車中泊の魅力を発信しているYouTubeチャンネル「ちいこなの車中泊」。心地良く癒される映像と発信者であるちいこなさんの愛らしさも相まって、人気を博している。
インタビュー前編に引き続き、後編では、車中泊をする上で気をつけていることやこだわり、実際に見舞われたトラブル、今後チャレンジしていきたいことなどを聞いた。
◆印象深い「車中泊の魅力が全部詰まっている回」
――これまで60本以上の動画を投稿されていますし、いろいろな場所に行かれていますが、特に印象的だった車中泊は?
ちいこな:山奥に車を停めて、しゃぶしゃぶを食べた車中泊です。動画の作品という観点からも、車中泊の魅力が全部詰まっている回だったかなと。美味しいご飯を食べたり、秋の紅葉を眺めたり、温泉にも入ったり……。動画の構成も練りに練って、今まで以上に上質な映像を撮ろうとこだわって撮っていました。
結果的に再生数が30万回以上と私の動画の中で一番伸びていますし、自分が気に入っている動画を皆さんに評価していただけたのがうれしかったですね。「車中泊の魅力って何だろう」って思った時、その動画を見てもらえれば一発で伝わるような作品になっていると思います。
◆自分が一番納得できるものを作りたい
――前編でお話をお聞きしている時にも感じましたが、やはりちいこなさんはクリエイター気質なんだなと。車中泊が楽しいということももちろんあると思うのですが、動画の完成度や質に相当なこだわりを持っていますよね?
ちいこな:もちろん視聴者の方々に喜んでもらえることも大事なことだと思いますが、それと同時に「自分が一番納得できるものを作りたい」という気持ちも強いですね。
――ちいこなさんの場合は、自分が納得できるレベルと視聴者さんが楽しめる動画の質が一致しているというか、同じレベルにあるからいいですよね。自分が納得していても周りに響かなければ、自己満足するだけになってしまいますから。
ちいこな:以前弾き語りのYouTubeチャンネルを2年程度やっていたことをお話ししましたが、そこでの失敗が活かされているんだと思います。その時は視聴者さんの見たい動画を見せられていませんでしたから…。今は視聴者さんの目線に立って動画を作るように心がけています。
――動画投稿の更新頻度は月1回?
ちいこな:本当はもう少し頻度を上げたいと思っているのですが、忙しくてなかなか。でも、なるべく多く投稿した方が視聴者さんに忘れられませんよね。1ヶ月に1回だと毎回「お久しぶりです」といったコメントもいただくので…(笑)。ただ、できる範囲でやっていく感じですね。投稿頻度が少ないからこそ、1本の動画で長く楽しんでもらえるよう長尺の動画を投稿するよう心がけています。
◆車内にいる時に急にノックしてきたのは…
――車中泊はいろいろとトラブルがつきものだと思いますが、今までで印象的なトラブルは?
ちいこな:奥多摩周辺の駐車場で車中泊をした時なのですが、ラーメンを作ろうと思ってIHクッキングヒーターを持って行ったはいいものの、IHの線を忘れてしまってお湯を沸かせなかったんです。近くに開いているお店もなく、これは撮影もできないし帰らなきゃいけないかなって半ばあきらめていたのですが、「麺を水に長くつけておくとふやけて食べられるようになる」という災害ライフハックのことを思い出して乗り切った経験があります(笑)。
あと、東京の八王子にある道の駅「八王子滝山」にいた時だったのですが、車内にいる時に急にノックされて、「何かな?」と思ったら警察官の方がいらっしゃって……。
――職務質問か何かですか?
ちいこな:そうですね。パトロールで周辺をまわっていたようなのですが、突然窓をノックされたのでびっくりしました。車内に料理用の包丁が置いてあったのを見て、「これは何ですか?」と聞かれ……。調理用に包丁を持っている方は私以外にも多いみたいで、車中泊の動画を撮影していることなどを説明したら納得していただけました。
ただ、警察官の方がパトロールしているエリアということであれば安心感はありますし、車中泊をする場所を決める時も交番が近くにあるところを選ぶとか、パトロールをされるような範囲内の場所を選ぶとか、それが事前にわからなければなるべく人の出入りがある場所にするとか、安全面には気をつけています。
あとはカーテンを閉めて目隠しを必ずするということや、寝る時はドアをロックすること。それと、何かあった時に車を運転して逃げられるよう、アルコール類は飲まないようにしています。動画の中で飲んでいるシーンがありますが、あれはノンアルコールです。
◆車中泊はハイブリッドな趣味
――ちなみに、車内でゲームをしているシーンを見たのですが、動画のBGMは無しでゲーム中の画面を淡々と流していますよね。何か意図があるのですか?
ちいこな:視聴者さんにけっこうゲーム好きな方も多くて、「ゲームだけを見たいです」と言ってくださる方もいらっしゃるので、それに応えている形です。自分自身としてもうまくプレーしているところを見せたいですし、そういうシーンを投稿して喜んでくださる方もいるので。
――好きなゲームは?
ちいこな:格闘ゲームが好きで、今は「STREET FIGHTER 6(ストリートファイター6)」にハマっています。それと「Dead by Daylight」(デッド バイ デイライト)というホラーアクションも好きです。兄が2人いることもあって、けっこう男の子に混ざってサッカーやゲームをして遊ぶことも多かったので、その影響もあるのかもしれません。
――車中泊は車内で思う存分好きなゲームができて、車外に出れば綺麗な景色を眺めたりできます。ちいこなさんにとっては最高ですね。
ちいこな:そうですね。車中泊はアウトドアでもありインドアでもある、ハイブリッドな感じの趣味だと思っています。
――車中泊仕様のDIYをされる方も多いですが、その部分に対してのこだわりなどはありますか?
ちいこな:“移動する部屋”と表現すればいいのか、とにかく家のような空間にすることにこだわっています。なので、おしゃれなラグを使ったり、目隠しに関しても吸盤で貼り付けるようなサンシードではなくカーテンにしたり。あと、スペースが狭いので少しものを置くと狭くなってしまうので、スタッキング可能なものや2ウェイ、3ウェイのギアを使ったり、スペースが有効活用できるものを選ぶようにしています。
◆“声出し”を解禁した理由は…
――ちなみに、今までの動画でご本人の声は公開していなかったと思いますが、途中から公開するようになりましたよね。
ちいこな:そうですね。以前より視聴者さんからは「声を出してほしい」というコメントをけっこういただいていたんです。でも喋るのが苦手ということと、声を出すことで今までの動画の世界観を壊してしまうんじゃないかと不安だったこともあって声は出してきませんでした。
――声を公開されるようになったきっかけは?
ちいこな:台風の影響で車中泊の動画を撮りに行けなくなってしまい、別のコンセプトの動画を撮らざるをえないケースがあったんです。内容は車中泊のギアを紹介するものだったのですが、「ギアの説明であれば声を出しやすいかな」と思ったのがきっかけです。それと、車中泊の動画を楽しみにしていた方にとっては残念な思いをさせてしまうので、「サプライズになればいいな」「いつもと違う何かがあれば、新鮮な気持ちで見てもらえるかな」と、思い切って声を出してみたんです。
――ちいこなさんが声を公開されたことに対して多くのコメントが寄せられていましたが、手ごたえはいかがですか?
ちいこな:緊張したのか声がけっこう硬くなっていたのですが、「やっぱり声がある方がいいです」と言ってくださったり、視聴者さんの反応はうれしかったですね。ただ、声なしの動画を好まれる方も中にはいらっしゃるので、両方の動画を投稿していければいいかなと思っています。私も個人的には、声なしの静かな動画が好きだったりします。声を入れると、ふざけすぎてしまうので(笑)。
◆やりたいことが多すぎて時間が足りない
――今後の夢やチャレンジしていきたいことは?
ちいこな:今のチャンネルの登録者数を伸ばしていきたいですね。具体的な目標としては10万人を目指したいというのと、「車中泊」で検索した時に私のチャンネルがすぐに出てくるぐらい有名になりたいです。
あと、違うコンセプトを設定した別のチャンネルも立ち上げたいなと。車中泊ではなく、自分が家で生活している様子やルーティンだったり、ゲームをしている様子だったり……。お部屋作りへのこだわりも強い方なので、お部屋を映していったり……Vlogではないですが、そういう動画も投稿していきたいですね。あとは、配信もやってみて楽しかったので、こちらも継続してやっていきたいです。やりたいことが多すぎて時間が足りないのが悩みです(笑)。
<取材・文/浜田哲男>
【浜田哲男】
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton
インタビュー前編に引き続き、後編では、車中泊をする上で気をつけていることやこだわり、実際に見舞われたトラブル、今後チャレンジしていきたいことなどを聞いた。
◆印象深い「車中泊の魅力が全部詰まっている回」
――これまで60本以上の動画を投稿されていますし、いろいろな場所に行かれていますが、特に印象的だった車中泊は?
ちいこな:山奥に車を停めて、しゃぶしゃぶを食べた車中泊です。動画の作品という観点からも、車中泊の魅力が全部詰まっている回だったかなと。美味しいご飯を食べたり、秋の紅葉を眺めたり、温泉にも入ったり……。動画の構成も練りに練って、今まで以上に上質な映像を撮ろうとこだわって撮っていました。
結果的に再生数が30万回以上と私の動画の中で一番伸びていますし、自分が気に入っている動画を皆さんに評価していただけたのがうれしかったですね。「車中泊の魅力って何だろう」って思った時、その動画を見てもらえれば一発で伝わるような作品になっていると思います。
◆自分が一番納得できるものを作りたい
――前編でお話をお聞きしている時にも感じましたが、やはりちいこなさんはクリエイター気質なんだなと。車中泊が楽しいということももちろんあると思うのですが、動画の完成度や質に相当なこだわりを持っていますよね?
ちいこな:もちろん視聴者の方々に喜んでもらえることも大事なことだと思いますが、それと同時に「自分が一番納得できるものを作りたい」という気持ちも強いですね。
――ちいこなさんの場合は、自分が納得できるレベルと視聴者さんが楽しめる動画の質が一致しているというか、同じレベルにあるからいいですよね。自分が納得していても周りに響かなければ、自己満足するだけになってしまいますから。
ちいこな:以前弾き語りのYouTubeチャンネルを2年程度やっていたことをお話ししましたが、そこでの失敗が活かされているんだと思います。その時は視聴者さんの見たい動画を見せられていませんでしたから…。今は視聴者さんの目線に立って動画を作るように心がけています。
――動画投稿の更新頻度は月1回?
ちいこな:本当はもう少し頻度を上げたいと思っているのですが、忙しくてなかなか。でも、なるべく多く投稿した方が視聴者さんに忘れられませんよね。1ヶ月に1回だと毎回「お久しぶりです」といったコメントもいただくので…(笑)。ただ、できる範囲でやっていく感じですね。投稿頻度が少ないからこそ、1本の動画で長く楽しんでもらえるよう長尺の動画を投稿するよう心がけています。
◆車内にいる時に急にノックしてきたのは…
――車中泊はいろいろとトラブルがつきものだと思いますが、今までで印象的なトラブルは?
ちいこな:奥多摩周辺の駐車場で車中泊をした時なのですが、ラーメンを作ろうと思ってIHクッキングヒーターを持って行ったはいいものの、IHの線を忘れてしまってお湯を沸かせなかったんです。近くに開いているお店もなく、これは撮影もできないし帰らなきゃいけないかなって半ばあきらめていたのですが、「麺を水に長くつけておくとふやけて食べられるようになる」という災害ライフハックのことを思い出して乗り切った経験があります(笑)。
あと、東京の八王子にある道の駅「八王子滝山」にいた時だったのですが、車内にいる時に急にノックされて、「何かな?」と思ったら警察官の方がいらっしゃって……。
――職務質問か何かですか?
ちいこな:そうですね。パトロールで周辺をまわっていたようなのですが、突然窓をノックされたのでびっくりしました。車内に料理用の包丁が置いてあったのを見て、「これは何ですか?」と聞かれ……。調理用に包丁を持っている方は私以外にも多いみたいで、車中泊の動画を撮影していることなどを説明したら納得していただけました。
ただ、警察官の方がパトロールしているエリアということであれば安心感はありますし、車中泊をする場所を決める時も交番が近くにあるところを選ぶとか、パトロールをされるような範囲内の場所を選ぶとか、それが事前にわからなければなるべく人の出入りがある場所にするとか、安全面には気をつけています。
あとはカーテンを閉めて目隠しを必ずするということや、寝る時はドアをロックすること。それと、何かあった時に車を運転して逃げられるよう、アルコール類は飲まないようにしています。動画の中で飲んでいるシーンがありますが、あれはノンアルコールです。
◆車中泊はハイブリッドな趣味
――ちなみに、車内でゲームをしているシーンを見たのですが、動画のBGMは無しでゲーム中の画面を淡々と流していますよね。何か意図があるのですか?
ちいこな:視聴者さんにけっこうゲーム好きな方も多くて、「ゲームだけを見たいです」と言ってくださる方もいらっしゃるので、それに応えている形です。自分自身としてもうまくプレーしているところを見せたいですし、そういうシーンを投稿して喜んでくださる方もいるので。
――好きなゲームは?
ちいこな:格闘ゲームが好きで、今は「STREET FIGHTER 6(ストリートファイター6)」にハマっています。それと「Dead by Daylight」(デッド バイ デイライト)というホラーアクションも好きです。兄が2人いることもあって、けっこう男の子に混ざってサッカーやゲームをして遊ぶことも多かったので、その影響もあるのかもしれません。
――車中泊は車内で思う存分好きなゲームができて、車外に出れば綺麗な景色を眺めたりできます。ちいこなさんにとっては最高ですね。
ちいこな:そうですね。車中泊はアウトドアでもありインドアでもある、ハイブリッドな感じの趣味だと思っています。
――車中泊仕様のDIYをされる方も多いですが、その部分に対してのこだわりなどはありますか?
ちいこな:“移動する部屋”と表現すればいいのか、とにかく家のような空間にすることにこだわっています。なので、おしゃれなラグを使ったり、目隠しに関しても吸盤で貼り付けるようなサンシードではなくカーテンにしたり。あと、スペースが狭いので少しものを置くと狭くなってしまうので、スタッキング可能なものや2ウェイ、3ウェイのギアを使ったり、スペースが有効活用できるものを選ぶようにしています。
◆“声出し”を解禁した理由は…
――ちなみに、今までの動画でご本人の声は公開していなかったと思いますが、途中から公開するようになりましたよね。
ちいこな:そうですね。以前より視聴者さんからは「声を出してほしい」というコメントをけっこういただいていたんです。でも喋るのが苦手ということと、声を出すことで今までの動画の世界観を壊してしまうんじゃないかと不安だったこともあって声は出してきませんでした。
――声を公開されるようになったきっかけは?
ちいこな:台風の影響で車中泊の動画を撮りに行けなくなってしまい、別のコンセプトの動画を撮らざるをえないケースがあったんです。内容は車中泊のギアを紹介するものだったのですが、「ギアの説明であれば声を出しやすいかな」と思ったのがきっかけです。それと、車中泊の動画を楽しみにしていた方にとっては残念な思いをさせてしまうので、「サプライズになればいいな」「いつもと違う何かがあれば、新鮮な気持ちで見てもらえるかな」と、思い切って声を出してみたんです。
――ちいこなさんが声を公開されたことに対して多くのコメントが寄せられていましたが、手ごたえはいかがですか?
ちいこな:緊張したのか声がけっこう硬くなっていたのですが、「やっぱり声がある方がいいです」と言ってくださったり、視聴者さんの反応はうれしかったですね。ただ、声なしの動画を好まれる方も中にはいらっしゃるので、両方の動画を投稿していければいいかなと思っています。私も個人的には、声なしの静かな動画が好きだったりします。声を入れると、ふざけすぎてしまうので(笑)。
◆やりたいことが多すぎて時間が足りない
――今後の夢やチャレンジしていきたいことは?
ちいこな:今のチャンネルの登録者数を伸ばしていきたいですね。具体的な目標としては10万人を目指したいというのと、「車中泊」で検索した時に私のチャンネルがすぐに出てくるぐらい有名になりたいです。
あと、違うコンセプトを設定した別のチャンネルも立ち上げたいなと。車中泊ではなく、自分が家で生活している様子やルーティンだったり、ゲームをしている様子だったり……。お部屋作りへのこだわりも強い方なので、お部屋を映していったり……Vlogではないですが、そういう動画も投稿していきたいですね。あとは、配信もやってみて楽しかったので、こちらも継続してやっていきたいです。やりたいことが多すぎて時間が足りないのが悩みです(笑)。
<取材・文/浜田哲男>
【浜田哲男】
千葉県出身。専修大学を卒業後、広告業界を経て起業。「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)」の取材をはじめ、複数のスポーツ・エンタメ・ニュース系メディアで連載企画・編集・取材・執筆に携わる。X(旧Twitter):@buhinton