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ユニクロが「名作コラボ」を復刻、コスパは抜群なのに“ちょっと残念”だった理由

日刊SPA! 2024年12月25日 8時54分

―[メンズファッションバイヤーMB]―

 メンズファッションバイヤー&ブロガーのMBです。洋服の買いつけの傍ら、「男のおしゃれ」についても執筆しています。連載第511回をよろしくお願いします。
◆ユニクロが過去の名作モデルを復刻

 ユニクロの名作コラボといえば、「ジル・サンダー」との協業「+J」。実は40周年を迎える今回復刻が予定されている……って知ってました?

 社会現象にもなり展開店舗では行列が発生し、ニュースになるほどだった+Jをはじめ、ユニクロは今回過去の名作モデルを復刻することを発表しました。

 メンズでは「UNIQLO and Engineered Garments」「+J」の2ラインが復刻! 今回はその内容をレビューしていきます!

◆UNIQLO and Engineered Garments
・コンビネーションフリースジャケット 4990円

・フリースプルオーバー 2990円

 メンズの復刻コラボまずこちら、実はすでに発売されていますが……UNIQLO and Engineered Garmentsです。

 ニューヨークを拠点に活動するEngineered Garmentsですが元々は日本が世界に誇る有名セレクトショップ「ネペンテス」から生まれたブランド。もはや「服好きなら1枚は必ず持ってる」と言っても過言ではない蝶モチーフの「Needles」と同じ系譜です。

 ユニクロも Engineered Garmentsも日本発ブランドながら海外支持が高い……という同条件で親和性が高くコラボが実現。コラボはユニクロお得意のフリースアイテムを Engineered Garmentsがリメイク風に仕上げたもの。カラー展開もブランドらしいミリタリーを彷彿とさせるものでした。

 今回の復刻、当時そのままの素材シルエットで実現していますが、これがなかなかおすすめ。ベースはユニクロのフリースなのでデザイナーズらしいインパクトのあるデザインを求めるなら叶いませんが……それでも価格以上の満足度がある良品なのは間違いない。

 そもそもユニクロのフリースは長年作ってるだけあってクオリティが非常に高い。毛足が長めのフリースは高級感があり、風合いに優れている。機能面はさすがユニクロ、保温性が高く、しっかり暖かいので車移動なら冬でもガンガン使えるでしょう。

 ただ、既存のユニクロだとどうしてもデザインもカラー展開も「ユニバレ」しちゃうこと必至。今回のコラボのドッキングデザインやミリタリー調の色使いでユニクロの高品質フリースがブランド見えしてくれる、というワケです。

◆便利でおしゃれで安くて文句なし

 シルエットもややリラックス感はあれど、袖周りはそこまでダボつかないのでインナーとしても活用できる。これでアンダー5000円なら間違いなく買いです。

 ただし、一方で「せっかく Engineered Garmentsに協業してもらったのに、既存ユニクロにあまりにも近い……」という声も理解できます。

 どうせやるなら「ユニクロU」ラインのように、0からデザインしてもらい既存品から離れたおしゃれなアイテムを出してほしかったとも。もっとも、そのくらいユニクロのフリースが良品で「いじるところが少なかった」のかもしれません。

 個人的にもこれパッと羽織る用途でカーキを購入。便利でおしゃれで安い、文句ありません。

 すでに大きめサイズが完売傾向にありますが……ジャストサイズでも十分おしゃれ(サイズUPして大きく着たい人が多いんだと思いますが)。今からでも遅くありません。ぜひ。

◆+J
・ハイブリッドダウンオーバーサイズパーカ 1万7900円

・ブロードシャツ 3990円

・ブロードシャツ/ストライプ 3990円

・ブロードシャツ/ボタンダウン 3990円

 そして、メンズ2つ目の復刻が「+J」。ジル・サンダーとの協業です。

 ブランド「JIL SANDER」とのコラボではなく、創業者のジル・サンダー氏とのコラボが+J。多くの方々が間違えて問い合わせが入ったのか、ユニクロは「ジルサンダー」ではなく「ジル・サンダー」表記にして誤認を避けていました。

 現在のブランド「JIL SANDER」はスポーツテイストが多いラグジュアリーですが、ジル・サンダー本人はミニマリズムモードの牽引役。90年代にはヘルムートラングと合わせて語られることの多い伝説的デザイナーでした。シンプルながら卓越したシルエットと素材使いで一世を風靡した方です。

 そんなジル本人が手がけたコレクションである「+J」、今回復刻されているダウンやシャツもシルエットには一際こだわっています。

◆リラックス感があるのにフォーマルな印象

 ダウンは現代のトレンドでも通用するボクシーなシルエット。幅はあれど着丈はさほど長くない、リラックス感があるけれど、フォーマルな印象もある不思議な印象を持つアウターです。

 軽くスッキリとしたスタイリングになるハイブリッドダウン。既存品そのままの機能性と既存品を超えたシルエットやディティールのよさで今回も買って損なしでしょう。

 シャツは確かに光沢感のあるスーピマ素材を100%使った極上のものですが、シワが入りやすいのが難点。また、「ユニクロC」などで現行ユニクロコラボ品ではシャツの名作が多い、あえて「+J」を買う必要があるかというと……当時ほどの鮮烈さはなさそうです。

◆肩透かしを食うようなラインナップ

 また、「+J」は名作が多いものの今回復刻はたった2型。大々的に宣伝したわりには肩透かしを食うようなラインナップだったのも否めません。

 日本が誇るウールブランド「NIKKE」素材をつかったPコートだったり、テーラードジャケットだったり、名作はたくさんあったのに……いろいろ事情があるんでしょうが、ちょっと残念な内容です。

「+J」に関しては来年1月1日発売だそうです。言うて即日完売のサイズもあると思うので、年末年始にお時間ある方はウォッチしておくのもいいでしょう。

 以上、ユニクロ40周年記念復刻コラボについてでした!

【MB】
ファッションバイヤー。最新刊『MBの偏愛ブランド図鑑』のほか、『最速でおしゃれに見せる方法 』『最速でおしゃれに見せる方法』『幸服論――人生は服で簡単に変えられる』など関連書籍が累計200万部を突破。ブログ「Knower Mag現役メンズバイヤーが伝えるオシャレになる方法」、ユーチューブ「MBチャンネル」も話題に。年間の被服費は1000万円超! (Twitterアカウント:@MBKnowerMag)

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