さまざまな事情を抱えた人たちが利用するラブホテル。一般的には、ドキドキ、ワクワクしながら、ときにはソワソワと向かう場所だ。
今回は、元ラブホ従業員が体験した“不思議な出来事”を紹介する。
◆男性客の不審な行動
ラブホで働いていた亀田直人さん(仮名・40代)は、車いすの中年男性が来店したときのエピソードを話してくれた。
「1台のタクシーが現れました。運転手が降りて後部座席のドアを開けると、そこには車いすに座った中年男性がいました」
男性が着ているスーツはヨレヨレで、顔からは疲れたようすが見受けられたという。男性は控えめに頭を下げながら、「すみません。ちょっと歩けないもので、運転手さんに手伝ってもらいます」と言った。フロントのスタッフはその言葉を受けて、「分かりました。それでは1泊分のお支払いをお願いします」と伝えたのだが……。
「男性は、『後から来る女性が支払う予定です』と小声で答えたそうです」
◆警察に通報すると、衝撃の事実が発覚…
その後、亀田さんは不審な点に気づいたようだ。
「深夜に『出前をお願いしたい』という電話がかかってきました。1人で料理を楽しんでいるようすは見受けられましたが、女性が現れることはなかったんです」
2日目の夜にも出前の注文があり、亀田さんの疑念は深まることに……。そして、3日目の昼が過ぎた頃、男性の部屋を訪れることに決めたという。
「なんと、男性は車いすから離れ、ふつうに部屋を歩き回っていたんです」
怪訝に思い、警察に通報。
すると、男性は2日前に刑務所から出所したばかりで、金銭的な余裕もなく、“ただお腹が空いて眠くなっただけ”で、ラブホを利用した事実が判明した。
「警察が調べたところ、ラブホで一時的に雨風をしのぐつもりだったことが分かったんです。でも、ラブホ側には金銭的な被害が発生しているので、無銭宿泊として処理されました」
亀田さんたちスタッフは、「今後、怪しい客を見かけたら店長に連絡するように」と指導された。最終的には大事には至らず無事に解決したのだが、この出来事は今でも強く記憶に残っているのだとか。
◆ラブホの客から誘惑されて…
ラブホで受付業務をしていた遠山要さん(仮名・30代)。ある日の夜、普段通りに仕事をしていた時に、1人の女性がカウンターにやってきたという。
「彼女は少し緊張しているようすだったのですが、突然『仕事が終わったら、会いませんか?』と声をかけてきました」
彼女とは初対面のはずで、遠山さんはその誘いに驚いた。だが、特に予定もなかったため、彼女の指定した喫茶店に向かうことにした。
「喫茶店で彼女に会うと少し恥ずかしそうに、『以前、あなたを見かけて気になっていたんです。もしよかったら、一緒にどこかに行きませんか?』と言ったんです」
彼女は華奢で清楚な印象。遠山さんは、その優しい雰囲気にひかれ、誘いに応じることにしたそうだ。
「その後、私たちはホテルに向かいました。部屋に入ると控えめな印象とは違って、積極的に迫ってきたんです。その変化に戸惑いながらも、時間が過ぎるのがあっという間で……」
遠山さんはしばらくの楽しい時間を彼女と共有したという。
◆まるで夢のような出来事
その後、彼女は明るい表情で「ありがとう」と言い、遠山さんの元を去っていった。
「彼女との出来事が夢のように感じられて、その日はしばらく呆然として帰ったのを覚えています。ただ、それから彼女が私に会いに来ることはありませんでした。 そんな彼女との夜がどうしても印象に残ってしまいました」
ラブホのバイトを続けていれば、こんな不思議な経験が再びできるのではないかと、心の中で少しだけ期待していたというが、1度きりだったそうだ。
<取材・文/資産もとお>
今回は、元ラブホ従業員が体験した“不思議な出来事”を紹介する。
◆男性客の不審な行動
ラブホで働いていた亀田直人さん(仮名・40代)は、車いすの中年男性が来店したときのエピソードを話してくれた。
「1台のタクシーが現れました。運転手が降りて後部座席のドアを開けると、そこには車いすに座った中年男性がいました」
男性が着ているスーツはヨレヨレで、顔からは疲れたようすが見受けられたという。男性は控えめに頭を下げながら、「すみません。ちょっと歩けないもので、運転手さんに手伝ってもらいます」と言った。フロントのスタッフはその言葉を受けて、「分かりました。それでは1泊分のお支払いをお願いします」と伝えたのだが……。
「男性は、『後から来る女性が支払う予定です』と小声で答えたそうです」
◆警察に通報すると、衝撃の事実が発覚…
その後、亀田さんは不審な点に気づいたようだ。
「深夜に『出前をお願いしたい』という電話がかかってきました。1人で料理を楽しんでいるようすは見受けられましたが、女性が現れることはなかったんです」
2日目の夜にも出前の注文があり、亀田さんの疑念は深まることに……。そして、3日目の昼が過ぎた頃、男性の部屋を訪れることに決めたという。
「なんと、男性は車いすから離れ、ふつうに部屋を歩き回っていたんです」
怪訝に思い、警察に通報。
すると、男性は2日前に刑務所から出所したばかりで、金銭的な余裕もなく、“ただお腹が空いて眠くなっただけ”で、ラブホを利用した事実が判明した。
「警察が調べたところ、ラブホで一時的に雨風をしのぐつもりだったことが分かったんです。でも、ラブホ側には金銭的な被害が発生しているので、無銭宿泊として処理されました」
亀田さんたちスタッフは、「今後、怪しい客を見かけたら店長に連絡するように」と指導された。最終的には大事には至らず無事に解決したのだが、この出来事は今でも強く記憶に残っているのだとか。
◆ラブホの客から誘惑されて…
ラブホで受付業務をしていた遠山要さん(仮名・30代)。ある日の夜、普段通りに仕事をしていた時に、1人の女性がカウンターにやってきたという。
「彼女は少し緊張しているようすだったのですが、突然『仕事が終わったら、会いませんか?』と声をかけてきました」
彼女とは初対面のはずで、遠山さんはその誘いに驚いた。だが、特に予定もなかったため、彼女の指定した喫茶店に向かうことにした。
「喫茶店で彼女に会うと少し恥ずかしそうに、『以前、あなたを見かけて気になっていたんです。もしよかったら、一緒にどこかに行きませんか?』と言ったんです」
彼女は華奢で清楚な印象。遠山さんは、その優しい雰囲気にひかれ、誘いに応じることにしたそうだ。
「その後、私たちはホテルに向かいました。部屋に入ると控えめな印象とは違って、積極的に迫ってきたんです。その変化に戸惑いながらも、時間が過ぎるのがあっという間で……」
遠山さんはしばらくの楽しい時間を彼女と共有したという。
◆まるで夢のような出来事
その後、彼女は明るい表情で「ありがとう」と言い、遠山さんの元を去っていった。
「彼女との出来事が夢のように感じられて、その日はしばらく呆然として帰ったのを覚えています。ただ、それから彼女が私に会いに来ることはありませんでした。 そんな彼女との夜がどうしても印象に残ってしまいました」
ラブホのバイトを続けていれば、こんな不思議な経験が再びできるのではないかと、心の中で少しだけ期待していたというが、1度きりだったそうだ。
<取材・文/資産もとお>