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「お年玉は全額子供に渡す」子育て歴20年のミニマリストが力説する“隠さない育児”のメリット。性の話もオープンに

日刊SPA! 2024年12月17日 8時52分

 はじめましての方もはじめましてじゃない方もこんにちは。2児の母でミニマリストの阪口ゆうこ(@sakaguchiyuko___)です。 20年近く子育てを続ける中で一般的な「常識」について考えないまま行うことを見直し、自分たちにとって不要なことをやめる育児をしてきた。
 今回は、親子間で話しにくいとされる「死」「性」「お金」の話題について、隠さず話すことの重要性とメリットを紹介する。

◆お金の話は早いほうがいい

 昭和・平成時代の価値観では、収入や資産についてベラベラと人に話すことは「品がない」とされてきた。その結果、私はお金に関する知識が身に付かないまま大人になった。そして、多くの金銭トラブルを経験してきた。

 もらったお給料の範囲で生活することができず常に金欠状態で、便利そうだからと気軽にクレジットカードを作って返済に追われた。使用料が残高不足で携帯電話が止まったこともあるし、親にお金を借りることが何度もあり、心配をかけ続けた。

 あれ? 王道のお金の失敗コンプリートじゃない? そんなツラい体験から、いまだにお金には苦手意識がまとわりついている。この状態を繰り返したくない一心で、我が子にはお金の教育を先入観の少ない頃から始めようと思ったのだ。

◆失敗は財産!具体的なアプローチ

 子どもたちには小学生の頃から家計を隅々まで大公開し、収入や支出、税金や投資について日常的かつ意識的に話すようにした。

 具体的には、収入源や支出項目を見せ、どれだけお金がかかるかを伝えることで子どもたちは「生活にはこれほどのお金が必要なんだ」「学費ってこんなにかかってんの」と実感。振り返ってみると彼らからは「やべー」しか聞いていない気がする。

 お正月にお年玉をもらう際に「大事に貯金してね」と言われたことはないだろうか。私は言われたことが何度もある。そして、「貯金しておいてあげるね」と言う母にお年玉を渡した。数年後「あのお年玉どこいった?」と、“母ATM”から引き出そうとしてもフル無視される未来が待っていた。

◆お年玉を「無駄使い勉強」で子供に渡したら…

 その記憶が残っていたので、私は「無駄使い勉強しなよ」と言って子どもたちに全て渡すことにした。学びにあててもらおうと思ったのだ。彼らは、思いつきでおやつを買い漁ったり、ゲームセンターにお金を注ぎ込んだりしてすぐに使い切った。

 そして、本当に欲しいものを前に「あんなことに使わなきゃよかった」と漏らしながら、無駄遣いを学んだ。「失敗」も体現しないと学びにならないのだ。

 これらの取り組みを通じて、子どもたちはお金に対する「なんか知らんけどヤベー気がする」という漠然とした不安から「どんな方法でお金を増やしていこうか」という不安に変わった。同じ不安でもお金の正体を理解した上での不安のようだ。また、親子間でお金について気軽に相談できる環境ができたのも大きな成果だ。

 お金の話は日常から話してよし。

◆性の話を隠さないのはメリットしかない

 性の話も、昭和時代は「お下品」とされタブーの話題とされてきた。学校でも性に関する授業はこっそり行われ、親子間でも避けられる話題だった。

 私自身、彼氏ができた高校生の頃に親から急に「そういうこと(S〇X)はしないでね」と言われ、戸惑いと嫌悪感を抱いた経験がある。それまでひた隠しだったのに急に「子ども」から「女」に見られた気がして、シンプルに気持ちが悪かったのを覚えている。

 そのため、私は我が子が小さい頃から性に関する話題を日常的に共有してきた。質問には淡々と答え、必要であれば一緒に調べることで、性に対する偏見や誤解を減らすことを心がけた。

 たとえば、ドラマの濡れ場シーンについても、「この後どうなるの?」という質問があれば「これはおそらくS〇Xだね」と率直に説明した。そして「一方通行の気持ちではやってはいけない行為で、相手の同意がないとダメ」と補足もした。

 小さい頃から性の話をしてきた結果、思春期になった子どもたちとも避妊や性犯罪回避についてオープンに話せるようになった。高校入学と同時に避妊の話を真剣に聞いてもらえたのは快挙でしかない。性の話を日常的にすることで、恥ずかしさを減らし、性犯罪を予防する術を共に考える環境を作ることができた。性の話は日常から話してよし。

◆死生観を日常的に話すのが良い理由

 ミニマリストとして「死後の家族の負担を減らすために物を減らす」という考えを耳にする。死は避けられないものだからこそ、私は幼い頃から子どもたちに「人は必ず死ぬ」と話してきた。死生観を日常的に話すことで生じるメリットは以下である。

◆心構えができる
「死」を連想する状況になると、死生観は話題にしづらい。当事者から話そうとしても「縁起が悪い」といって周りが聞きづらくなる。実際、私の兄が最近脳幹出血で倒れたのだが、「今夜がやまです」というドラマでしか聞いたことがない言葉を聞いてパニックに陥ってしまった。控えめに言ってあんな状況で「死」に関する話なんて無理である。

 しかし、日常的に「死生観」を話していればもっと冷静でいられたと感じた。あ、兄は奇跡的に後遺症もなく回復してます。

◆人生に前向きになる
 日常的に「必ず人生には終わりがある」と話していたら、我が子たちは先に待つ「死」に対して恐怖が少ないように感じている。「前世も来世もない。死ぬと人は【無】になる」。こう話せば、やり直しができないのが人生で、その1回を真剣に生きようと思ってくれる。親の私からすれば大きすぎるメリットだ。

◆おそらく亡くなった後の片付けも容易に

◆おそらく楽になる
 YouTubeを観ながら「今死んだら、お葬式のBGMはこれにして」。盛れた自撮りが撮れたら「今お母さんが亡くなったら遺影はこれにしてよ」。花屋さんで可愛い花を知ったら「棺桶は一番安いやつでいいから、この花飾って!」。免許更新のたびに「臓器提供全部丸してるからね」。

 その度に我が子からは「こんなロックをBGMにしたら参列する人びっくりするで」「美白加工した画像って遺影にしてええの?」「安い棺桶ってよく燃えるんかな」「酒飲みの肝臓を提供するなんて図々しいで」などとつっこまれながらも、本当にカジュアルに話せている。

 ここからは想像の域だが、これだけ日常的に話していれば私が亡くなった後の片付けも比較的容易だと思う。我が子たちは、「面白い母だった」というイメージだけで残りの人生を生きてくれるだろう。自分では子ども孝行だと信じている。死生観は日常から話してよし。

◆隠さないことで築けた親子の関係

「死」「性」「お金」の話題は、親子間でも隠されがちなテーマだが、これらを日常的にオープンにすることで、我が子は人生に立ち向かえる力を得ることができた。そして、隠さず話すことで、この先も相談を受けられる安心感も持てている。

「話しにくい話題を隠さない」ことが、子どもたちの自立や親の安心感につながると実感している。

<TEXT/阪口ゆうこ>

【阪口ゆうこ】
1981年生まれ。整えアドバイザー。片付けや整えについてのブログ「HOME by REFRESHERS」を運営。コラムなどの執筆、セミナー開催を行う。著書に『ゆるミニマルのススメ』などがある。好きなものはビール、宴会、発信すること。嫌いなものは戦争、口内炎、マラソン。Instagram:@sakaguchiyuko___

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