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悪質さを増す“転売ヤー”の手口。中国人観光客に爆買いさせた「免税品」を転売、限定販売のサンリオグッズも…

日刊SPA! 2025年1月13日 8時52分

 レア物や入手困難なアイテムに目をつけ、安く仕入れて高く売る転売ヤー。以前から社会問題となっていた彼らの行動が過激化の一途を辿っている。身分証の偽造や大量動員による買い占め、盗み――。その悪辣な手口を追った。
◆中国人観光客に爆買いさせた免税品を豪快に転売!

 西新宿の一角に路上駐車したハイエースを、買い物袋を提げた男女が次々と訪れる。彼らは車内にいた男に買い物袋を渡すと札束を受け取り、去っていく。だが、しばらくするとまた買い物袋を提げて、舞い戻ってくる――。

 この異様な光景について、『転売ヤー闇の経済学』を上梓したライターの奥窪優木氏は「免税品転売ヤーの買い付け」と指摘する。

「現行の免税制度では、外国人観光客は対象商品を消費税が免除された価格で購入できる。これを悪用し、観光客や短期滞在者を動員して商品を免税購入させ、国内外で転売する行為が横行しています。購入金額に上限がないため、100万円分免税されれば、10万円も得になる。中古ブランド品や時計がよく買われてますね。一方で、買い子に渡すのはせいぜい日当2万〜3万円」

◆免税制度の移行の見通しはあるが…

 会計検査院の調査では、’22年度には免税制度を不正に利用した9人が計33億円分を購入。政府は対策として、出国時に持ち出される免税品と購入者を確認のうえ消費税分の払い戻しを行う「リファンド型」に制度を移行する見通しだ。

 しかし、制度変更を前に免税品転売ヤーが活動を活発化させているという。

《免税代理購入 実働5時間》

 某日、中国のSNS上でこんな投稿を発見。追跡してみた。彼らは近くの百貨店で限定販売されていたサンリオのキャラクターグッズを免税制度を利用してあっという間に買い占めると、路上で仕分け作業を始めた。

 無垢な表情のぬいぐるみと札束が乱雑にやり取りされる、異様な現場であった。

◆反社、外国人グループが新規参入して治安は悪化!

 市場における需給の歪みにつけ込み、暴利をむさぼる転売ヤーたち。「本当に買いたい人が買えない」という不公平性が問題視され、’19年には「チケット不正転売禁止法」が施行されるなど規制強化が進んでいるが……。

「転売業界は新規参入者がひしめき合い、むしろ過当競争時代に。今まで不利益を被っていたはずの一般人が転売ヤーに転身するなど、まさに血で血を洗う争いです」(奥窪氏)

 競争の激化によって従来通りの転売では利ざやを確保できなくなりつつあることから、「法を逸脱した行為に手を染める動きが活性化してきています」と、事態の悪化を物語る。

「特に顕著なのが、外国人グループの動きです。外国人による越境転売は、実は無免許で不正に海外送金を行う『地下銀行業者』と密接な関係にあります。簡単に言えば、カネを転売品に換えて海外に送金しているということ。それが犯罪収益や脱税したカネだとしても、国税や警察が追うのは至難の業です」(奥窪氏)

◆闇バイトと地続き、果てには販売業者もグル

 また、近年世間を騒がせる闇バイト問題と転売は深いかかわりがあるという。現役転売ヤーのA氏は言う。

「今や転売は反社会勢力のメシのタネにもなっていますからね。闇バイトを使った事例も多発しています」

 悪質なのは転売ヤーだけではない。販売業者もグルになって不正を働くケースが多いというから呆れる。

「ナイキの正規店『アトモス』の創業者が定価2万円のスニーカーを10万円で横流ししていたという報道もありましたが、これは氷山の一角。例えば『売れ残った商品を100万円分買うから、プレ値(プレミアム価格)の商品も抱き合わせてくれ』というと、正規店であろうが交渉次第でいくらでもなびきます」(A氏)

 反社会勢力や外国人グループ、さらには悪徳販売業者。転売業界は魑魅魍魎が跋扈しているのだ。

【フリーライター・奥窪優木氏】
上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学を中退後、現地の邦字紙記者に。中国在住を経て帰国、日本の裏社会事情に精通

【現役転売ヤー・A氏】
アパレル、ウイスキー、チケット転売で財を成し、日本の転売市場で長きにわたり最前線に立ち荒稼ぎ。年収5000万円を超える猛者

取材・文・撮影/週刊SPA!編集部

―[転売ヤーの悪質すぎる手口]―

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