2024年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。独自の視点で2024年を振り返る「ニュース」部門、第1位の記事はこちら!(集計期間は2024年1月~10月まで。初公開2024年8月5日 記事は取材時の状況) * * *
東京都知事選の選挙ポスターで“ほぼ全裸”のモデルとして物議を醸した桜井MIUさん。騒動がすこし落ち着いた現在の心境を聞かせてもらった。
◆「知名度が上がったらいいね」安易に考えていたら大炎上
アイドルユニット「Devilsis」のメンバーでグラビアアイドルとしても活動している桜井さん。フリーランスなので仕事の判断は本人に委ねられている。今回のきっかけはなんだったのか?
「都知事選に出馬した河合(ゆうすけ)さんとは、彼が主催する地下格闘技イベント『HATASHIAI』に知人経由でキャスティングされたことで知り合いました。私は選手兼ラウンドガールだったのですが、それをきっかけに他のお仕事でも絡むようになりました」
そして、河合氏とレコーディングの仕事をした際に「都知事選に出る」と聞いたそう。
「口頭で『ポスターのモデルやらない?』って誘われたんです。私がSNSに自分のハイレグの写真を載せていたのですが、『こんな感じで』と言われて。安易に考えて引き受けてしまいましたね」
お互いに「これで少しでも知名度が上がったらいいね」と話していたという。だが、後日届いた写真を見て驚いた。
「指定のポーズと衣装の参考写真がきたのですが、それがあの問題になったM字開脚のほぼ全裸で……。さすがに戸惑いました。ただ、大事なところは隠れているから大丈夫なのかな?って。河合さんは政治のプロなので、レギュレーション(規則)的にもまあOKなんだろうと。今思うと、勉強不足だった自分も悪いなって。じつは選挙ポスターって、審査がないみたいなんですよ」
◆プロ意識が裏目に「そりゃそうだよな、反感買うよな……」
思っていたよりも過激な内容だったが、「受けた仕事だから」と断らなかった。しかし、今回は彼女の“プロ意識”が裏目に出てしまったと言えるだろう。
「仕事として引き受けた後だったから、覚悟を決めてやりました。もともとグラドルだから慣れているというか。本当は慣れちゃいけないんだろうけど、グラビアの現場では『こんな衣装とか内容は聞いてない!』っていうことが日常茶飯事なので。
それをきっちり断るグラドルもいますが、私は自分がやると決めた以上はやります。仕事を全うするのがプロだと思っているので」
公職選挙法に触れるということもあり、誰にも相談せず、6月20日の告示を迎える。河合氏はギリギリに立候補を表明したそうだが、例のポスターを2人で持ってX(旧Twitter)に載せると、たちまち拡散された。
「私が立候補者と間違われて『こんなヤツはダメだろ!』と、最初から誹謗中傷がすごかった。自分だって、こんな人が都知事選に立候補していたら嫌です。そりゃそうだよな、反感買うよな……って思いました」
◆芸能の仕事を降板、アルバイトもクビに
翌日、警視庁から東京都迷惑防止条例違反の疑いで警告が入り、ポスターはすぐに剥がされることになったが、MIUさんは「こんなことになるなんて」と絶望したという。
しかし当初の“知名度を上げる”といった面では、ある意味、成功だったと言えなくもないだろうが、MIUさんは「うーん」とうつむく。
「確かに、フォロワーは増えました。話題になってほしかったけど、炎上商法がしたかったワケではないので……。カーシャンプーのイメージガールを降板することになったのが悔しいですね。企業さんには大変ご迷惑をおかけしてしまいました。シャンプーそのものの質は変わらないのに、私のせいでイメージダウンをさせてしまったんじゃないかって」
影響があったのは芸能活動だけではない。
「芸能の仕事だけで生活するのはしんどいので、アルバイトをしていたんですが、そこもクビになりました」
しばらくは選挙ポスターのギャラだけで生活するのか?と問うと、「いや、あれはノーギャラなので」と苦笑する。
「ポスターの仕事に関しては公職選挙法に引っかかるのでギャラが出ないんですよ。普段はノーギャラのお仕事は受けないんですが、話題になるかな?と思って。
ただ、ボランティアの部分も含めて、本当に見通しが甘かった。最初に貼ることはもちろん、炎上して差し替えする作業もしなければいけなくて。肉体的にも精神的にもキツかった。私でも続けて3時間が限界だったから、ご年配の方は大丈夫なんだろうか?って心配でした」
MIUさんは、そもそも「なぜデジタルの時代にわざわざ人力で行う必要があるのか」と疑問を投げかける。
「SDGsの世の中で、矛盾してないですか? 印刷のコストなどを考えると、Webでいいと思うんですよね。ポスター貼りをしていて思ったけど、誰もが見るような目立つ場所ばかりに貼るわけでもないから、ポスターで投票数がそこまで変わるのかな?って」
◆悪いイメージから挽回したい
MIUさんは今回の炎上で「学びがあった」と話す。
「どんな仕事も基本的には断らない方向なんですが、やっぱり、もっと慎重に先のことまで考えるべきなんだろうなって。
自分だけの問題ではなくなって、まわりにも迷惑をかけてしまったことは、反省してもしきれません。あのポスターだけで私を知った人には悪いイメージしかないと思いますが、地道に芸能活動を頑張って、今回のことを挽回できたらと思っています」
<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
東京都知事選の選挙ポスターで“ほぼ全裸”のモデルとして物議を醸した桜井MIUさん。騒動がすこし落ち着いた現在の心境を聞かせてもらった。
◆「知名度が上がったらいいね」安易に考えていたら大炎上
アイドルユニット「Devilsis」のメンバーでグラビアアイドルとしても活動している桜井さん。フリーランスなので仕事の判断は本人に委ねられている。今回のきっかけはなんだったのか?
「都知事選に出馬した河合(ゆうすけ)さんとは、彼が主催する地下格闘技イベント『HATASHIAI』に知人経由でキャスティングされたことで知り合いました。私は選手兼ラウンドガールだったのですが、それをきっかけに他のお仕事でも絡むようになりました」
そして、河合氏とレコーディングの仕事をした際に「都知事選に出る」と聞いたそう。
「口頭で『ポスターのモデルやらない?』って誘われたんです。私がSNSに自分のハイレグの写真を載せていたのですが、『こんな感じで』と言われて。安易に考えて引き受けてしまいましたね」
お互いに「これで少しでも知名度が上がったらいいね」と話していたという。だが、後日届いた写真を見て驚いた。
「指定のポーズと衣装の参考写真がきたのですが、それがあの問題になったM字開脚のほぼ全裸で……。さすがに戸惑いました。ただ、大事なところは隠れているから大丈夫なのかな?って。河合さんは政治のプロなので、レギュレーション(規則)的にもまあOKなんだろうと。今思うと、勉強不足だった自分も悪いなって。じつは選挙ポスターって、審査がないみたいなんですよ」
◆プロ意識が裏目に「そりゃそうだよな、反感買うよな……」
思っていたよりも過激な内容だったが、「受けた仕事だから」と断らなかった。しかし、今回は彼女の“プロ意識”が裏目に出てしまったと言えるだろう。
「仕事として引き受けた後だったから、覚悟を決めてやりました。もともとグラドルだから慣れているというか。本当は慣れちゃいけないんだろうけど、グラビアの現場では『こんな衣装とか内容は聞いてない!』っていうことが日常茶飯事なので。
それをきっちり断るグラドルもいますが、私は自分がやると決めた以上はやります。仕事を全うするのがプロだと思っているので」
公職選挙法に触れるということもあり、誰にも相談せず、6月20日の告示を迎える。河合氏はギリギリに立候補を表明したそうだが、例のポスターを2人で持ってX(旧Twitter)に載せると、たちまち拡散された。
「私が立候補者と間違われて『こんなヤツはダメだろ!』と、最初から誹謗中傷がすごかった。自分だって、こんな人が都知事選に立候補していたら嫌です。そりゃそうだよな、反感買うよな……って思いました」
◆芸能の仕事を降板、アルバイトもクビに
翌日、警視庁から東京都迷惑防止条例違反の疑いで警告が入り、ポスターはすぐに剥がされることになったが、MIUさんは「こんなことになるなんて」と絶望したという。
しかし当初の“知名度を上げる”といった面では、ある意味、成功だったと言えなくもないだろうが、MIUさんは「うーん」とうつむく。
「確かに、フォロワーは増えました。話題になってほしかったけど、炎上商法がしたかったワケではないので……。カーシャンプーのイメージガールを降板することになったのが悔しいですね。企業さんには大変ご迷惑をおかけしてしまいました。シャンプーそのものの質は変わらないのに、私のせいでイメージダウンをさせてしまったんじゃないかって」
影響があったのは芸能活動だけではない。
「芸能の仕事だけで生活するのはしんどいので、アルバイトをしていたんですが、そこもクビになりました」
しばらくは選挙ポスターのギャラだけで生活するのか?と問うと、「いや、あれはノーギャラなので」と苦笑する。
「ポスターの仕事に関しては公職選挙法に引っかかるのでギャラが出ないんですよ。普段はノーギャラのお仕事は受けないんですが、話題になるかな?と思って。
ただ、ボランティアの部分も含めて、本当に見通しが甘かった。最初に貼ることはもちろん、炎上して差し替えする作業もしなければいけなくて。肉体的にも精神的にもキツかった。私でも続けて3時間が限界だったから、ご年配の方は大丈夫なんだろうか?って心配でした」
MIUさんは、そもそも「なぜデジタルの時代にわざわざ人力で行う必要があるのか」と疑問を投げかける。
「SDGsの世の中で、矛盾してないですか? 印刷のコストなどを考えると、Webでいいと思うんですよね。ポスター貼りをしていて思ったけど、誰もが見るような目立つ場所ばかりに貼るわけでもないから、ポスターで投票数がそこまで変わるのかな?って」
◆悪いイメージから挽回したい
MIUさんは今回の炎上で「学びがあった」と話す。
「どんな仕事も基本的には断らない方向なんですが、やっぱり、もっと慎重に先のことまで考えるべきなんだろうなって。
自分だけの問題ではなくなって、まわりにも迷惑をかけてしまったことは、反省してもしきれません。あのポスターだけで私を知った人には悪いイメージしかないと思いますが、地道に芸能活動を頑張って、今回のことを挽回できたらと思っています」
<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720