2024年、反響の大きかった記事からジャンル別にトップ10を発表。独自の視点で2024年を振り返る「ニュース」部門、第3位の記事はこちら!(集計期間は2024年1月~10月まで。初公開2024年6月13日 記事は取材時の状況) * * *
都市部では今やどこへ行っても外国人観光客だらけ。旅行先に日本を選んでくれるのはうれしいが……トラブルも多数報告されている。受け入れ態勢が整わないなか、各地で起きているパニックを取材した。
◆ぼったくりが横行!居酒屋やドラッグストアで外国人観光客が被害に
これまで、日本人が海外観光地でぼったくられるのが定石だったが、最近では逆転現象が起きているようだ。
「報告が多いのは飲食店の不明瞭会計、ドラッグストアなど小売店での購入数の水増し、そしてタクシーの遠回りです」(都内のインバウンド業者)
グーグル口コミやSNSを確認すると、外国人からの被害談も多い。もっとも悪名高いのは、法外な価格で海産物を売る大阪の黒門市場だろう。
「カニ足1本1万円と高額。食べてみたけど、解凍して時間がたっていて臭かった。返金してほしいよ」
同地を訪れるのは主に中国人観光客だが、今では中国SNSで「避けるべき観光地」と紹介されているほどだ。都内繁華街の居酒屋でもぼったくりが横行している。
◆ぼったくりのターゲットは“おのぼりさん”から外国人へ
「浅草や上野、歌舞伎町では今、外国人観光客を狙ったぼったくり店が急増しています。『ビール199円、料理全品399円』などと看板で釣っておいて、会計に法外なサービス料やお通し料を加算するシステムです」(同業者)
同様の被害報告は多く、なかには「新宿の安い焼き鳥屋に5人で入ったら3万円の会計だったが、半分がサービス料だった」(台湾人のSNS書き込み)との報告も。
席料や深夜特別料金などを会計時に請求するぼったくり居酒屋が一昔前に流行したが、今や外国人にターゲットを変えて復活しているようだ。
一方、ドラッグストアや土産店での故意としか思えない“会計ミス”も多発しており、こちらも報告が多い。渋谷で取材に応じてくれたメキシコ人観光客は言う。
「新宿のドラッグストアで、2個しか買ってないクッキーは5個分カウントされ、購入してない煎茶2つが会計に入っていた。あとで気づいて店に戻ったら、店員はニヤニヤしながら渋々返金したけど、あれはわざとでしょう」
タクシーについての不満も多いようだ。
◆地図アプリで小細工はすぐに露呈する
「外国人旅行者が使えるまともな配車アプリが東京にはないからね! ホテルに深夜戻ったとき仕方なく路上のタクシーをつかまえたけど、地図アプリを見たら明らかに遠回りされていた。ホテルマンに聞いたら相場の1.5倍だってさ」(アメリカ人観光客)
ぼったくりタクシーは増えているのか。都内のタクシー運転手は言う。
「海外の悪質タクシーみたいにメーターは細工できないので、ちょっと遠回りして1.2~1.5倍の料金にするケースは聞きますね。気づきにくいので、話題になりませんが、けっこうやってるドライバーがいるのでは」
このままでは日本のイメージ悪化は免れない!
SNSで報告されたぼったくりの実態
マレーシア人「上野の居酒屋でお通し・席料・夜間料金・サービス料が請求された。1本99円の焼き鳥屋だから入ったのに」
中国人「2台のタクシーでイオンモールに向かったら、一方は4300円だったのにもう一方は6400円だった」
台湾人「ドラッグストアで買い物したら6000円も余分に請求された!」
イギリス人「民泊を利用したら宿泊費より高額な清掃費を請求された。日本ではこれが当たり前なの?」
◆経済効果も絶大!真の「観光立国」を目指すための課題
「訪日外国人の経済効果は昨年5兆円を超え、今年はGDPの1%になりそうです。これは単純に経済にとって好影響でしょう」
インバウンドアナリストの宮本 大氏はこう述べた上で、まだまだ伸びしろがあると語る。
「世界一の観光大国・フランスに比べるとまだまだ。日本には観光資源がいっぱいあり、それを今後どう生かしていくかが腕の見せどころでしょう。日本の観光地は1~2泊、長くても3~4泊程度の宿泊にしか対応していません。しかし、リゾートを楽しみたい海外の人たちは1~2週間といった長期滞在を望みます。そのため、長期滞在の受け入れ態勢が整っているタイやフィリピンなどに客を取られているのが現状です」
◆もはや海外並みの物価として知られるニセコの成功譚
こうしたなか、国内でも徐々にこうした取り組みが行われようとしている。
「現在、ニセコなどがアドベンチャーツーリズム(アクティビティ、自然、文化体験などで構成される旅行)を誘致しています。そのため、『夏に外国人は日本に来ない』という業界の定説が変わってきた感がありますね。また、家族連れが増えている傾向も見られます。今後は、都市部に固まっている観光の経済効果をどう分散させていくのか、アドベンチャーツーリズムをどう発展させていくのかが日本が観光立国として成功していくかのカギになっていくでしょう。地域の取り組みや人材によって結果が大きく変わっていきます」
日本が持つポテンシャルをいかに発揮させるか、それはオーバーツーリズムが社会問題となった今、火急に解決すべき課題だ。
【宮本 大氏】
インバウンドアナリスト。訪日観光客向け体験ツアーの企画運営などを行うJapan Localized代表。インバウンド市場のリサーチ業務に従事している。
取材・文/週刊SPA!編集部
都市部では今やどこへ行っても外国人観光客だらけ。旅行先に日本を選んでくれるのはうれしいが……トラブルも多数報告されている。受け入れ態勢が整わないなか、各地で起きているパニックを取材した。
◆ぼったくりが横行!居酒屋やドラッグストアで外国人観光客が被害に
これまで、日本人が海外観光地でぼったくられるのが定石だったが、最近では逆転現象が起きているようだ。
「報告が多いのは飲食店の不明瞭会計、ドラッグストアなど小売店での購入数の水増し、そしてタクシーの遠回りです」(都内のインバウンド業者)
グーグル口コミやSNSを確認すると、外国人からの被害談も多い。もっとも悪名高いのは、法外な価格で海産物を売る大阪の黒門市場だろう。
「カニ足1本1万円と高額。食べてみたけど、解凍して時間がたっていて臭かった。返金してほしいよ」
同地を訪れるのは主に中国人観光客だが、今では中国SNSで「避けるべき観光地」と紹介されているほどだ。都内繁華街の居酒屋でもぼったくりが横行している。
◆ぼったくりのターゲットは“おのぼりさん”から外国人へ
「浅草や上野、歌舞伎町では今、外国人観光客を狙ったぼったくり店が急増しています。『ビール199円、料理全品399円』などと看板で釣っておいて、会計に法外なサービス料やお通し料を加算するシステムです」(同業者)
同様の被害報告は多く、なかには「新宿の安い焼き鳥屋に5人で入ったら3万円の会計だったが、半分がサービス料だった」(台湾人のSNS書き込み)との報告も。
席料や深夜特別料金などを会計時に請求するぼったくり居酒屋が一昔前に流行したが、今や外国人にターゲットを変えて復活しているようだ。
一方、ドラッグストアや土産店での故意としか思えない“会計ミス”も多発しており、こちらも報告が多い。渋谷で取材に応じてくれたメキシコ人観光客は言う。
「新宿のドラッグストアで、2個しか買ってないクッキーは5個分カウントされ、購入してない煎茶2つが会計に入っていた。あとで気づいて店に戻ったら、店員はニヤニヤしながら渋々返金したけど、あれはわざとでしょう」
タクシーについての不満も多いようだ。
◆地図アプリで小細工はすぐに露呈する
「外国人旅行者が使えるまともな配車アプリが東京にはないからね! ホテルに深夜戻ったとき仕方なく路上のタクシーをつかまえたけど、地図アプリを見たら明らかに遠回りされていた。ホテルマンに聞いたら相場の1.5倍だってさ」(アメリカ人観光客)
ぼったくりタクシーは増えているのか。都内のタクシー運転手は言う。
「海外の悪質タクシーみたいにメーターは細工できないので、ちょっと遠回りして1.2~1.5倍の料金にするケースは聞きますね。気づきにくいので、話題になりませんが、けっこうやってるドライバーがいるのでは」
このままでは日本のイメージ悪化は免れない!
SNSで報告されたぼったくりの実態
マレーシア人「上野の居酒屋でお通し・席料・夜間料金・サービス料が請求された。1本99円の焼き鳥屋だから入ったのに」
中国人「2台のタクシーでイオンモールに向かったら、一方は4300円だったのにもう一方は6400円だった」
台湾人「ドラッグストアで買い物したら6000円も余分に請求された!」
イギリス人「民泊を利用したら宿泊費より高額な清掃費を請求された。日本ではこれが当たり前なの?」
◆経済効果も絶大!真の「観光立国」を目指すための課題
「訪日外国人の経済効果は昨年5兆円を超え、今年はGDPの1%になりそうです。これは単純に経済にとって好影響でしょう」
インバウンドアナリストの宮本 大氏はこう述べた上で、まだまだ伸びしろがあると語る。
「世界一の観光大国・フランスに比べるとまだまだ。日本には観光資源がいっぱいあり、それを今後どう生かしていくかが腕の見せどころでしょう。日本の観光地は1~2泊、長くても3~4泊程度の宿泊にしか対応していません。しかし、リゾートを楽しみたい海外の人たちは1~2週間といった長期滞在を望みます。そのため、長期滞在の受け入れ態勢が整っているタイやフィリピンなどに客を取られているのが現状です」
◆もはや海外並みの物価として知られるニセコの成功譚
こうしたなか、国内でも徐々にこうした取り組みが行われようとしている。
「現在、ニセコなどがアドベンチャーツーリズム(アクティビティ、自然、文化体験などで構成される旅行)を誘致しています。そのため、『夏に外国人は日本に来ない』という業界の定説が変わってきた感がありますね。また、家族連れが増えている傾向も見られます。今後は、都市部に固まっている観光の経済効果をどう分散させていくのか、アドベンチャーツーリズムをどう発展させていくのかが日本が観光立国として成功していくかのカギになっていくでしょう。地域の取り組みや人材によって結果が大きく変わっていきます」
日本が持つポテンシャルをいかに発揮させるか、それはオーバーツーリズムが社会問題となった今、火急に解決すべき課題だ。
【宮本 大氏】
インバウンドアナリスト。訪日観光客向け体験ツアーの企画運営などを行うJapan Localized代表。インバウンド市場のリサーチ業務に従事している。
取材・文/週刊SPA!編集部