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27歳「おにぎり美人」がYouTube“470万回再生”の大バズり。“100キロ超えリヤカー”を引く美女が注目されるワケ

日刊SPA! 2025年1月23日 15時54分

 広島の街を彩る“リヤカーおにぎり屋”が話題になっている。昨年11月、YouTubeチャンネル『うどんそば 広島 岡山 Udonsoba』で公開された「27歳おにぎり美人が100キロ超え屋台を引くワンオペおむすび物語」という動画が話題を呼び、わずか2ヶ月あまりで474万回再生を記録した(1月23日現在)。
 こちらの動画に出演したのは、話題のおにぎり屋『that’s rice』を営む東果穂さん(27)。この動画をきっかけに、地元のニュース番組や新聞社など多くのメディアに取り上げられることになり、一気に地元で話題の人となった。

 そんな彼女に、その独自のビジネスモデルや“おにぎりリヤカー”にかける情熱などの話を伺うべく、現地で取材を行った。

◆福岡の「わらび餅屋」が人生を変えるきっかけに

 おにぎり屋を始める以前は営業職で働いていたという東さん。仕事について悩んでいたとき、母親からのアドバイスが1人でビジネスを始めるきっかけになったと話す。

「前職は営業として働いていたのですが、いろいろと上手くいかないことがあり、この仕事を続けるかどうか悩んでいました。母親からは、その会社で働く前から『自分1人で仕事をする方が向いてると思うよ』と言われていまして、ツラいときにその言葉を思い出し、1人で仕事をする道を探してみることにしたんです」

 両親からのアドバイスもあり、1人で立ち上げるビジネスを模索することに。そのときたまたまインスタグラムで見た、福岡でわらび餅のリヤカー販売をしている投稿が、彼女の人生を変えることになる。

「いろいろ探しているときに、福岡でわらび餅のリヤカー販売をしている人がいることを知りました。これなら1人でできるかも!と思い、リヤカー販売をやってみようと思ったんです。なので最初は私も、わらび餅のリヤカー販売ができないかを模索していました。でも広島は許可の関係的に難しいことがわかりまして……。移動販売が可能な他の食べ物でいろいろと考えた結果、手軽に食べられるおにぎり屋さんを始めることにしました」

◆100キロ以上のリヤカーは祖父の手作り

 おにぎりについて全くの素人だった東さんは、お米の炊き方、おにぎりの握り方、玉子焼きの調理など、一から勉強していった。なお、現在の東さんのトレードマークになっているリヤカーは、祖父による手作りのようだ。

「タイヤだけ発注して、それ以外はすべておじいちゃんの手作りです。おじいちゃんはこだわりが強い性格なので、リヤカーも細部にまでこだわり、しっかり作り込んでくれました。私としてはカートみたいのでよかったんですけど(笑)。もともとはわらび餅で考えていたこともあって、中の箱はびっしりと断熱材で囲んでいるので、夏場でも食中毒の心配はありません。そのこだわりもあって重くなってしまいましたが、立派なものに仕上がって、本当におじいちゃんに感謝ですね」

◆「1日3個しか売れなかった」立ち上げ当初の苦悩

 そして仕事を辞めて3ヶ月後、満を持してプレオープンに臨んだ。しかしオープン当初は思ったように売れず、絶望の日々だったという。

「2024年の3月23日にプレオープンしたのですが、初日にリヤカーが壊れてしまい、たったの3個しか売れず、引きずって帰ってきました。母親が心配して車で迎えに来てくれたのですが、その車内で『なんで3個しか売れないのにリヤカーやってるんだろう』と、虚しい想いが込み上げてきまして……。オープンしてからも10個前後しか売れない日々が続き、最初は迎えにきてくれる車の中で毎日泣いていましたね。『やっぱり広島でやるのは間違いだったのかな?』と思ったときもありましたが、母からは『とにかく続けることが大事』と言われていたので、『じゃあ明日だけ、明日だけは……』という想いでやっていました」

◆涙を流す日々を変えた“ある行動”

 結果が伴わず、ネガティブな考えに苛まれていた東さん。この状況を変えるべく“ある行動”に出る。

「オープンから3ヶ月経っても全然売れなくて、『私、毎日何をしてるんだろう』と思っていました。売り上げが少ないので、もちろん自由に使えるお金もなく、なんだか惨めになってきて……。

会社をやめるとき『おにぎり屋を始めるからやめる』と伝えたら、周りの人から否定的なことを言われることが多かったんですよね。ツラいとき、それも思い出しちゃって……。なので自分を変えるために、思い切って人間関係を変えてみようと思いました」

◆「人間関係で見る世界を変えよう」と思った結果

「その後、多くの飲食店のオーナーさんたちと出会ったのですが、このツラさに共感してくれたのか、とっても応援してくれました。そのとき私は『こういう人と仲良くしよう、人間関係で見る世界を変えよう』と思ったんです。そうしたら、どんどん人脈が広がっていって、今は周りに素敵な方しかいないと言い切れるほどになりました。私の周りにいるのは温かい言葉ばかりかけてくれる人たちにばかりになっていき、結果的に自分自身の性格も変わったと思います。おそらくそれまでは、こんなに笑顔ではなかったですね(笑)」

◆YouTube出演で一気にブレイク

 オープンから数ヶ月経っても売り上げ的に厳しい状況が続いていたが、人間関係を見つめ直した結果、「毎日明るく笑顔でいられるようになった」と話す東さん。そんななか、彼女の運命を大きく変える動画に出演することになる。

「YouTubeチャンネル『うどんそば 広島 岡山 Udonsoba』さんの動画に出演させていただくことになり、オープンから約7ヶ月後の11月に動画が公開されました。それまでも広島のテレビ番組や新聞に取り上げていただき、徐々に売り上げも伸びていましたが、この動画で一気に状況が変わったんです。インスタのフォロワーも900人くらいだったのが一気に10倍以上になり、移動販売しているときも「YouTube出とったよね!」と声をかけられたり、普通にカフェにいて声をかけられたこともありました。正直、目立ちたいと思っていたわけではないので、少し恥ずかしい気持ちもありますね。なんでリヤカーやってるんだって話ですけど(笑)。でも本当に売り上げも何も一気に変わったので驚いています」

 ひとつの動画出演により、広島で“話題の人”となった東さん。初日に3個しか売れなかったおにぎりも、現在は2時間あまりで約120個が完売するようになったようだ。

 また、自身の性格的にも大きな変化があったようで、「それまでは自信もなく、あんまり人気のない公園とかで売っていましたが、今では大きい通りでも入っていけるようになりました(笑)。逆に今から内気な自分に戻ってしまったらお客さんも困ると思うので、マイナスのイメージを与えないよう、毎日楽しく生きていきたいと思います」と笑顔で話した。

◆広島の新たな観光名物に

 最後に、今後の展望について伺うと、東さんは「広島の新たな魅力のひとつになりたいです」と熱く語ってくれた。

「広島のキャッチフレーズが“おしい!広島”なんですよ。広島って都会か田舎かわからなくて、魅力が伝わっていなくて“おしい”という自虐的なPRをしていたんですけど、広島の人としてなんか嫌だなって思ってて……(笑)。原爆ドームとか、それ以外の観光スポットになっている場所もたくさんあるので、おにぎりリヤカーも観光客の方がたくさん来てくれるような、観光名物のひとつになったらいいなと思っています。基本的には“出会えたら嬉しいリヤカー”でありたいと思うので、ぜひインスタの投稿を見ながら探してみてほしいです!」

 話しているだけでわかる優しい人柄、そして会話中にところどころ出る広島弁が、人の心を惹きつけている要因なのだろう。東さんの姿勢と情熱は、多くの人々の共感を呼び、広島の街に新たな活力をもたらしている。「おしい!広島」から脱却し、新たな広島の姿を描く東さんの挑戦は、まだ始まったばかりだ。

取材・文/セールス森田

【セールス森田】
Web編集者兼ライター。フリーライター・動画編集者を経て、現在は日刊SPA!編集・インタビュー記事の執筆を中心に活動中。全国各地の取材に出向くフットワークの軽さがセールスポイント

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