彼女ができたら、親しい友人や身内に紹介することは珍しいことではありません。「自慢の恋人」であればなおのこと。しかし、深く考えずに紹介した相手から、“恐ろしい裏切り”を受けることもあるようです。
◆自然と芽生えた恋愛感情
取材に応じてくれたのは、看護師の片山さん(仮名・28歳)です。海外旅行が好きで、渡航先でもっとコミュニケーションが取りたいという理由で、仕事帰りの時間を使い英会話教室に通い始めたそうです。
「英会話教室に通い始めて1年がたちました。最初の頃に比べたら少しはヒアリング能力が上がったように感じますが、スピーキングというか発音が全然上達しなくて……。でも、半年前から教室に通い始めたM子さんと出会えたから、通った甲斐がありましたよ!」
嬉しそうに、そう話してくれた片山さん。M子さんとは、なぜかいつもクラスが一緒になり、帰りにファストフードでお茶をしたことがきっかけでお付き合いすることになったそうです。
◆弁護士目指して浪人中の弟
そんな片山さんには、1つ年下の弟がいます。彼は、大学の法学部を卒業し、現在、司法試験にチャレンジするために勉強中とのこと。弟とは幼い頃から仲が良かったという片山さん。
「僕とは正反対で、弟は親戚中でも期待の星でした。某有名私立大学の法学部を卒業し、弁護士を目指して頑張っているんです。残念ながら1度目の司法試験には叶わなかったのですが、来年はきっと合格すると思います」
最近、片山さんの勤務先近くにあるワーキングスペースを利用して勉強に励んでいる弟と一緒に帰宅することが多く、弟の車に便乗させてもらう代わりに、いつも片山さんがお茶を奢るスタイルが定着しているのだとか。
「弟は、家庭教師のアルバイトでためたお金で最近車を手に入れたそうなんです。そのせいか金欠なようで、私を迎えに来た時に味わえるスタバが勉強の息抜きになっているそうです。
先日、初めてM子さんを弟に紹介したんです。実は、M子さんも法学部出身で、二人の会話は、私にはわからない専門用語が飛び交っていました。その後帰宅した時に、『キレイな人だね、M子さん』と、普段あまり人を褒めない弟がポツリと言っていたのを覚えています」
◆彼女の誕生日に2人で行ったホテル
M子さんが誕生日だというので、少し前からプレゼントを準備し、当日は駅前にオープンした懐石料理店を予約した片山さん。
「記念すべき第一回目の誕生日なので、かなり奮発しました。プレゼントは青山のセレクトショップで見つけたレザーのペンケースにしました。懐石料理は、都内の某一流ホテルのシェフが独立して開いたお店だけあって、M子さんと一緒に目を丸くしながら堪能していました」
懐石料理店で日本酒が進み、かなりお酒が入った状態で店を出た2人。その後、お店の裏通りにある繁華街を通ったとき、普段は控えめなM子さんが片山さんの手を強引に引いて入口に向かったといいます。
◆彼女がつぶやいた何気ない言葉
本当は自分からホテルに誘いたかった片山さんは、M子さんの積極的な行動に驚きながらも、内心はかなり嬉しかったそうです。ただ、そのすぐ後の出来事が全てを台無しにします。
「そのホテルは数カ月前にリニューアルしたらしく、おしゃれなブティックといった感じでした。いつまでも手を引かれて歩くのも情けなかったので、今度は私がM子さんの手を引き、少し先に見えるエントランスらしき場所まで歩きました。
すると『そっち開かないの、こっち』というM子さんの声が小さく聞こえ、軽く私の手を引き、ようやく建物に入ることができました」
朝を迎え目が覚めた片山さんは、なぜM子さんが開かないドアのことを知っていたのか、時間がたつにつれ疑問に思えてきたそうです。
◆問い詰めた結果とんでもない答えが
M子さんの不可解な言葉が頭から離れず、早朝にもかかわらず我慢できなくなった片山さんは「ねぇ、なんであのドアが開かないこと知っていたの?」と問いただしてしまいました。
「最初は『私そんなこと言ったっけ?』と白を通していたM子さんですが、私が執拗に何度も問い正すと、信じられない言葉が返ってきました」
「ごめん、1週間前に弟さんと来てたの、このホテル。だって、弟さんが何度もしつこくLINEしてくるから。あの日も『お茶だけなら』と言って会ったんだけど、強引に手を引かれて……」
とんでもない事実を知ってしまった片山さんは、しばらく天井を見つめながら何も言葉が出なかったそうです。2人は結局そのままチェックアウト。
その後、M子さんとは会うことなく、弟にも文句を言う気力もなく、系列の医療機関に転籍希望を出し、実家を出て1人住まいを始めることにしたそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営
◆自然と芽生えた恋愛感情
取材に応じてくれたのは、看護師の片山さん(仮名・28歳)です。海外旅行が好きで、渡航先でもっとコミュニケーションが取りたいという理由で、仕事帰りの時間を使い英会話教室に通い始めたそうです。
「英会話教室に通い始めて1年がたちました。最初の頃に比べたら少しはヒアリング能力が上がったように感じますが、スピーキングというか発音が全然上達しなくて……。でも、半年前から教室に通い始めたM子さんと出会えたから、通った甲斐がありましたよ!」
嬉しそうに、そう話してくれた片山さん。M子さんとは、なぜかいつもクラスが一緒になり、帰りにファストフードでお茶をしたことがきっかけでお付き合いすることになったそうです。
◆弁護士目指して浪人中の弟
そんな片山さんには、1つ年下の弟がいます。彼は、大学の法学部を卒業し、現在、司法試験にチャレンジするために勉強中とのこと。弟とは幼い頃から仲が良かったという片山さん。
「僕とは正反対で、弟は親戚中でも期待の星でした。某有名私立大学の法学部を卒業し、弁護士を目指して頑張っているんです。残念ながら1度目の司法試験には叶わなかったのですが、来年はきっと合格すると思います」
最近、片山さんの勤務先近くにあるワーキングスペースを利用して勉強に励んでいる弟と一緒に帰宅することが多く、弟の車に便乗させてもらう代わりに、いつも片山さんがお茶を奢るスタイルが定着しているのだとか。
「弟は、家庭教師のアルバイトでためたお金で最近車を手に入れたそうなんです。そのせいか金欠なようで、私を迎えに来た時に味わえるスタバが勉強の息抜きになっているそうです。
先日、初めてM子さんを弟に紹介したんです。実は、M子さんも法学部出身で、二人の会話は、私にはわからない専門用語が飛び交っていました。その後帰宅した時に、『キレイな人だね、M子さん』と、普段あまり人を褒めない弟がポツリと言っていたのを覚えています」
◆彼女の誕生日に2人で行ったホテル
M子さんが誕生日だというので、少し前からプレゼントを準備し、当日は駅前にオープンした懐石料理店を予約した片山さん。
「記念すべき第一回目の誕生日なので、かなり奮発しました。プレゼントは青山のセレクトショップで見つけたレザーのペンケースにしました。懐石料理は、都内の某一流ホテルのシェフが独立して開いたお店だけあって、M子さんと一緒に目を丸くしながら堪能していました」
懐石料理店で日本酒が進み、かなりお酒が入った状態で店を出た2人。その後、お店の裏通りにある繁華街を通ったとき、普段は控えめなM子さんが片山さんの手を強引に引いて入口に向かったといいます。
◆彼女がつぶやいた何気ない言葉
本当は自分からホテルに誘いたかった片山さんは、M子さんの積極的な行動に驚きながらも、内心はかなり嬉しかったそうです。ただ、そのすぐ後の出来事が全てを台無しにします。
「そのホテルは数カ月前にリニューアルしたらしく、おしゃれなブティックといった感じでした。いつまでも手を引かれて歩くのも情けなかったので、今度は私がM子さんの手を引き、少し先に見えるエントランスらしき場所まで歩きました。
すると『そっち開かないの、こっち』というM子さんの声が小さく聞こえ、軽く私の手を引き、ようやく建物に入ることができました」
朝を迎え目が覚めた片山さんは、なぜM子さんが開かないドアのことを知っていたのか、時間がたつにつれ疑問に思えてきたそうです。
◆問い詰めた結果とんでもない答えが
M子さんの不可解な言葉が頭から離れず、早朝にもかかわらず我慢できなくなった片山さんは「ねぇ、なんであのドアが開かないこと知っていたの?」と問いただしてしまいました。
「最初は『私そんなこと言ったっけ?』と白を通していたM子さんですが、私が執拗に何度も問い正すと、信じられない言葉が返ってきました」
「ごめん、1週間前に弟さんと来てたの、このホテル。だって、弟さんが何度もしつこくLINEしてくるから。あの日も『お茶だけなら』と言って会ったんだけど、強引に手を引かれて……」
とんでもない事実を知ってしまった片山さんは、しばらく天井を見つめながら何も言葉が出なかったそうです。2人は結局そのままチェックアウト。
その後、M子さんとは会うことなく、弟にも文句を言う気力もなく、系列の医療機関に転籍希望を出し、実家を出て1人住まいを始めることにしたそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営