コンビニで長く働いてきた筆者。辞めていた時期もあるが、現在はライター業の傍ら、知り合いの店長に「人手不足」を理由に頼まれ、空いた時間だけ手伝う生活をしている。
今回はベテラン店員の筆者でも“どういうこと?”と困惑してしまった客の行動をいくつかあげていきたい。(※初公開2024年5月14日 記事は取材時の状況)
◆店内で30分ぐらい長話する高校生たち
夕方、ときどき客が誰も来ない静寂な時間が訪れる。それまで忙しかった場合、正直うれしくなる。心と体を休め、商品を補充して、揚げ物を準備する。
そんな時に高校生の男子2人組が入ってきて、アイス売り場の前で会話を始めた。
放課後の学校のような会話をしていて、万引きも警戒しないといけないし、あまり長い時間は迷惑だ。バックルームから店長の奥さんもやってきて「あの子たち、なにやってんのかしら?」とイライラしている。コンビニ内でそんなに話すことがあるだろうか?
そして30分ぐらい経過。ようやく彼らは会話を止め、そのまま帰るものと思っていたら、アイスとお菓子をそれぞれ持ってレジに来た。
とても愛想がよく、ご両親の教育が行き届いているな……と、最終的には感心させられてしまった。なんだか筆者は複雑な心境になった。
◆「ひとつだけやから」レジの行列に割り込んでくる関西弁おばちゃん
店内は混んでいた。レジの前に並んでいる5、6人の客のカゴには商品がたくさん入っていて、スタッフとしては頑張りどころだ。ところが、誰もが列にきちんと並んでレジを待っていてくれているのに、関西弁のおばちゃんが、いきなり堂々と割り込んできて 「あの〜、私、タバコひとつだけやから先にやらせてや」と言ってきたのだ。
ア然とする筆者だったが、もう一台のレジを使っている店長の奥さんが怒る。
「あの、それは出来ませんよ。みんな並んでいるので順番を守ってください!」とビシッと返すと、関西弁のおばちゃんは「もうええわ!」と言って出ていってしまったが、このように図々しい客はかなり珍しいと思う。
◆ゴミを捨てていく作業服のオジサン
筆者の働く店舗にはゴミ箱が設置されていない。もちろん、店で購入した商品のゴミは、言ってもらえれば捨てられる。
ただ、何も買わずにゴミだけ捨てにくる人が意外と多く、「ゴミ箱はどこですか?」と聞いてくる人はまれで、ゴミを片手に店内を少しウロついて、ゴミ箱がないとわかると帰っていく。
ある時、店長の奥さんの「何よ、これ! ありえない!」という大きな叫び声が聞こえた。
見に行くと、そこには汚い雑巾が床に捨ててあったのだ。防犯ビデオを観ると、作業服のオジサンが、店内に入ってゴミ箱がないのを確認した後、レジにいる筆者をチラチラ見ながら雑巾を置いていった……。ルールは守って欲しいものだ。
◆セルフレジで商品のお金を払えているのか不安で店に戻ってきた男
店にはセルフレジが1台だけあるが、商品の数をごまかされるし、万引きも多いので中止にしようかと検討中だ。ときおり、セルフレジをやっている客をチェックしないといけないので、スタッフもぜんぜん楽ではない。
ある暇な夜の時間帯、30歳ぐらいの大人しそうな男性が尋ねてきた。
「すいません、先ほどセルフレジで商品を4つ購入した者ですが……」
最初、なにを言いたいのかわからなかったが、詳細を聞いてみると、商品をセルフレジで購入後、家に着いてアイスを食べている時、“このアイスをスキャンするのを忘れているかもしれない”という不安が襲ってきたという。
商品の合計金額が安い気がするし、スキャンしていない気もする。レシートを取り忘れたので、店側で確認してもらえますか? とのこと。
レジの履歴を調べ、さらに防犯ビデオで確認したが全く問題なかった。
「急に不安になって、もし自分の間違いだったら店にご迷惑になると思いまして、お手数かけてすいません」と言ってきたのだが、非常に律儀な人で、このような出来事は初めてだった。正直、すこし感動してしまった。
◆「触るんじゃねえよ」ばい菌扱いしてくる男
近所に住んでいると思われる、時々買い物をするが、毎日2〜4回も本を立ち読みしている30代ぐらいの男がいた。
ある時、仕事終わりに最寄り駅に行くと、二重でマスクをしているその男がいた。彼は酔っ払い3人組が談笑している姿を見ると、顔を背けて不機嫌な表情で埃を払う仕草をした。また、立ち読み中も、隣にいる別の客がクシャミを数回すると、埃を払う仕草をしながら逃げるように店を出るような変な奴だった。
夜遅い時間帯、その男は漫画本を持ってレジに来た。お、珍しく買い物か! と思ったら、その本を手から離さない。バーコードをスキャンできないので、すこし本に触れてスキャンした。
すると、それに頭がきたのか小声で「触るんじゃねえよ……」とつぶやいたのだ。
コロナ禍を経て、やたらと神経質になっている客もいるが、基本的には最初に「触らなくていいです」と言ってくれ、バーコードをスキャンしやすいように向けてくれる。
こっちは普通に仕事をしているだけなのだから、この男のそんな言い方は許せない。お釣りを返す時も、トレーに指をさしてきた。釣銭に触りたくなかったらキャッシュレス決済にすればいいではないか。
さらに筆者の目の前で、購入したその漫画本をウェットティッシュで一生懸命ゴシゴシと拭くのだ。それも見て、筆者は心底やりきれない気持ちになった。
<文/浜カツトシ>
今回はベテラン店員の筆者でも“どういうこと?”と困惑してしまった客の行動をいくつかあげていきたい。(※初公開2024年5月14日 記事は取材時の状況)
◆店内で30分ぐらい長話する高校生たち
夕方、ときどき客が誰も来ない静寂な時間が訪れる。それまで忙しかった場合、正直うれしくなる。心と体を休め、商品を補充して、揚げ物を準備する。
そんな時に高校生の男子2人組が入ってきて、アイス売り場の前で会話を始めた。
放課後の学校のような会話をしていて、万引きも警戒しないといけないし、あまり長い時間は迷惑だ。バックルームから店長の奥さんもやってきて「あの子たち、なにやってんのかしら?」とイライラしている。コンビニ内でそんなに話すことがあるだろうか?
そして30分ぐらい経過。ようやく彼らは会話を止め、そのまま帰るものと思っていたら、アイスとお菓子をそれぞれ持ってレジに来た。
とても愛想がよく、ご両親の教育が行き届いているな……と、最終的には感心させられてしまった。なんだか筆者は複雑な心境になった。
◆「ひとつだけやから」レジの行列に割り込んでくる関西弁おばちゃん
店内は混んでいた。レジの前に並んでいる5、6人の客のカゴには商品がたくさん入っていて、スタッフとしては頑張りどころだ。ところが、誰もが列にきちんと並んでレジを待っていてくれているのに、関西弁のおばちゃんが、いきなり堂々と割り込んできて 「あの〜、私、タバコひとつだけやから先にやらせてや」と言ってきたのだ。
ア然とする筆者だったが、もう一台のレジを使っている店長の奥さんが怒る。
「あの、それは出来ませんよ。みんな並んでいるので順番を守ってください!」とビシッと返すと、関西弁のおばちゃんは「もうええわ!」と言って出ていってしまったが、このように図々しい客はかなり珍しいと思う。
◆ゴミを捨てていく作業服のオジサン
筆者の働く店舗にはゴミ箱が設置されていない。もちろん、店で購入した商品のゴミは、言ってもらえれば捨てられる。
ただ、何も買わずにゴミだけ捨てにくる人が意外と多く、「ゴミ箱はどこですか?」と聞いてくる人はまれで、ゴミを片手に店内を少しウロついて、ゴミ箱がないとわかると帰っていく。
ある時、店長の奥さんの「何よ、これ! ありえない!」という大きな叫び声が聞こえた。
見に行くと、そこには汚い雑巾が床に捨ててあったのだ。防犯ビデオを観ると、作業服のオジサンが、店内に入ってゴミ箱がないのを確認した後、レジにいる筆者をチラチラ見ながら雑巾を置いていった……。ルールは守って欲しいものだ。
◆セルフレジで商品のお金を払えているのか不安で店に戻ってきた男
店にはセルフレジが1台だけあるが、商品の数をごまかされるし、万引きも多いので中止にしようかと検討中だ。ときおり、セルフレジをやっている客をチェックしないといけないので、スタッフもぜんぜん楽ではない。
ある暇な夜の時間帯、30歳ぐらいの大人しそうな男性が尋ねてきた。
「すいません、先ほどセルフレジで商品を4つ購入した者ですが……」
最初、なにを言いたいのかわからなかったが、詳細を聞いてみると、商品をセルフレジで購入後、家に着いてアイスを食べている時、“このアイスをスキャンするのを忘れているかもしれない”という不安が襲ってきたという。
商品の合計金額が安い気がするし、スキャンしていない気もする。レシートを取り忘れたので、店側で確認してもらえますか? とのこと。
レジの履歴を調べ、さらに防犯ビデオで確認したが全く問題なかった。
「急に不安になって、もし自分の間違いだったら店にご迷惑になると思いまして、お手数かけてすいません」と言ってきたのだが、非常に律儀な人で、このような出来事は初めてだった。正直、すこし感動してしまった。
◆「触るんじゃねえよ」ばい菌扱いしてくる男
近所に住んでいると思われる、時々買い物をするが、毎日2〜4回も本を立ち読みしている30代ぐらいの男がいた。
ある時、仕事終わりに最寄り駅に行くと、二重でマスクをしているその男がいた。彼は酔っ払い3人組が談笑している姿を見ると、顔を背けて不機嫌な表情で埃を払う仕草をした。また、立ち読み中も、隣にいる別の客がクシャミを数回すると、埃を払う仕草をしながら逃げるように店を出るような変な奴だった。
夜遅い時間帯、その男は漫画本を持ってレジに来た。お、珍しく買い物か! と思ったら、その本を手から離さない。バーコードをスキャンできないので、すこし本に触れてスキャンした。
すると、それに頭がきたのか小声で「触るんじゃねえよ……」とつぶやいたのだ。
コロナ禍を経て、やたらと神経質になっている客もいるが、基本的には最初に「触らなくていいです」と言ってくれ、バーコードをスキャンしやすいように向けてくれる。
こっちは普通に仕事をしているだけなのだから、この男のそんな言い方は許せない。お釣りを返す時も、トレーに指をさしてきた。釣銭に触りたくなかったらキャッシュレス決済にすればいいではないか。
さらに筆者の目の前で、購入したその漫画本をウェットティッシュで一生懸命ゴシゴシと拭くのだ。それも見て、筆者は心底やりきれない気持ちになった。
<文/浜カツトシ>