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「小学生の時は友達もほとんどいなかった」芳根京子27歳の“人生を変えた”転機。「土曜日に先生から電話がかかってきて」

日刊SPA! 2025年2月5日 8時51分

映画『雪の花 ―ともに在りて―』が公開中の芳根京子さん(27歳)。江戸時代末期に大流行した天然痘と闘った実在の医師の姿を描いた作品で、松坂桃李さん演じる主人公・笠原良策の妻・千穂を演じています。
凛と強い妻を演じ切った芳根さんは、本作で和太鼓と殺陣に初挑戦。芳根さんと「挑戦」にまつわるお話を、子ども時代も含めて聞きました。また、昨年初めて挑戦したというサーフィンのエピソードも。

◆和太鼓と殺陣に初挑戦

――小泉堯史監督によるフィルム撮影が本当に美しい作品で、実話であることにも驚きました。笠原夫婦の絆や、妻・千穂の魅力も端々から伝わりましたが、今回、芳根さんは和太鼓と殺陣に初挑戦でした。音楽はお得意なイメージがありますが。

芳根京子(以下、芳根):今までいろんな楽器をやらせていただきましたが、和太鼓は初めてで、最初は叩き方はもちろんバチの持ち方も分かりませんでした。初日はよく分からないまま終わってしまいました。

――練習期間はどれくらい取られたのですか?

芳根:クランクインの前から3カ月くらい。週1~2回通いましたが、不慣れなので、結構体にダメージが来るんです。はじめの頃は手に豆もできましたし、テーピングをグルグル巻いて練習しました。

――挑戦へのプレッシャーは。

芳根:心に余裕がない中で、発表の日だけが決まっている状態ですからね。大人になってから、ゼロから物事を吸収することって減りますし、すごく緊張しました。「もう間に合わないです」とか思ってました(笑)。

正直、最初はメソメソしながらやってたんですけど、そんなことも言ってられませんし、先生も盛り上げるのがお上手で、「今のかっこいいよ」とか、誉めて伸ばしてくださって、本当にありがたかったです。

◆「私はできる!」と自己暗示をかけていた

――上達していく実感はありましたか?

芳根:途中から急にいい音が鳴るようになりました。急になにかが舞い降りたというか。そこからは早かったです。たぶん自分でも叩き方が分かったのと、それで楽しいと思えるようになったのが大きいと思います。

先生もうまくやれると自分のことのように喜んでくださるので、嬉しくて、周りの人もニコニコして迎えてくれる。その喜びで「もっと頑張ろう」と毎日お家でも叩いてました。

――家ではどうやって?

芳根:太鼓の反発力と似ているクッションを先生がくださったんです。それとマイバチといただいたので、それを使って家で毎日練習して、ホテルに入ってからは枕を毎日叩いてました。

――実際のシーンでは、大勢を前にした演奏でした。また勝手が違ったのでは。

芳根:チームのみなさんと一緒に3カ月練習してきたので、心強さが強かったです。

お祭りのシーンで、みなさん楽しく見ている設定だったので、みなさんがいてくれることで、みなさんの笑顔を見て、松坂さんの、良策さんの笑顔を見て、より一層純粋に楽しんでもらえたらいいなとの思いで叩けました。すごく楽しかったです。

――本作では殺陣の場面もありました。挑戦続きでしたね。

芳根:周りの方に支えてもらった半年間でした。2023年の下半期は、和太鼓のことで頭がいっぱいで、加えて殺陣もやる必要があったので、すごく緊張しました。

でも殺陣本番の日も小泉監督が「芳根京子はこんなもんじゃない。できる!」と鼓舞してくださったので「私はできる!」と自己暗示じゃないですけど、そう臨みました。

◆子どもの頃はすごく引っ込み思案で人見知りだった

――和太鼓では先生に誉めて伸ばしてもらい、殺陣も監督から鼓舞してもらったとのことですが、子ども時代に誉められたことで自分が変わった「成功体験」のような出来事はありますか?

芳根:私、もともとすごく引っ込み思案で人見知りだったんです。小学生のときなんて、友達もほとんどいませんでした。

ただ吹奏楽はやっていて。昔からピアノをやっていたのですが、それも祖母から「ピアノの他にもほうひとつ楽器ができたほうがかっこいいよ」と言われて、基本がネガティブ思考だったので「朝練とかは苦手なんだけど・・・」と思いながらのスタートでした(笑)。

それでも4年生から3年間フルートを続けるうちに、楽器って楽しいなと思うようになりました。

――中学でも吹奏楽部だったんですよね。

芳根:はい。中学に入ったとき、吹奏楽部にちょうどフルートがいなくて、「即戦力を見つけた」みたいな状態で。

ほかの1年生はまだ仮入部だったタイミングで、土曜日の休日に顧問の先生から電話がかかってきて、「今日何してますか? 今から練習に来られますか?」と言われて、「行きます」と行ったんです。

行ってみたら2~3年生だけで、「コスチュームです」って言われてそのまま演奏会でフルートを吹きました。

――急ですね(苦笑)。

芳根:「すごいね」と誉められて、そこから人とコミュニケーションを取るのも楽しいかもと思えるようになって、私の人生が変わったんです。

◆「自分なんか」から明るい自分へ

――演奏が上手くいったことの成功体験もそうですが、それ以上に、人とコミュニケーションを取れたことが大きな変化だったと。

芳根:音楽をやっていたことでフルートを経験して、フルートを経験していたことでたまたま部活で足りなかったところにポンと入れてもらえて、先輩や先生たちからすごく誉めてもらえた。

それがすごい自信になって「自分でもやれることがあるんだ」と、もっと人と話してコミュニケーションを取りたいと思えるようになったんです。それまでは「自分なんか」とどんどん後ろにいくタイプの人間だったのが、そこからすごく明るくなりました。

――現在の芳根さんを作った大きな転換期ですね。

芳根:自分がやってきたことが認められた喜びと、波長の合う友達と巡り合えたこと。中学での出会いが、私のなかでの大きな分岐点だったなと思います。

◆自分に対してめちゃくちゃ負けず嫌い

――では過去に一度失敗して苦手だと思ったけれど、その後克服したことはありますか?

芳根:基本的に、向いていないとはっきり分かるところまでとことんやるタイプなんです。失敗してそこから再挑戦となったものってあったかな?

自分に対してめちゃくちゃ負けず嫌いですし、この仕事をしていると「できないから、じゃあいいね」とはならなくて、できるところまで追及します。だからそもそも一度諦めるということが、最近だといつだったかパッと浮かびません。

――それはすごい! でもたしかに、今回の『雪の花』での和太鼓、殺陣の初挑戦にしても、はじめはプレッシャーを感じたとのことですが、無責任な外野としては「芳根さんなら大丈夫、できるだろう」と思ってしまうところがあります。そうした外野の期待に関してはどう感じますか?

芳根:絶対に裏切りたくないです。なんならその期待を超えたい。その集中力は自分自身、持っていてよかったなと思いますし、集中力でどうにかなる!と思いながら生きています。

――殺陣のお話の際にも出た「自分ならできる」と。

芳根:自分が自分を見捨てたら終わりだと思っています。そこはもうマインドです。

◆初めての長期休暇で触れたサーフィン。「新しい趣味を見つけたかも」

――主演ドラマも放送中と相変わらずお忙しいですが、最後に、今年プライベートで挑戦したいことを教えてください。

芳根:去年、初めて長期でお休みをもらって、自分で計画を立てて旅行に行ったり、とても新鮮な1カ月間を過ごしました。そのときに、いろんなものに触れることってすごく大切だなと実感しました。今後もお仕事を頑張っていくためにも、いいプライベートの過ごし方をしたいなと思っています。

――その1カ月間で新しく始めたことなどはありますか?

芳根:サーフィンを始めました。まだ1度やっただけですが、今年はもうちょっとやりたいなと。

――運動はお得意?

芳根:球技は苦手なのですが、走るのとかは割と得意でした。サーフィンもちょっとしたきっかけがあって「ちょっとやってみよう」とやってみたら、早々に立てたんです。

――おお、すごい!

芳根:それで「新しい趣味をひとつ見つけたかも」と思って。本当の趣味にできるくらいに、今年はサーフィンに挑戦してみたいなと思っています。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi

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