高齢&晩婚化で50歳を過ぎて子宝を授かる男性が増えている。体は衰え、稼げる時間は限られ、親の介護リスクに頭を悩ませる……。そんな高齢パパの奮闘と葛藤を追った。
◆高齢パパの増加は少子化が進む日本にとっての吉兆?
高齢化と晩婚化で今後も増え続けることが予想される高齢パパ。これは少子化が進む日本にとっての吉兆か?
「若いパパのほうが体力があって、働ける時間は長いけど、高齢パパにはまた別の利点がある。それは、育ち盛りの子どもと触れ合える時間が若いパパよりも圧倒的に多いこと。母親並みの育児を高齢パパならできる」
こう話すのは、還暦で4歳の息子の育児に奮闘している『夕刊フジ』前編集長の中本裕己氏だ。’12年に奥さんと結婚し、9年目に妊娠が判明。だが、奥さんはおたふくかぜから心筋炎を発症し、出産直前に心不全に。命の危険にさらされながらも出産を果たし、その後、夫婦揃って育児に追われる様子を中本氏は『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』という著書にまとめた。
◆現在は“3ない”子育て中
現在は産経新聞の連載コラム「還暦パパの異次元子育て」で、高齢パパが抱える不安や楽しみを赤裸々に綴っている。
「妊娠するまでは毎年2、3回は妻と2人で海外旅行に出かけて、宵越しの銭は持たないとばかりにバカンスを満喫してきました。だから、十分な貯金はありません……。2023年7月には定年を迎えて、再雇用で給料が12万円減ったので、収入も先細り気味。残された時間は少なく、体力もお金もないという“3ない”子育てなんです。
でも、高齢パパには経験値がある。年齢制限で子どものための学資保険に加入できなかったけど、知り合いのファイナンシャルプランナーに相談して、代わりに外貨建て投資を始めました。著書を名刺代わりに講演などで少しずつ副収入も得られるようになってきたし、息子のおもちゃは“子育て卒業パパ”からもらったものばかりでお金がかかってない。経験や人との繫がりを生かせば、3ないの高齢パパでも楽しく子育てができるんです」
◆子育ての楽しさを伝えられるのは高齢パパだけ
その“楽しさ”を世に広められるのは高齢パパだけだと中本氏は言う。
「多様化の名の下、『子どもができた』ことを大っぴらにしにくくなっているじゃないですか。SNS上で出産報告すれば、『不妊治療を続けている人の気持ちを考えろ』『子どもをつくらないという選択をした家庭を否定しているのか』といった批判を浴びたりもする。その批判が間違っているとは思いませんが、子育てしにくい環境を加速させているのは間違いありません。子育てに行き詰まっても、相談しにくくなるので。
でも、“3ない”の高齢パパは、『ハンデを背負った子育てだから、暖かく見守ってやろう』と思われているのか、ほとんど批判されない。実際、私の子育てコラムには多数の応援コメントが寄せられています。裏返せば、高齢パパだからこそ、子育ての楽しさを広められると思うんです。
この楽しさの発信は少子化対策にも役立つ。なぜなら、子育ての難しさばかり強調される傾向にあるからです。私の妻は45歳で出産してから、『こんなに楽しいことを、なんで誰も教えてくれなかったんだろう?』としきりに言ってます。知れば、子どもをつくりたいと思う人は増えるはず。そう思って発信し続けています」
高齢パパが日本を救う……かもしれない!
【『夕刊フジ』前編集長 中本裕己氏】
1963年生まれ。産経新聞社入社後、夕刊フジ一筋。芸能デスクなどを経て編集長を経験。2023年定年を迎えたが、同紙の編集を続ける
取材・文/週刊SPA!編集部
―[急増![高齢パパ]の現実]―
◆高齢パパの増加は少子化が進む日本にとっての吉兆?
高齢化と晩婚化で今後も増え続けることが予想される高齢パパ。これは少子化が進む日本にとっての吉兆か?
「若いパパのほうが体力があって、働ける時間は長いけど、高齢パパにはまた別の利点がある。それは、育ち盛りの子どもと触れ合える時間が若いパパよりも圧倒的に多いこと。母親並みの育児を高齢パパならできる」
こう話すのは、還暦で4歳の息子の育児に奮闘している『夕刊フジ』前編集長の中本裕己氏だ。’12年に奥さんと結婚し、9年目に妊娠が判明。だが、奥さんはおたふくかぜから心筋炎を発症し、出産直前に心不全に。命の危険にさらされながらも出産を果たし、その後、夫婦揃って育児に追われる様子を中本氏は『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』という著書にまとめた。
◆現在は“3ない”子育て中
現在は産経新聞の連載コラム「還暦パパの異次元子育て」で、高齢パパが抱える不安や楽しみを赤裸々に綴っている。
「妊娠するまでは毎年2、3回は妻と2人で海外旅行に出かけて、宵越しの銭は持たないとばかりにバカンスを満喫してきました。だから、十分な貯金はありません……。2023年7月には定年を迎えて、再雇用で給料が12万円減ったので、収入も先細り気味。残された時間は少なく、体力もお金もないという“3ない”子育てなんです。
でも、高齢パパには経験値がある。年齢制限で子どものための学資保険に加入できなかったけど、知り合いのファイナンシャルプランナーに相談して、代わりに外貨建て投資を始めました。著書を名刺代わりに講演などで少しずつ副収入も得られるようになってきたし、息子のおもちゃは“子育て卒業パパ”からもらったものばかりでお金がかかってない。経験や人との繫がりを生かせば、3ないの高齢パパでも楽しく子育てができるんです」
◆子育ての楽しさを伝えられるのは高齢パパだけ
その“楽しさ”を世に広められるのは高齢パパだけだと中本氏は言う。
「多様化の名の下、『子どもができた』ことを大っぴらにしにくくなっているじゃないですか。SNS上で出産報告すれば、『不妊治療を続けている人の気持ちを考えろ』『子どもをつくらないという選択をした家庭を否定しているのか』といった批判を浴びたりもする。その批判が間違っているとは思いませんが、子育てしにくい環境を加速させているのは間違いありません。子育てに行き詰まっても、相談しにくくなるので。
でも、“3ない”の高齢パパは、『ハンデを背負った子育てだから、暖かく見守ってやろう』と思われているのか、ほとんど批判されない。実際、私の子育てコラムには多数の応援コメントが寄せられています。裏返せば、高齢パパだからこそ、子育ての楽しさを広められると思うんです。
この楽しさの発信は少子化対策にも役立つ。なぜなら、子育ての難しさばかり強調される傾向にあるからです。私の妻は45歳で出産してから、『こんなに楽しいことを、なんで誰も教えてくれなかったんだろう?』としきりに言ってます。知れば、子どもをつくりたいと思う人は増えるはず。そう思って発信し続けています」
高齢パパが日本を救う……かもしれない!
【『夕刊フジ』前編集長 中本裕己氏】
1963年生まれ。産経新聞社入社後、夕刊フジ一筋。芸能デスクなどを経て編集長を経験。2023年定年を迎えたが、同紙の編集を続ける
取材・文/週刊SPA!編集部
―[急増![高齢パパ]の現実]―