―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
さまざまなメディアで「勝つための投資法」が紹介されていますが、「投資は勝たなくていい」と言い切るのは、資産10億円、年間の家賃収入4000万円の個人投資家・村野博基氏。必勝法や投資すべき利回りの条件などよりも気にすべきポイントがあると言います。資産を築くために、絶対に押さえておきたい投資の金科玉条を村野氏が伝えます。
◆投資は勝たなくていい、絶対に負けない“無敵”を目指そう
よく巷ではさまざまな投資方法が紹介されています。「儲かる株式投資のトレード術」や「最速で資産1億円を作る勝ちの法則」など列挙すれば暇がありません。私自身も20代の頃から株式投資や為替の投資も行ってきました。でも、今では多少取引こそしますが、メインの投資ではありません。
それは「ある法則」に気がついたからです。
それは「投資は勝たなくていい。絶対に負けない『無敵』を目指そう」ということ。これは私自身の投資行動において最も重要な考え方の一つに置いています。
株式投資やFXなど為替への投資の場合、常に市場の値動きがあり「いつ買ったか?」「いつ売却したか?」によって、勝って儲けられる日もあれば、負けて損をする日もあります。百戦錬磨の億超え個人投資家であっても、「一度も損切りをしたことがない」という人はいないはずです。それくらい投資はシビアです。FXの投資家の間には「9割の人が負ける」と言われて居たり、「9勝1敗でも損をする」とも言われていたりします。コツコツと利益を貯めていても1回のトレードで大損してしまえば、トータルの利益はマイナスになってしまうリスクがあるわけです。
一方で「株式投資」や「FX」の場合、勝って勝って勝ちまくる投資家もいたりしますが……「100%勝てる」という「最強の投資方法」は存在しません。もちろん、短期的であったり条件の通りに行えば勝てる方法はあるのでしょうが、その方法が長続きするかは疑問符が尽きます。少なくとも私は「最強」の投資家には成れないと思っています。
◆売買で利益を上げる=誰かと戦って勝った結果
こんな話は聞いたことないでしょうか?「10%の値上がりをした後、10%値下がりした場合、手元に残るのは何%か?」
正解は99%で、元本である100%を下回ってしまいます。つまり上下幅が同じ割合で同じ確率の場合、トータルすると負ける確率が高くなってしまうのです。
そこで、私が目指したのは「絶対に負けない、つまり『無敵』の投資家になろう!!」ということ。そのためにはできる限り「戦わない」ことが大事です。戦わず、同じ土俵に上がりません。とはいえ、ちゃんと投資の行動に移さないと資産はちっとも増えませんから、単に手を出さないというわけではありません。
売買とはゼロサムゲームで、誰かが利益を得れば誰かが損する形になります。その損する「質」が違うので商売は成り立つのですが、「高く」売れて儲かったということは、誰かがそれを「高く」買ったということを忘れずにいて欲しいのです。
儲かるのは買う誰かがいたから、つまり誰かと戦った結果が利益であったり損失であったりするのです。ですから私は極力売買は避けて利益を追求することにしました。
◆無敵の投資家になるツールとしての「不動産投資」
負けない投資家を考えたとき、私がたどり着いたのは「不動産投資」でした。といっても買って、「値上がりして売却して儲かるキャピタルゲイン狙い」ではなく、安定的な家賃収入を得ながらインカムゲインを得る不動産投資です。
ですから、私の不動産投資をする際の要件は「しっかりと家賃収入が得られる」こと。そのためには中古マンションのワンルームで場所は東京23区内で狙います。少子高齢化社会の日本でも、東京であれば今年2025年まで人口が増加すると予測されています。そして皆さん想像してみてください。人が減っていくとどうなるでしょうか? インフラが維持できなくなった集落は廃棄され、住んでいた人々はインフラが整備された所に移動していくのではないでしょうか? 集約が進むと日本のなかで最後まで人が多い場所はどこか。おそらく「東京になるのではないか」と私は考えています。
そして、「しっかりと家賃を得る」ためには、通勤通学できる環境が良いこと。23区内の駅からほど近い物件であることを目安にしています。そしてもっとも重要だと言われている利回りは……。実はそれほど気にしていません。よく不動産投資家は「利回り何%以上じゃないと投資しない」というお話をされますが、正直な話ナンセンスだと考えています。
◆「不動産投資」で利回りよりも大事なもの
理由は2つあります。まず、「値段を聞いて高いか安いか」は、人やシチュエーションによって変わるからです。
例えば、「ラーメン一杯2000円は安いと思いますか?」と聞かれたらどうでしょうか。感覚的には「高い」と答える方が多いのではないでしょうか。でも、同じ店でうどんが一杯3000円だったら? 富士山の頂上で凄くお腹が空いていたら? あなたの毎月の収入が1億円だったら? など、人の置かれた条件や求めるもので、値段は安くも高くも感じるものなのです。
誰かに提示された基準を持つことは、投資においては失敗につながります。自分自身で「どれぐらいの利回りがいいか」という基準を持つべきで、その基準自体も状況によって変わっていってよいのだと思っています。
もう一つ、そこまで利回りを気にしないのは、私は「利回り」よりも「キャッシュフロー」を重視するからです。100万円での利回り20%は20万円ですが、1000万円での利回り5%ならば、50万円です。そもそも我々は利回りの高さが欲しかったのでしょうか? そうではなく、お金を増やしたかったのではないでしょうか。利回りばかりに気を取られ、本来欲しかった「手元に残る額」を見失う方が多いように感じています。投資は「元本×利回り」でリターンが計算できます。利回りの高さは、リスクの高さを表します。もちろん、利回りが低いからといって必ずしもリスクが低いわけではありませんが、高い利回りの場合、確実にリスクも高いのです。
「負けない投資家」になるためには、いかに元本を多く投下するかを第一に考えるべきです。でなければ、結果的にリスクを取ることになり、勝ち負けが生じる投資の「勝負」に巻き込まれてしまいます。
利回りの高さを求めるのではなく、いかに手元に入ってくるお金を増やすか、いかに資産を増やすか、を忘れずに投資に取り組んでいただきたいと思います。
私自身は不動産投資の分野で資産総額や総家賃収入で誰かに勝つことは到底考えていません。密かに目標にしているのは、東京23区内のすべての区で物件を持つこと。あいにく、まだ条件が折り合ってなくて23区制覇はまだ出来ていませんが……。この目標であれば誰かに勝つ投資ではなく、誰とも戦わずに負けない投資になるのです。
構成/上野 智(まてい社)
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵”不動産投資法』(アーク出版)
―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―
さまざまなメディアで「勝つための投資法」が紹介されていますが、「投資は勝たなくていい」と言い切るのは、資産10億円、年間の家賃収入4000万円の個人投資家・村野博基氏。必勝法や投資すべき利回りの条件などよりも気にすべきポイントがあると言います。資産を築くために、絶対に押さえておきたい投資の金科玉条を村野氏が伝えます。
◆投資は勝たなくていい、絶対に負けない“無敵”を目指そう
よく巷ではさまざまな投資方法が紹介されています。「儲かる株式投資のトレード術」や「最速で資産1億円を作る勝ちの法則」など列挙すれば暇がありません。私自身も20代の頃から株式投資や為替の投資も行ってきました。でも、今では多少取引こそしますが、メインの投資ではありません。
それは「ある法則」に気がついたからです。
それは「投資は勝たなくていい。絶対に負けない『無敵』を目指そう」ということ。これは私自身の投資行動において最も重要な考え方の一つに置いています。
株式投資やFXなど為替への投資の場合、常に市場の値動きがあり「いつ買ったか?」「いつ売却したか?」によって、勝って儲けられる日もあれば、負けて損をする日もあります。百戦錬磨の億超え個人投資家であっても、「一度も損切りをしたことがない」という人はいないはずです。それくらい投資はシビアです。FXの投資家の間には「9割の人が負ける」と言われて居たり、「9勝1敗でも損をする」とも言われていたりします。コツコツと利益を貯めていても1回のトレードで大損してしまえば、トータルの利益はマイナスになってしまうリスクがあるわけです。
一方で「株式投資」や「FX」の場合、勝って勝って勝ちまくる投資家もいたりしますが……「100%勝てる」という「最強の投資方法」は存在しません。もちろん、短期的であったり条件の通りに行えば勝てる方法はあるのでしょうが、その方法が長続きするかは疑問符が尽きます。少なくとも私は「最強」の投資家には成れないと思っています。
◆売買で利益を上げる=誰かと戦って勝った結果
こんな話は聞いたことないでしょうか?「10%の値上がりをした後、10%値下がりした場合、手元に残るのは何%か?」
正解は99%で、元本である100%を下回ってしまいます。つまり上下幅が同じ割合で同じ確率の場合、トータルすると負ける確率が高くなってしまうのです。
そこで、私が目指したのは「絶対に負けない、つまり『無敵』の投資家になろう!!」ということ。そのためにはできる限り「戦わない」ことが大事です。戦わず、同じ土俵に上がりません。とはいえ、ちゃんと投資の行動に移さないと資産はちっとも増えませんから、単に手を出さないというわけではありません。
売買とはゼロサムゲームで、誰かが利益を得れば誰かが損する形になります。その損する「質」が違うので商売は成り立つのですが、「高く」売れて儲かったということは、誰かがそれを「高く」買ったということを忘れずにいて欲しいのです。
儲かるのは買う誰かがいたから、つまり誰かと戦った結果が利益であったり損失であったりするのです。ですから私は極力売買は避けて利益を追求することにしました。
◆無敵の投資家になるツールとしての「不動産投資」
負けない投資家を考えたとき、私がたどり着いたのは「不動産投資」でした。といっても買って、「値上がりして売却して儲かるキャピタルゲイン狙い」ではなく、安定的な家賃収入を得ながらインカムゲインを得る不動産投資です。
ですから、私の不動産投資をする際の要件は「しっかりと家賃収入が得られる」こと。そのためには中古マンションのワンルームで場所は東京23区内で狙います。少子高齢化社会の日本でも、東京であれば今年2025年まで人口が増加すると予測されています。そして皆さん想像してみてください。人が減っていくとどうなるでしょうか? インフラが維持できなくなった集落は廃棄され、住んでいた人々はインフラが整備された所に移動していくのではないでしょうか? 集約が進むと日本のなかで最後まで人が多い場所はどこか。おそらく「東京になるのではないか」と私は考えています。
そして、「しっかりと家賃を得る」ためには、通勤通学できる環境が良いこと。23区内の駅からほど近い物件であることを目安にしています。そしてもっとも重要だと言われている利回りは……。実はそれほど気にしていません。よく不動産投資家は「利回り何%以上じゃないと投資しない」というお話をされますが、正直な話ナンセンスだと考えています。
◆「不動産投資」で利回りよりも大事なもの
理由は2つあります。まず、「値段を聞いて高いか安いか」は、人やシチュエーションによって変わるからです。
例えば、「ラーメン一杯2000円は安いと思いますか?」と聞かれたらどうでしょうか。感覚的には「高い」と答える方が多いのではないでしょうか。でも、同じ店でうどんが一杯3000円だったら? 富士山の頂上で凄くお腹が空いていたら? あなたの毎月の収入が1億円だったら? など、人の置かれた条件や求めるもので、値段は安くも高くも感じるものなのです。
誰かに提示された基準を持つことは、投資においては失敗につながります。自分自身で「どれぐらいの利回りがいいか」という基準を持つべきで、その基準自体も状況によって変わっていってよいのだと思っています。
もう一つ、そこまで利回りを気にしないのは、私は「利回り」よりも「キャッシュフロー」を重視するからです。100万円での利回り20%は20万円ですが、1000万円での利回り5%ならば、50万円です。そもそも我々は利回りの高さが欲しかったのでしょうか? そうではなく、お金を増やしたかったのではないでしょうか。利回りばかりに気を取られ、本来欲しかった「手元に残る額」を見失う方が多いように感じています。投資は「元本×利回り」でリターンが計算できます。利回りの高さは、リスクの高さを表します。もちろん、利回りが低いからといって必ずしもリスクが低いわけではありませんが、高い利回りの場合、確実にリスクも高いのです。
「負けない投資家」になるためには、いかに元本を多く投下するかを第一に考えるべきです。でなければ、結果的にリスクを取ることになり、勝ち負けが生じる投資の「勝負」に巻き込まれてしまいます。
利回りの高さを求めるのではなく、いかに手元に入ってくるお金を増やすか、いかに資産を増やすか、を忘れずに投資に取り組んでいただきたいと思います。
私自身は不動産投資の分野で資産総額や総家賃収入で誰かに勝つことは到底考えていません。密かに目標にしているのは、東京23区内のすべての区で物件を持つこと。あいにく、まだ条件が折り合ってなくて23区制覇はまだ出来ていませんが……。この目標であれば誰かに勝つ投資ではなく、誰とも戦わずに負けない投資になるのです。
構成/上野 智(まてい社)
【村野博基】
1976年生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、大手通信会社に勤務。社会人になると同時期に投資に目覚め、外国債・新規上場株式など金融投資を始める。その投資の担保として不動産に着目し、やがて不動産が投資商品として有効であることに気づき、以後、積極的に不動産投資を始める。東京23区のワンルーム中古市場で不動産投資を展開し、2019年に20年間勤めた会社をアーリーリタイア。現在、自身の所有する会社を経営しつつ、東京23区のうち16区に計38戸の物件を所有。さらにマンション管理組合事業など不動産投資に関連して多方面で活躍する。著書に『43歳で「FIRE」を実現したボクの“無敵”不動産投資法』(アーク出版)
―[FIRE投資家が教える「お金・投資」の本質]―