お正月に新年の挨拶のため親戚の家を訪れる人は少なくありません。主婦の山下葵さん(仮名・29歳)は、義実家に家族で帰省した際に嫌な思いをした経験があると語ります。
「その年、初めて義実家に帰省することになりました。そこでの義母の傍若無人な振る舞いに、不快な思いをしたことを今でもよく覚えています」
◆初めて年末年始に義実家に泊まることに…
年末年始に家族そろって義実家に泊まることになったそうです。
「夫(大樹さん・仮名・30歳)と結婚してから3年が経ち、娘が2歳、息子が0歳のときでした。上の子を出産してから産後の肥立ちが悪かったり、下の子を産んでからも何かと忙しくバタバタしていたりで、今まで義実家に帰省する機会がほとんどありませんでした。その年、初めて大晦日から元旦にかけて義実家に泊まることになって。ただ幼い子どもを連れて公共交通機関を利用するのは大変なので、車で片道5時間かけて行くことにしました」
夕方義実家に到着すると義母が大歓迎してくれたと言います。数年前に義父が亡くなったこともあり、最近は寂しいお正月を過ごしていたのだとか。
「その日、義母が豪勢な夕飯を振る舞ってくれました。長距離移動で疲れていたので、お腹がいっぱいになるとすぐに眠くなってしまって。用意してもらった部屋ですぐに子どもたちと就寝したのです。深夜になると息子が夜泣きをしたものの、あまりに疲れがたまっていたため、夫に子どもの世話を頼むことにしたのですが……。彼が部屋を出て廊下で子どもをあやしていると、そこに義母が突然現れて『なぜあなたが一人で子守りをしているの?』『葵さんは何をしているの?』と声を荒らげました」
その声を聞いて慌てて飛び起きた葵さん。「疲れていたので大樹さんに子どもの面倒を見てもらいました」と事情を説明した上で、その場で謝罪したそう。
◆義母の嫌がらせが始まって
「事なきをえたと思ったのは私だけだったようです。翌日は元旦ということもあり、リビングにある大きなテーブルには豪華なおせちが並んでいました。さっそく席に着こうとすると、義母は『大樹はここに座って』と夫に促して、私と子どもたちだけ隣の小さな部屋へ誘導したのです。それに加えて『私たちの目が届かない方が授乳しやすいでしょ』『そこなら臭いを気にせずおむつ替えもできるわよ』と嫌味を言ってきて……。その様子から、明らかに義母が昨夜のことを根に持っているのだと感じました」
イラっとするも、揉めると後々面倒くさいのでグッと我慢するしかなかったと言います。それよりも、義母の悪事に気づかず、のんきにリビングでくつろぐ夫の姿に腹が立ったのだとか。
◆我が子だけ蚊帳の外にされて
「昼過ぎになると、ようやく私たちはリビングに通されました。午後から新年の挨拶のため義弟家族がやって来ると、義母は小学生の孫にお年玉を手渡して。今度はうちの子たちの番だと思っていたら『まだ小さいから、お年玉をあげてもお金の価値がわからないでしょ』と言って、義母は結局何もくれなかったのです。同じ孫なのにあからさまに差をつけられて、はらわたが煮えくり返る思いでした」
葵さんが嫌な顔をすると夫が「母に悪気はないから」と肩を持つような発言をしたので余計頭にきたそう。もう義理もすんだと思い「用事を思い出した」と半ば強引に帰宅したと言います。
◆今後の帰省の仕方を話し合うことに
「数日後、夫と話し合いの場を設けることにしました。その時に、年末年始は義弟家族のように日帰りで義実家を訪れることに決めたのです。ただ遠方なので、近くのホテルで一泊することにして。夫は相変わらず義母の行いの悪さを認めないものの、この条件をすんなりのんでくれました」
夫から「泊りはお互い気を遣うから」と義母にそれとなく断りを入れてもらうことにしたのだとか。
◆義母から自分勝手なLINEが送られてきて
「翌日、義母から怒りのLINEが送られてきました。そこには『あなたは山下家の嫁なのだから、年末年始はうちに泊まるのが当たり前なのよ』と文句が書いてあったのです。あまりに身勝手な言い分にムッとして『私は大樹さんの妻であって、山下家に嫁いだつもりはない』『同じ嫁でも義妹はそちらに泊まっていないじゃないですか』と反撃。さらに『そんなことを言うなら、義母さんとはもうお付き合いしません』とダメ押ししました」
しばらく小競り合いが続くかと思いきや、ここにきて義母が態度を急変させたそう。
「私の機嫌を損ねたことにやっと気がついたのでしょう。その後、義母は『来年は子どもにちゃんとお年玉をあげるわよ』『年末年始に泊まりにさえ来てくれればいいから、またみんなでいらっしゃいよ』とまるで別人のようなLINEを送ってきて。とても義母の本音とは思えなかったので、すべて既読スルーすることにしました」
この出来事を受けて、年末年始に葵さんは子どもを連れて実家に帰り、義実家には夫一人で帰省してもらうことにしたと言います。その方がストレスも溜まらないし、何より義母の顔を見なくてすむので好都合だと考えているのだとか。
初めて義実家へ帰省して痛い目に遭ってしまった葵さん。義母との間で行き違いが生じると、関係が冷めきってしまうことは多々あるようです。ただ長いお付き合いになるので、程よい距離感を保ちたいところです。
<取材・文/菜花明芽>
【菜花明芽】
ライター。ゾッとする実録記事を中心に執筆中。カフェでのんびり過ごすことが好き。
―[年末年始の憂鬱]―
「その年、初めて義実家に帰省することになりました。そこでの義母の傍若無人な振る舞いに、不快な思いをしたことを今でもよく覚えています」
◆初めて年末年始に義実家に泊まることに…
年末年始に家族そろって義実家に泊まることになったそうです。
「夫(大樹さん・仮名・30歳)と結婚してから3年が経ち、娘が2歳、息子が0歳のときでした。上の子を出産してから産後の肥立ちが悪かったり、下の子を産んでからも何かと忙しくバタバタしていたりで、今まで義実家に帰省する機会がほとんどありませんでした。その年、初めて大晦日から元旦にかけて義実家に泊まることになって。ただ幼い子どもを連れて公共交通機関を利用するのは大変なので、車で片道5時間かけて行くことにしました」
夕方義実家に到着すると義母が大歓迎してくれたと言います。数年前に義父が亡くなったこともあり、最近は寂しいお正月を過ごしていたのだとか。
「その日、義母が豪勢な夕飯を振る舞ってくれました。長距離移動で疲れていたので、お腹がいっぱいになるとすぐに眠くなってしまって。用意してもらった部屋ですぐに子どもたちと就寝したのです。深夜になると息子が夜泣きをしたものの、あまりに疲れがたまっていたため、夫に子どもの世話を頼むことにしたのですが……。彼が部屋を出て廊下で子どもをあやしていると、そこに義母が突然現れて『なぜあなたが一人で子守りをしているの?』『葵さんは何をしているの?』と声を荒らげました」
その声を聞いて慌てて飛び起きた葵さん。「疲れていたので大樹さんに子どもの面倒を見てもらいました」と事情を説明した上で、その場で謝罪したそう。
◆義母の嫌がらせが始まって
「事なきをえたと思ったのは私だけだったようです。翌日は元旦ということもあり、リビングにある大きなテーブルには豪華なおせちが並んでいました。さっそく席に着こうとすると、義母は『大樹はここに座って』と夫に促して、私と子どもたちだけ隣の小さな部屋へ誘導したのです。それに加えて『私たちの目が届かない方が授乳しやすいでしょ』『そこなら臭いを気にせずおむつ替えもできるわよ』と嫌味を言ってきて……。その様子から、明らかに義母が昨夜のことを根に持っているのだと感じました」
イラっとするも、揉めると後々面倒くさいのでグッと我慢するしかなかったと言います。それよりも、義母の悪事に気づかず、のんきにリビングでくつろぐ夫の姿に腹が立ったのだとか。
◆我が子だけ蚊帳の外にされて
「昼過ぎになると、ようやく私たちはリビングに通されました。午後から新年の挨拶のため義弟家族がやって来ると、義母は小学生の孫にお年玉を手渡して。今度はうちの子たちの番だと思っていたら『まだ小さいから、お年玉をあげてもお金の価値がわからないでしょ』と言って、義母は結局何もくれなかったのです。同じ孫なのにあからさまに差をつけられて、はらわたが煮えくり返る思いでした」
葵さんが嫌な顔をすると夫が「母に悪気はないから」と肩を持つような発言をしたので余計頭にきたそう。もう義理もすんだと思い「用事を思い出した」と半ば強引に帰宅したと言います。
◆今後の帰省の仕方を話し合うことに
「数日後、夫と話し合いの場を設けることにしました。その時に、年末年始は義弟家族のように日帰りで義実家を訪れることに決めたのです。ただ遠方なので、近くのホテルで一泊することにして。夫は相変わらず義母の行いの悪さを認めないものの、この条件をすんなりのんでくれました」
夫から「泊りはお互い気を遣うから」と義母にそれとなく断りを入れてもらうことにしたのだとか。
◆義母から自分勝手なLINEが送られてきて
「翌日、義母から怒りのLINEが送られてきました。そこには『あなたは山下家の嫁なのだから、年末年始はうちに泊まるのが当たり前なのよ』と文句が書いてあったのです。あまりに身勝手な言い分にムッとして『私は大樹さんの妻であって、山下家に嫁いだつもりはない』『同じ嫁でも義妹はそちらに泊まっていないじゃないですか』と反撃。さらに『そんなことを言うなら、義母さんとはもうお付き合いしません』とダメ押ししました」
しばらく小競り合いが続くかと思いきや、ここにきて義母が態度を急変させたそう。
「私の機嫌を損ねたことにやっと気がついたのでしょう。その後、義母は『来年は子どもにちゃんとお年玉をあげるわよ』『年末年始に泊まりにさえ来てくれればいいから、またみんなでいらっしゃいよ』とまるで別人のようなLINEを送ってきて。とても義母の本音とは思えなかったので、すべて既読スルーすることにしました」
この出来事を受けて、年末年始に葵さんは子どもを連れて実家に帰り、義実家には夫一人で帰省してもらうことにしたと言います。その方がストレスも溜まらないし、何より義母の顔を見なくてすむので好都合だと考えているのだとか。
初めて義実家へ帰省して痛い目に遭ってしまった葵さん。義母との間で行き違いが生じると、関係が冷めきってしまうことは多々あるようです。ただ長いお付き合いになるので、程よい距離感を保ちたいところです。
<取材・文/菜花明芽>
【菜花明芽】
ライター。ゾッとする実録記事を中心に執筆中。カフェでのんびり過ごすことが好き。
―[年末年始の憂鬱]―