冬の寒い日に恋しくなるのは、やっぱり鍋!
というわけで今回は、あったまる鍋の中でもひと際ごちそう感が強い「すき焼き鍋」にフォーカスした食べ比べをお送りします。
食べ比べるのは、定食チェーンの「やよい軒」、牛丼チェーンの「すき家」「吉野家」の3社。やよい軒は定食チェーンで業態が異なることもあり、税込で1060円と他社よりも200円弱高い価格設定となっています。果たして、そのお値段以上のバリューが感じられるのでしょうか?
各社の味わいの特徴・違いとともに、検証したいと思います! なお価格は地域・店舗によって異なる場合があるので、ご了承くださいませ。
◆半日分の野菜が取れる?すき家の「牛すき鍋定食」
ではさっそく参りましょう、まずは「すき家 牛すき鍋定食890円(税込)」から。
店頭メニューでは「半日分の野菜が摂れる」ことが謳い文句となっており、公式HPには「具材を溶き玉子にくぐらせたり玉子とじにしたりして、お楽しみいただけます」とあります。では実食!
味の決め手となる割り下は、甘じょっぱい印象。けっこう醤油の塩味が強めです。これが玉子を絡めるとちょうどよいバランスになるので、個人的に玉子はマストでした。むしろ後半になると玉子が足りなくなってきたので、オプションでプラス60円の「玉子2個に変更」が選べるのにもうなずけます。
割り下は特にうどんとの相性がよく、割り下を吸ったうどんだけでご飯が進みます。
いっぽう“半日分の野菜”のほうは、白菜、白ネギ、にんじんがメイン。たしかに量は多いものの、白菜は漬け物と同じものが使われているようで薄くて小さく、状態があまり良くないと感じさせるにおいが気になりました。
牛肉は牛丼大盛りくらいのボリューム感があったものの、割り下やその他具材との相性は、可もなく不可もなくといったところ。
ご飯並盛りをオーダーしても、どんぶり一杯の米が付いてきます。玉子を絡めてちょうどよいしょっぱめの味付けが、「ご飯やうどんをもりもり食べて、お腹いっぱいになりたい」人にうってつけだと思いました。
◆「大判のすき焼き肉」が特徴の吉野家
お次は「吉野家 牛すき鍋膳877円(税込)」。
店舗によっては、ご飯の増量・おかわりが無料となっています。公式HPでは、こちらも半日分の野菜が摂れることが謳われているほか、「大判のすき焼き肉」がポイントとなりそうです。いざ実食!
割り下はかなり甘めの仕上がり。肉はたしかに大判かつ、脂身が多めなのが特徴で、脂身の甘みが割り下の味付けと非常によくマッチしていると感じました。
野菜は白菜、にんじんに加え、玉ねぎも入っており、玉ねぎが割り下の甘さを支える要因となっていそうです。白菜に厚みがあり、食べごたえがあるのもグッド。豆腐が入っているのも、地味ながらうれしいポイントです。
難点になりうるのはうどんで、きしめんのような平たい形状をしていてかなりやわらかく、単体で食べると物足りなさを感じてしまいました。
玉子を絡めなくても味わいが成立しているため、玉子にくぐらせると少々塩気が薄く感じられる方もいるかもしれません。「甘めの味付けがお好きな方」はぜひチェックしてみてください。
◆やよい軒の「すき焼き定食」の実力は?
そしてラストは「やよい軒 すき焼き定食1,060円(税込)」。公式HPによると、「甘めの味付けで、しっかりタレが染み込んだ牛肉と野菜がたっぷり、讃岐うどんも入った贅沢な一品」とのこと。その実力はいかに……?
結論から言うと、牛丼チェーンよりやっぱり旨いです。かなり明確な違いがありました。
割り下は甘辛い味付けの中に、牛脂の甘みと深み、香りまで感じる本格派。特筆すべきは牛肉で、肉の厚みと、赤身の豊かな旨みと脂身のコクのある甘みが、牛丼チェーンと比べワンランク、ツーランクくらい上の味わいだと感じました。
しっかりめの味付けが、玉子に絡めるとまろやかに変化するバランスもばっちり。割り下をしっかりと吸ったうどんにも、自然な小麦の風味が感じられました。
牛脂が甘やかに香り、角が取れた深みのある味わい。牛丼チェーンより、「本格度がかなり高い」という評価となりました。もっと肉をお腹いっぱい食べたい! という場合は、お肉2倍増量のすき焼きが1570円(税込)でラインナップされていますよ。
◆やよい軒は“お値段以上の価値”がある
というわけで今回の総評は、「やよい軒のすき焼き定食は、1000円以上払って食べる価値がある」とさせていただきます。「これぞすき焼き!」という王道を感じさせてくれました。定番サービスで、ご飯がおかわり自由なのもうれしい限りです。
牛丼チェーンについては、「ご飯が進む甘辛い味付け」が好みなら「すき家」、「牛肉を引き立てる甘めの味付け」が好きなら「吉野家」、といったところでしょう。なお、いずれのチェーン店も「期間限定メニュー」となっています。品切れしている場合があるので注意してください。
やっぱり、冬のすき焼きは格別のごちそうでした。
文/川瀬章太
【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中
というわけで今回は、あったまる鍋の中でもひと際ごちそう感が強い「すき焼き鍋」にフォーカスした食べ比べをお送りします。
食べ比べるのは、定食チェーンの「やよい軒」、牛丼チェーンの「すき家」「吉野家」の3社。やよい軒は定食チェーンで業態が異なることもあり、税込で1060円と他社よりも200円弱高い価格設定となっています。果たして、そのお値段以上のバリューが感じられるのでしょうか?
各社の味わいの特徴・違いとともに、検証したいと思います! なお価格は地域・店舗によって異なる場合があるので、ご了承くださいませ。
◆半日分の野菜が取れる?すき家の「牛すき鍋定食」
ではさっそく参りましょう、まずは「すき家 牛すき鍋定食890円(税込)」から。
店頭メニューでは「半日分の野菜が摂れる」ことが謳い文句となっており、公式HPには「具材を溶き玉子にくぐらせたり玉子とじにしたりして、お楽しみいただけます」とあります。では実食!
味の決め手となる割り下は、甘じょっぱい印象。けっこう醤油の塩味が強めです。これが玉子を絡めるとちょうどよいバランスになるので、個人的に玉子はマストでした。むしろ後半になると玉子が足りなくなってきたので、オプションでプラス60円の「玉子2個に変更」が選べるのにもうなずけます。
割り下は特にうどんとの相性がよく、割り下を吸ったうどんだけでご飯が進みます。
いっぽう“半日分の野菜”のほうは、白菜、白ネギ、にんじんがメイン。たしかに量は多いものの、白菜は漬け物と同じものが使われているようで薄くて小さく、状態があまり良くないと感じさせるにおいが気になりました。
牛肉は牛丼大盛りくらいのボリューム感があったものの、割り下やその他具材との相性は、可もなく不可もなくといったところ。
ご飯並盛りをオーダーしても、どんぶり一杯の米が付いてきます。玉子を絡めてちょうどよいしょっぱめの味付けが、「ご飯やうどんをもりもり食べて、お腹いっぱいになりたい」人にうってつけだと思いました。
◆「大判のすき焼き肉」が特徴の吉野家
お次は「吉野家 牛すき鍋膳877円(税込)」。
店舗によっては、ご飯の増量・おかわりが無料となっています。公式HPでは、こちらも半日分の野菜が摂れることが謳われているほか、「大判のすき焼き肉」がポイントとなりそうです。いざ実食!
割り下はかなり甘めの仕上がり。肉はたしかに大判かつ、脂身が多めなのが特徴で、脂身の甘みが割り下の味付けと非常によくマッチしていると感じました。
野菜は白菜、にんじんに加え、玉ねぎも入っており、玉ねぎが割り下の甘さを支える要因となっていそうです。白菜に厚みがあり、食べごたえがあるのもグッド。豆腐が入っているのも、地味ながらうれしいポイントです。
難点になりうるのはうどんで、きしめんのような平たい形状をしていてかなりやわらかく、単体で食べると物足りなさを感じてしまいました。
玉子を絡めなくても味わいが成立しているため、玉子にくぐらせると少々塩気が薄く感じられる方もいるかもしれません。「甘めの味付けがお好きな方」はぜひチェックしてみてください。
◆やよい軒の「すき焼き定食」の実力は?
そしてラストは「やよい軒 すき焼き定食1,060円(税込)」。公式HPによると、「甘めの味付けで、しっかりタレが染み込んだ牛肉と野菜がたっぷり、讃岐うどんも入った贅沢な一品」とのこと。その実力はいかに……?
結論から言うと、牛丼チェーンよりやっぱり旨いです。かなり明確な違いがありました。
割り下は甘辛い味付けの中に、牛脂の甘みと深み、香りまで感じる本格派。特筆すべきは牛肉で、肉の厚みと、赤身の豊かな旨みと脂身のコクのある甘みが、牛丼チェーンと比べワンランク、ツーランクくらい上の味わいだと感じました。
しっかりめの味付けが、玉子に絡めるとまろやかに変化するバランスもばっちり。割り下をしっかりと吸ったうどんにも、自然な小麦の風味が感じられました。
牛脂が甘やかに香り、角が取れた深みのある味わい。牛丼チェーンより、「本格度がかなり高い」という評価となりました。もっと肉をお腹いっぱい食べたい! という場合は、お肉2倍増量のすき焼きが1570円(税込)でラインナップされていますよ。
◆やよい軒は“お値段以上の価値”がある
というわけで今回の総評は、「やよい軒のすき焼き定食は、1000円以上払って食べる価値がある」とさせていただきます。「これぞすき焼き!」という王道を感じさせてくれました。定番サービスで、ご飯がおかわり自由なのもうれしい限りです。
牛丼チェーンについては、「ご飯が進む甘辛い味付け」が好みなら「すき家」、「牛肉を引き立てる甘めの味付け」が好きなら「吉野家」、といったところでしょう。なお、いずれのチェーン店も「期間限定メニュー」となっています。品切れしている場合があるので注意してください。
やっぱり、冬のすき焼きは格別のごちそうでした。
文/川瀬章太
【川瀬章太】
フリーライター。神戸・大阪の編プロに8年勤務し、グルメ・街ネタ誌や飲食業界誌などを手がける。取材経験は1500件以上。某純文学新人賞の最終選考に3度残ったことがある。現在はWEBサイト「LIQLOG」などで、ビギナーにやさしいお酒の基礎知識や取材記事を執筆中