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ガラ空きの駐車場で隣に停めてくる“トナラー”本人に怒りの直撃「なぜ私のクルマの隣に停めるのか」

日刊SPA! 2025年1月19日 15時52分

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

クルマ好きの腕時計投資家の斉藤由貴生です。
カーマニアは、駐車場に愛車を停める際、ぶつけられるリスクを最大限回避するために、あえて「誰も停めないようなところ」を探すわけでが、それでもわざわざ隣に停めてくるクルマがいます。

このような行為は「トナラー」と呼ばれているのですが、ここ5年ぐらいで「トナラー」という言葉の知名度が広がったため、以前よりもトナラーに遭遇する確率が減ったと個人的に感じていました。

私は、2020年12月に日刊SPA!で「トナラー」について書いたのですが、それから記事で話題にしたいほど、強いトナラーに遭遇したことはありませんでした。もちろん、トナラーへの遭遇は皆無ではなかったのですが、強烈なトナラーはいなかったのです。

しかし、今回は約4年ぶりにトナラーについて述べたいと思っています。直近2回にわたってびっくりするぐらいの「見事なトナラー」に出会ったからであります。

◆岩手県宮古駅前で遭遇したトナラー

私は、去年の秋に岩手に行ってきたのですが、その際、メルセデス・ベンツのW140で東京から高速道路で向かいました。宿は宮古市だったのですが、盛岡冷麺を食べたいため、盛岡経由で向かうことに。盛岡駅前の駐車場は都市部のような、比較的狭めの立体駐車場だったのですが、上の階に行くにつれクルマが少なく、トナラー予防をしたと思われるフェラーリなども止まっている様子がありました。

そして、私もそういった空きが多い場所にW140を駐車して、盛岡駅前で冷麺を食べ、少し周辺を観光してクルマに戻ります。ここでは、トナラーには遭遇せず、W140の周りはガラガラのままでした。

岩手観光の際、最も駐車が心配だったのが盛岡駅周辺だったため、私は「難所はクリアした」と思って宮古市に向かったわけです。盛岡駅から宮古駅周辺までは、約100キロの距離があるのですが、復興道路が整備されているため、1時間程度で到着。

私は、宮古駅前の海鮮丼屋さんに行きたかったため、事前に駐車場事情を調べており、宮古駅前に2箇所あるタイムズの1つが「広い」ということを知っていました。

そしてそのタイムズにつくと、「誰も駐車していないガラガラエリア」が存在。その角にクルマを止めたのですが、ここならまずトナラーが来ないだろうと思った次第です。

また、食事も海鮮丼であるため時間がかかりません。全く持って心配はしていなかったのですが、なんと海鮮丼を食べ終えてクルマの方向に向かうと、遠くから誰もいないエリアにある私のW140のとなりに、黒いクルマが止まっているのを確認。びっくりするぐらい見事なトナラーに遭遇。たったの30分ぐらいで、こんなトナラーが現れると思いませんでした。

◆鳥肌が立つような悪寒に襲われる

どう考えてもトナラーに遭遇ような環境じゃなかったため、私は不意をつかれ、思わず「うわ!」と口に出したことを覚えています。

ただ、そのクルマは営業車で助手席にはモノが積んである状態。私のW140の運転席の隣がトナラーだったため、ドアパンチの可能性は高くないとすぐに判断できました。

そうであれば、「ぶつけられた」という被害を受けた可能性は少ないため、精神的には少し安心。一応iPhoneのライトでクルマを照らし傷や凹みを確認しましたが、全くありませんでした。

とはいえ、これだけ周りにクルマがいなく、なおかつ駅方面からも遠い場所という条件のこの場所で、「真隣にクルマがきていた」という状況はかなり“気味が悪く”、異郷の地ということもあって鳥肌が立つような感覚がありました。

久々に遭遇したトナラー、それも見事なトナラーだったのですが、この際私は、なぜトナラーが発生したかということに対して、「地方までトナラー情報が行き渡っていない」のではという仮説を立てていました。

というのも、岩手県の宮古駅前で遭遇したトナラーは「青森ナンバー」だったからです。

◆「なぜ隣に停めるのか」トナラー本人を直撃

岩手には3泊し、様々な場所に駐車しましたが、結局トナラーに遭遇したのは宮古駅前の青森ナンバーだけでした。ちなみに、宮古市含めた岩手県内で青森ナンバーのクルマは少なく、トナラー以外で青森ナンバーのクルマを見かけることはありませんでした。

ですから私は、青森にトナラーが多いのか、などと考えていたのですが、なんとそれから1ヶ月も経たないうちに、第二のトナラーに遭遇してしまったのです。

その際もまた、びっくりするぐらい周りがガラガラなのに、私の隣に停めてくるという“見事なトナラー”でした。

そして、最も興味深かったのが、そのトナラーに遭遇したのが東京近郊だったという点であります。

東京近郊の同じような環境の駐車場において、この4年間、そういったトナラーに遭遇するということはなかったため、「見事なトナラー」は主に地方に残っていると考えていたのですが、それが覆されたのです。

私が第二のトナラーに遭遇したのは、東京近郊のコストコ駐車場でありますが、出入り口からも遠く、誰もが止めていないエリアでした。

そこでも、私はトナラーに遭遇するとは思っていなかったのですが、買い物をして戻ってくると私の隣に1台のクルマが止まっており、「またか!」と思った次第であります。ちなみに、そのクルマは「足立ナンバー」でした。

さらに今回の場合、相手の運転席側が私のクルマに対して接していたため、ドアパンチの可能性があった状態でした。私は念入りにクルマの状態をチェックしたのですが、幸いにも傷はありませんでした。

さてクルマに乗り込んだ私でありますが、ちょうどお腹が減ってきたため、車内で「周辺のお店」を探し始めました。そうしているうちに、こっちに向かってくる人物が来るではありませんか。それがまさに、トナラー本人だったのです。

そこで私は、これはチャンス!と思い、意を決してトナラーにインタビューを試みたのです。

◆トナラーは50歳前後くらいの女性だった

そのトナラーは、助手席側のスペースに買い物かごを転がし、車内に荷物を詰め込みました。私はクルマから降り、「少しインタビューさせてください」と声を掛けます。

車内から見た様子では、40代ぐらいの男性だと思われ、メガネの奥の目つきが、少し危険そうな雰囲気もあったため、激昂される可能性も考えました。ただ、いざ話しかけてみたら、なんと女性でした。

◯トナラーの人柄
トナラーは、50歳前後ぐらいの女性。話しかけたら「すみません」「すみません」などといって、内容も聞かないままなぜか謝られました。こちらも、相手とのトラブルを避けるために、高圧的な態度ではなく笑顔で「すみません~」と声をかけたのですが、謝られた次第であります。

◯なぜトナラーをしたか
そして、早速「なぜ私のクルマの隣に止めたのか?」を聞いてみたところ、以下のようなやりとりをしました。

トナラー「カート置き場が近い」
私「カート置き場はそっちにもあっちにもある。ここでなくてもよいのでは?」
私「カート置き場はいっぱいあるから、せめて1つスペースを開けて止めてくれればお互い楽にドア開けられますよ?」
トナラー「いつもここに止めている」「何も考えていなかった」

といった具合です。

◆「トナラー」の認知を広めることが被害対策に

◯私のクルマは目立ったか?
その際、私はメルセデス・ベンツのR129に乗っていたのですが、このクルマはあまり街中で見かけないため、目に入りやすい可能性があります。
そのため、トナラーに「私のクルマは目立っていた?」という質問をしたところ、「特に意識していない」という回答でした。

◯トナラーという言葉は知っているか?
次に、“トナラー”という言葉を知っているか訪ねたところ、「知らない」という回答でした。
さらに、そこではトナラーが「私は、トナラーって言われるの嫌ですぅ~」という発言もしていました。

◯トナラーは嫌がられるという点については?
「クルマ好きは、自分の愛車が傷つくリスクを避けて、あえて誰も止めないような場所に駐車する努力をしている。だからその隣に止めたら、嫌がられる」という趣旨の説明をしたら、「その通りだと思います」という回答が返ってきました。
 
以上、トナラーにインタビューして感じたのは、トナラー行為をする人に対して、「トナラー」という言葉を認知させることが重要だということです。

「トナラー」という言葉は、この5年ぐらいの間に広まったといえますが、冒頭でも触れたように、近頃はトナラー行為をする人が減った印象がありました。そして今回、“見事なトナラー行為”を行ってきた方にインタビューをして分かったのは「トナラー」という言葉を全く認知していなかったという点です。

ですから、トナラーを減らすには、「トナラー」という言葉の認知度をもっと上げるというのが効果的だと思った次第であります。 

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

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