が課題となりました。

◆ある中堅女性スタッフが提案した妙案

 そんな中、入社13年目の女性スタッフSが提案した対応策は実に妙案だったそうです。

「彼女はもともと舞台女優を志していて、掛け持ちでうちのパートをしてもらっていたんです。その彼女からの妙案は、客の前で演技をするというものです。具体的には、接客の後半で『私には販売ノルマがあって、それを達成しないと売り場に立てなくなるんです』と訴えるという方法です。もちろん本気で嘘をついて商品を買わせるつもりはありません。涙目になれば尚良しとのことで、早速Sの指導の元、若手女性スタッフは演技指導を受けました」

 最初は戸惑いの声も聞かれましたが、みんな競い合うようにバックヤードで練習したりして、やる気満々で売り場に出ていったそうです。

「Sさんは指導熱心で、男性スタッフを迷惑客に仕立て、自分が若手女性スタッフ役になりお手本ビデオを作成したほどです。なぜか、みんな楽しんで習得していました」

◆迫真の演技が功を奏した

 いよいよ実践の日がやってきました。もっとも被害に遭っている若手女性スタッフが売り場でスタンバイしていると、まるで獲物を見つけたライオンのように、その迷惑な老人客は近寄ってきたと言います。

「その日は私も遠目で監視していました。予想通り、その老人客は楽しそうに若手女性スタッフと談笑しているように見えました。彼女も特に迷惑そうな表情は浮かべずにマニュアル通りの接客を行っていたと思います」

 接客開始から30分ほど経過した時、入社13年目の女性スタッフSがインカムで合図を送ったようで、若手女性スタッフの表情が少し固くなりました。

「お客様、この商品をご購入されますか?もし、もしご購入いただけたら今後も売り場に立つことができるのですが、そうでない場合は明日からバックヤードのお仕事になるので、このような接客ができなくなるんです」

 Sさんから指導を受けた通り、少し神妙かつ弱々しい声で迷惑老人客に告げた女性スタッフ。すると、それまで饒舌に話していた会話がぴたりと止まり、しばらく沈黙が続きました。その後辺りをキョロキョロと見渡したかと思うと、その迷惑老人は何も言わずに帰っていったのです。その後、迷惑老人客は来店しなくなったとか。

<TEXT/ベルクちゃん>

【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

―[カスハラ迷惑客を成敗]―

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