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「最後までお願いね」高級クラブのホステスが体験した“枕営業”の実態――仰天ニュース傑作選

日刊SPA! 2024年12月28日 8時45分

2024年の大反響だった記事をピックアップ! まだまだあるジャンルに収まらない大人気記事はコチラ!(初公開2024年1月21日 記事は取材時の状況) *  *  *

 大人の社交場・銀座のクラブにホステスとして勤めているみずえちゃんと申します。1月も毎日楽しく酔っぱらっています。帰宅後、お風呂に入ったほうが絶対に良いのに寝ちゃう癖を直したいです。

 その傍ら、ライターとしても活動しており、これまでに私がお酌をさせていただいたおじさま方との実体験をもとに、夜遊びやモテに関する情報を発信をしています。

◆松本人志さんを取り巻く騒動で思い出したこと

 お笑い芸人の松本人志さんが、2015年に高級ホテルでとある女性に性的な行為を迫ったという話などが、昨年12月の「文春オンライン」で報じられました。今回の疑惑について所属先の吉本興業は否定しており、法廷闘争に注力することを理由に活動休止が発表されました。まっちゃんと言えば、私にとっては大好きな芸人さんのひとりでしたので、裁判の行方が気になります。

 ともあれ、「ホテル」「性的な行為」という言葉を目にして、思い出したことがあります。というより、水商売に従事する女性のほとんどがホテルでお客様と2人きりになる、などの経験をしていると思います。私もそうです。

 例えば、枕営業とか。枕営業とは、ホステスがお客様と性的な関係になることで、ホステスにとって物事を有利にすすめようとする営業方法のことです。“私はここまでやったんだから、あなた様もわかっていらっしゃるでしょ?”と。

 今回は私が体験した「枕営業」に関するエピソードをお話したいと思います。

◆ホステスの命運はママが握っている

 皆さんは高級クラブと聞くと、どんな場所をイメージしますでしょうか。顔が良いだけの頭は空っぽの女の子たちがチャラチャラとお客様にお酌をして、太ももなどを撫でられる場所?まあ、全くの不正解とは言いませんが、ちょっと違います。

 高級クラブでは、ママ(ないし、売上のお姉さん)が絶対的な権力者です。え?オーナーじゃなくて?と思われるかもしれません。オーナーもオーナーで怖いですが、常にお店にいて女の子たちの一挙一動に目を光らせているのはママです。ママが一番怖いです。

 チャラチャラしているように見えても、実は超超超統制のとれた精鋭部隊です。体育会系の部活を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。ママに育てていただき、ママに守っていただき、ときにママに捨てられるのが我々力なきカスホステスの運命。当たり前なんですけどね。サラリーマンだってホステスだって、雇い主の顔色を伺うのは当然です。

 そんなわけでママの命令にはほとんど逆らえません。特に、クラブ勤めをはじめたばかりの小娘にとっては、ママ=メンターでもあり、彼女たちはママに心酔してしまうことも。

 そんな新人ホステスの頃、とあるママに枕営業を強要されたことがあります。

◆「最後までお願いね」の真意

 ほとんどの高級クラブには複数人のママがいます。各ママによってお客様の層は様々ですので、できたら穏やかで優しいお客様をたくさん抱えているママに気に入られると、ホステスは仕事がしやすいですね。でも、そんなラッキーはそうそう転がっていません。

 某クラブの新人ホステスをしていた頃、とあるママの席に呼ばれて、地方からいらしたというお客様の隣に着きました。右も左もわからない頃でしたので、ひとまず大人しくしていようと、ちょこんと座っていたらいつの間にか閉店時間でした。

 ママに女子トイレの前に呼び出されたので、席を外してママのもとへ行くと、地方からいらしたお客様とアフターに出て欲しい、とママから命じられました。

 加えて、

「最後までお願いね」

 と、耳元で囁かれました。最後まで?何のことかよくわかりませんでしたが、ママが怖くてたまらない私は、とりあえず「はい」と返事をしました。

◆アフターの顛末

 閉店後、地方からいらしたお客様とお寿司をつまんで、それからバーへ連れて行っていただきました。深夜2時くらいになり、明日も早いからそろそろ、と促されてバーを出ました。

「最後までお願いね」という言葉が引っかかったまま、お客様と一緒にタクシーに乗り込み、お客様がお泊りになっているホテルへ到着しました。ここで「今日はご馳走様でした」と挨拶して別れるのが一般的ですが、「最後までお願いね」と命じられた私は、タクシーを降りて、お客様をお部屋の前まで送りました。

 エレベーターから降りて、お部屋の前まで並んで歩いた私は「それでは、ごきげんよう」と、お辞儀をしてプイッと帰ってしまいました。お客様からしたら恐らく「そ、そんなあ〜」という感じですよね。

 小娘の頭では“最後まで”は“お部屋の前まで”だったのです。しかし、ママの仰る“最後まで”は、“ベッドインまで”でした。翌朝、アフターの一部始終をママに報告した私はこっぴどく叱られ、それ以降は彼女の席に呼ばれることはありませんでした。

◆枕営業のリアル

 こうして私は無事そのママからは干されたわけですが、前述の通り高級クラブには複数人のママがいるので、そこまでダメージはありませんでした。良かった〜。

 中にはまともなママもいらっしゃるのでご安心ください。新人ホステスはママからイヤなことをお願いされたら、「うーん」って困った顔しておけばOK。あなたがやらなくても志願兵はたくさんいます。

 もちろん、お客様とホステスが意気投合して仲良くなって、深い仲になることもあると思います。枕営業と聞くと、太ったダルダルのお腹のおじさんに、若い娘が泣く泣く抱かれている絵などを想像してしまいがちですが、高級クラブに定期的に通えるレベルの紳士に、こちらが泣きたくなるようなルックスの方って、まあいらっしゃらないですよ。皆さん、ハンサムで素敵です。

 たまたま気が合って、彼氏彼女の関係になった後もお客様としてお店に通って、ホステスさんを応援している、という感じのパターンが多い気がします。

◆ホテルに入室するということは

 今回は枕営業についてお話させていただきました。私の場合はお客様がとても紳士で優しい方だったので事なきを得ましたが、女の子には絶対に真似しないで欲しいです。危ないことなので。

 松本人志さんのお話に戻りますが、彼がホテルで女性に性的な行為を迫ったか否かはさておき、世間の反応をざっと見たところ「ホテルに入室したんだから性的な行為を迫られて当然じゃん」という意見をお持ちの方が少なくないことが明らかになったわけです。

 ホテルに入室したんだから性的な行為を迫られて当然じゃん? 当然なわけありません。ホテルに入室までしたけれど、至近距離で会話してみたら意外と口が臭かったとかでそういう気分になれないことだってあると思います。そういう時は、帰っちゃってOKです。

 ところが、「ホテルに入室したんだから性的な行為を迫られて当然じゃん」と思っている人たちには、言葉が通じない。その上、腕力は圧倒的にあちらが勝っています。私たちはそういうバケモノと対峙しているんだ、というつもりでいなくちゃなりません。

 男性と2人きりにならない方が安全です。そういうつもりがないならそういう場(飲み会など)に来るな!という意見もあるので、女の子は飲み会に行かなくてもいいと思います。おじさんは大人しくキャバクラにでも飲みに行ってください。プロがしっかりお相手します。

 今晩も節度を持って、楽しい夜遊びを。

<文/みずえちゃん>

【みずえちゃん】
1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務する傍ら、キャバ嬢デビュー。結婚、離婚、地方の激安キャバクラを経て、現在は銀座ホステスとライターを兼業。X(旧Twitter):@mizuechan1989

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