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リスクゼロの預金で稼ぐ方法は?「定期金利2%」に備える3つの戦略を、人気FPが指南する

日刊SPA! 2025年2月8日 8時46分

 日銀による追加利上げが行われ、政策金利が0.5%になった。本格的な「金利上昇時代」に突入した今、我々はどのようなお金の戦略をとるべきか。業界歴35年のキャリアを誇り、バブル期から日本経済を見続けてきた深野康彦氏は「3つの基本戦略がある」と話す。深野氏が伝授する、金利上昇時代の「賢いお金の増やし方」とは?
◆住宅ローンから保険まで。利上げ新時代の資産防衛術を人気FPが解説!

 日銀の金融政策の変更によって、久しぶりに日本に「金利のある世界」が到来しました。その新しい世界で賢くお金を増やすには、3つの戦略を覚えておいてください。

 それは①「金利の波を意識する」②「リスクを抑えてお金を増やす」③「お金を貸す側に立つ」ということです。

◆金利上昇サイクルには「4つの局面」がある

 順番に説明しましょう。まず①ですが、金利上昇には一定の“波”があります。それは、「上昇局面」と「ピーク圏」、「下落局面」、「ボトム圏」が繰り返されるということです。そして私の経験則では、「上昇局面」は長くても1年半~2年ほど。

 その後に「ピーク圏」が来るのですが、金融商品を選ぶ際にも「今はどの金利の局面なのか?」「そろそろ金利のピークが近いのか?」と考えたほうがいいのです。

 例えば、債券や定期預金を活用してお金を増やす場合、金利上昇局面だと買ったり預けたりした後に金利がさらに上がっていく可能性もあります。つまり、タイミング次第で損をしかねないのです。

 次に②の「リスクを抑えてお金を増やす」ですが、これは低金利時代の常識だった「余剰資金はなるべく投資に回してお金を増やす」という考え方を調整することです。

 具体的には、これまで株式ばかりだった資産ポートフォリオに、債券や定期預金など元本保証型の商品を組み込んでいくことです。「金利のある世界」なら、利息だけでもそれなりにお金が増えます。

 そうすれば、③の戦略もおのずと見えてきます。株式と違い、債券や預金は国や企業、銀行にお金を貸していることになります。

 もちろん、資産形成を始めたばかりの若い人や「資産を大きく増やしたい」という人は政策金利が1.0%に上昇しても債券や預金のリターンだけでは残念ながら目標は達成不可能でしょう。ただ、せっかく金利が上がっていく時代なら「金利の力」を味方につけないのは非常にもったいない。時代が金利上昇に動くなら、その“波”にきちんと乗りつつお金を増やしてください。

 さて、今回は①の戦略について、さらに詳述しましょう。特に注目してほしいのは、定期預金の活用です。今までは「預けてもほぼお金が増えない」というイメージだったでしょうが、日銀の利上げを受けて一部ネットバンクでは「1年物で金利最大1%」という商品も出てきています。

 そんな定期預金の効果を最大化できるコツがあります。それは次の2つです。

・金利上昇局面では期間の短い商品を“つなぎ”で使う。

・金利のピーク圏が近づいたらなるべく多くの金額を長い期間で“固定”する。

 先ほど金利上昇は1年半~2年ほど続き、その後に金利のピーク圏がやってくるという話をしました。定期預金の効果を最大化するには、このピーク圏を“狙いにいく”という発想をしてください。そこまでは数か月~1年物の商品でつないでいくのです。 

 これは要するに、金利がピーク圏になったときに「すでに定期預金を契約しているから、預けるお金がない」という事態を避けたいのです。そして、いざピーク圏が近いと感じたら、5~10年物の定期預金に入れてください。

 実際には、金利がどこでピークをつけるのかは未知数です。ただ、ピークをつけたときになるべく長期間で定期預金を固定できると、その後は安全・確実に高金利で運用できるわけです。

◆高金利で固定できれば「果報は寝て待て」状態

 この方法で得をした人がバブル時代にはたくさんいました。仮に、かつての高金利時代のピークだった1990年頃に10年物定期預金を契約した場合、その契約期間が切れるのは’00年頃です。つまり、彼らはその間ずっと高金利の恩恵を享受できたわけです。

「何もしなくても利息収入があるのだから、あえてリスクの高い株なんて買う必要もない」と考えるのが普通でしょう。いわゆる「果報は寝て待て」というわけです。

 今回の金利上昇でバブル期のように急上昇をするのは難しいと思いますが、こういった“金利の恩恵を受ける”という発想はとても重要です。これからの時代、きっとあなたの役に立つはずですよ。

 とはいえ、金利のピーク圏をどう狙えばいいのか。確実な数値を出すのは難しいですが、やはり政策金利が1%を超えてきた頃がひとつの目安になると思います。

 今後、政策金利が1%まで上がってくれば、一部の銀行では恐らく、長期10年物の定期預金で2%台という水準の商品まで出てくる可能性が高いと思います。単純計算だと、100万円を預ければ毎年1万6000円程度(税20%引き後)が入ります。決してバカにできない収入ですよね。

 また、その頃には恐らく、メガバンクの定期預金でも1%台の商品が出てくるでしょう。となれば、世間が騒ぎだす。テレビのニュースなどにも取り上げられたり、各所で話題になってくると思いますよ。もし10年物定期預金で2%超が出てきたら、資産の3分の1程度は入れていいかもしれません。

 また、その際の銀行選びですが、基本的にはネットバンクがお得なのは間違いないでしょう。ネットバンクは窓口手数料などコストを抑える代わりに、金利を高く設定しています。メガバンクと比べると、今でもかなりの金利差があります。

 そのうえでチェックしてほしいのは、各銀行がこれから力を入れるであろう「優遇金利キャンペーン」です。特に1年物定期預金は銀行としても扱いやすいので、キャンペーン特別金利が設定されることが多いんです。

 最後に普通預金の銀行選びにも触れておきましょう。ただ、こちらは正直あまり気にする必要はないと思います。というのも、金利上昇時代にはどの銀行も横並びで普通預金の金利を上げてきます。そこまで大きな差は生まれないと思うので、ATMへの行きやすさや振込手数料の安さなど、自分のライフスタイルに合わせた使い勝手で選んでいいと思います。

 要するに、「使う銀行」と「増やす銀行」は分けましょう、ということです。

 ちなみに、普通預金は定期預金に遅れて最後に金利が上がってきます。まずは契約期間の長い定期預金から上がりだし、最後に1年物や普通預金の金利が上がります。なので、まずは定期預金の動向からチェックしてみてください。

構成/秋山純一郎(本誌)

【深野康彦】
ファイナンシャルリサーチ代表。大学卒業後、クレジット会社を経て独立系FP会社に入社。その後、1996年に独立し、現在の有限会社ファイナンシャルリサーチは2社目の起業。FP業界歴35年(2024年10月現在)を誇り、そのキャリアを通じて日本経済の浮沈を見守ってきた。メディア出演やセミナーを通じて、資産運用や住宅ローン、生命保険、税金、年金など幅広く「お金の知識」を発信している。著書『金利で損しない方法、教えてください!人気FPが教える金利上昇時代の「お金の新ルール」』

―[短期集中連載 知らないと損する「金利」最新事情]―

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