さまざまな事情を抱えた人たちが利用するラブホテル。一般的には、ドキドキ、ワクワクしながら、ときにはソワソワと向かう場所だ。
今回は、ラブホで働いていた経験のある2人の“忘れられないトラブル”を紹介する。
◆食事トラブルから始まった緊張の対面
「私は20代前半の頃、ラブホで食事をつくる仕事をしていました」
神田好江さん(仮名・30代)は、食事係を担当していたが、を冷凍ご飯を温め、おかずをつくるといった比較的簡単な業務だ。
「食事ができあがったら、お客様の部屋の横にある小窓を開けて食事を置き、チャイムで知らせるシステムでした。食事の依頼は1日1回だけの時もあれば、4~5回の時もあるので、ご飯は事前に炊いて冷凍していたんです」
その日もチャイムで客に知らせ、神田さんはすぐに別の仕事をしていたのだが、数分後に受付にクレームの電話が鳴った。
「お客様のクレームは、『ご飯が固くて食べられない!』とのことでした。私のミスだったのですぐに謝罪し、ご飯を取り替える準備をしたんですが、お客様の要求は次第にエスカレートしていきました」
◆ラブホの客から「部屋に来い!」
客に「部屋に来い!」と言われ、神田さんはその要求に応じることになったという。
「ラブホのお客様の部屋に足を運ぶこと自体が初めてで、不安と緊張が高まっていました」
神田さんはこの時、「もし部屋で裸だったらどうしよう」「何か危険な目に遭ったらどうしよう」という思いが頭をよぎっていたそうだ。
「同僚と一緒に部屋に向かいドアをノックすると、そこには40歳くらいの中肉中背で気難しそうな男性客がいました」
「ご飯を食べてみろ」と言われ、その場で食べる羽目になったのだとか。
確かにご飯が固かったため、「固いです! 申し訳ございません」と神田さんは謝り、正座して謝罪した。
「心の中で、『こんな状況になるなんて……』と思いました。それでも、何とか謝罪を終えて、事務所に戻ることができてたのでホッとしたのを覚えています」
緊張が解けて神田さんが最初に発した言葉は、「裸じゃなくてよかった」だったという。
「解放されて安心したのか、自分が発した言葉に笑えてきました。今思えば、殴られたり刺されたりしなくてよかったと思いますね」
◆何の事件も起こらずに清掃できる日は“ラッキーな日”
大学生活を送りながら、お金を稼ぐために塾講師をしていた村田健吾さん(仮名・20代)。普通のバイトだけでは物足りず、珍しい仕事に挑戦してみたいという気持ちから、ラブホの清掃のバイトをすることになったという。
「初出勤の日は緊張しましたが、簡単なマニュアルがあり、実際に清掃業務をすることになりました」
ベッドのシーツ交換やシャワールームの清掃、アメニティの消毒や補充など、比較的軽い仕事が多く、安心して仕事を進めることができたそうだ。
「これだったら続けられるな」と思った村田さん。必要以上に緊張していたことがバカらしく思えたというが、楽だったのは最初の週だけだったようだ。
「特に事件もなく清掃だけできる日は“ラッキーな日”だと、よく先輩社員が言っていましたね」
そして、バイトを始めてから2週間目を迎えた頃、事件が起こった。
◆ラブホから“持ち去られた電子レンジ”
「ある部屋を掃除していたのですが、棚に置いてあったはずの“電子レンジ”が消えていたんです。アメニティが消えることはよくありますが、まさか大きな家電製品が盗まれるとは考えもしませんでした」
どのように持ち去ったのか不思議でならなかったと、村田さんは話す。
「私は社員に報告し、その後、警察に被害届が出されたことを知りました」
この事件は、村田さんがラブホで働いていた間に遭遇した数多くの盗難事件の中でも、特に衝撃的だったようだ。
「後にも先にも、幅30センチを超える“巨大な物”が消えたという事件を超える話はありません」
<取材・文/資産もとお>
―[ラブホの珍エピソード]―
今回は、ラブホで働いていた経験のある2人の“忘れられないトラブル”を紹介する。
◆食事トラブルから始まった緊張の対面
「私は20代前半の頃、ラブホで食事をつくる仕事をしていました」
神田好江さん(仮名・30代)は、食事係を担当していたが、を冷凍ご飯を温め、おかずをつくるといった比較的簡単な業務だ。
「食事ができあがったら、お客様の部屋の横にある小窓を開けて食事を置き、チャイムで知らせるシステムでした。食事の依頼は1日1回だけの時もあれば、4~5回の時もあるので、ご飯は事前に炊いて冷凍していたんです」
その日もチャイムで客に知らせ、神田さんはすぐに別の仕事をしていたのだが、数分後に受付にクレームの電話が鳴った。
「お客様のクレームは、『ご飯が固くて食べられない!』とのことでした。私のミスだったのですぐに謝罪し、ご飯を取り替える準備をしたんですが、お客様の要求は次第にエスカレートしていきました」
◆ラブホの客から「部屋に来い!」
客に「部屋に来い!」と言われ、神田さんはその要求に応じることになったという。
「ラブホのお客様の部屋に足を運ぶこと自体が初めてで、不安と緊張が高まっていました」
神田さんはこの時、「もし部屋で裸だったらどうしよう」「何か危険な目に遭ったらどうしよう」という思いが頭をよぎっていたそうだ。
「同僚と一緒に部屋に向かいドアをノックすると、そこには40歳くらいの中肉中背で気難しそうな男性客がいました」
「ご飯を食べてみろ」と言われ、その場で食べる羽目になったのだとか。
確かにご飯が固かったため、「固いです! 申し訳ございません」と神田さんは謝り、正座して謝罪した。
「心の中で、『こんな状況になるなんて……』と思いました。それでも、何とか謝罪を終えて、事務所に戻ることができてたのでホッとしたのを覚えています」
緊張が解けて神田さんが最初に発した言葉は、「裸じゃなくてよかった」だったという。
「解放されて安心したのか、自分が発した言葉に笑えてきました。今思えば、殴られたり刺されたりしなくてよかったと思いますね」
◆何の事件も起こらずに清掃できる日は“ラッキーな日”
大学生活を送りながら、お金を稼ぐために塾講師をしていた村田健吾さん(仮名・20代)。普通のバイトだけでは物足りず、珍しい仕事に挑戦してみたいという気持ちから、ラブホの清掃のバイトをすることになったという。
「初出勤の日は緊張しましたが、簡単なマニュアルがあり、実際に清掃業務をすることになりました」
ベッドのシーツ交換やシャワールームの清掃、アメニティの消毒や補充など、比較的軽い仕事が多く、安心して仕事を進めることができたそうだ。
「これだったら続けられるな」と思った村田さん。必要以上に緊張していたことがバカらしく思えたというが、楽だったのは最初の週だけだったようだ。
「特に事件もなく清掃だけできる日は“ラッキーな日”だと、よく先輩社員が言っていましたね」
そして、バイトを始めてから2週間目を迎えた頃、事件が起こった。
◆ラブホから“持ち去られた電子レンジ”
「ある部屋を掃除していたのですが、棚に置いてあったはずの“電子レンジ”が消えていたんです。アメニティが消えることはよくありますが、まさか大きな家電製品が盗まれるとは考えもしませんでした」
どのように持ち去ったのか不思議でならなかったと、村田さんは話す。
「私は社員に報告し、その後、警察に被害届が出されたことを知りました」
この事件は、村田さんがラブホで働いていた間に遭遇した数多くの盗難事件の中でも、特に衝撃的だったようだ。
「後にも先にも、幅30センチを超える“巨大な物”が消えたという事件を超える話はありません」
<取材・文/資産もとお>
―[ラブホの珍エピソード]―