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“年間2億円稼ぐホスト”が「ホストは自分も含めてみんな悪人」「立派な仕事ではない」と断言する理由

日刊SPA! 2025年2月10日 15時53分

 眠らない街・歌舞伎町で成功するには、唯一無二の強烈な個性が必要。そう思わせてくれたのが、華神疾翔(かがみやまと @yamato_pesopeso)さんだ。18歳で年収1000万円を稼ぐも、投資詐欺に遭い、結婚を考えていた彼女にもフラれてしまう。そうした様々な困難を乗り越えて、現在はホストクラブ「CANDYS DIAMOND」のトッププレイヤーとして活躍している。将来は自身の店舗を持つという夢を持つが、「ホストはみんな悪人」「ホストのイメージを変えたいなんて綺麗事」と言い放つ胆力は注目に値する。その真意とは?
◆高校は滋賀の超進学校「将来の夢は検察官」

 文武両道で甲子園の出場経験もある高校に通っていた疾翔さん。国公立大学や医学部を目指す生徒が多いなか、疾翔さんも東北大学を目指したが、不合格だった。だが、都内の有名大学の入学試験で首席合格し、4年間の学費が免除された。

「滋賀県の県立高校では、偏差値が上から2番目くらいでした。勉強ができるのはもちろん、部活も一生懸命にやるエグい人ばかりの異次元な環境。だから、学費免除はラッキーくらいにしか思っていなくて、自分はすごいなんて全然思ってないんです」

 しかし、大学にあまり馴染めなかった。それに伴い、入学直後に抱いていた「検察官になる」という夢へのモチベーションも薄れていったという。

「高校時代にすごい人に囲まれていたから、物足りなさがあったのだと思います。それに、僕は仕送りをもらっていなかったので、塾講師やUber Eatsのアルバイトをしなくてはならず、部活動にも入っていたのでとにかく忙しくて……。大学に行っても、授業中に寝ているだけみたいな生活でした」

◆大学1年生で「年収1000万円」に

 多忙を極める日々を送っているなか、高校の先輩から「アプリの開発を手伝ってほしい」と声をかけられた。

「高校ではみんなの憧れ的な存在の人だったので、一緒に仕事ができるのが嬉しくて『こういう機能があるのはどうか』『こういう営業をしたらどうか』といろいろ提案したんです。そして、完成したアプリの営業も手伝いました。幸いにもうまくいって、大学1年生の年は年収1000万円くらいになったんです」

 FX投資など、資産運用も始め、貯金は1700万円ほどに膨れ上がる。「もう大学に通う必要はない」と中退した。しかし、好事魔多し。思いもよらぬ事態に陥ってしまう。

◆同じ人に2度、投資詐欺で騙され、彼女にもフラれるドン底期

 2021年、当時21歳の疾翔さんは投資詐欺に遭う。言葉巧みに誘導され、財産のほとんどを失ってしまったのだ。

「単純に世間知らずだったんです。信頼していた大人を疑いませんでした。だから2回も同じ人に騙されたんです」

 お金も仕事もなく、時間を持て余していた疾翔さんが興味を持ったのはホストだった。 

「お金を取り戻したかったというよりは、遠距離恋愛をしていた彼女に誕生日プレゼントを買いたかったんです。ホストなら手っ取り早く稼げるという、軽い気持ちで始めました」

 地元で出会い、結婚も見据えて交際していた彼女のため、翌年の2022年にホストとしてデビューした疾翔さん。約20万円の誕生日プレゼントを贈るも、どうやら「彼氏がホスト」ということを受け入れられなかったらしく、別れを告げられてしまう……。

 当初の動機は水泡に帰してしまったが、すぐに1か月で200万円を稼げるようになり、自分がこの仕事に向いていることに気付いた。

「営業をしていたから、話すことが得意だったんです。ずっと勉強とスポーツしかしてこなかったので、まさかホストの才能があるとは自分でも驚きました」

◆ノンアル営業で売上月3500万。接客で意識するのは…

 お酒を全く飲めない体質ながら、2024年度には年間2億1200万円を稼ぐトップホストになった。自身の接客スタイルは「ハッピーセットのようなもの」だと話す。

「ホストクラブに来る人は、お酒をたくさん飲みたいわけじゃないし、きらびやかな内装を見たいわけじゃない。目当てのホストに会いたいからお金を使うんです。ハッピーセットも、ハンバーガーやポテトではなく、おまけのおもちゃが欲しいから選ぶわけですよね。つまり、求められるようなホストでありたいと思っていて、そのために『会って話したい人』『会ったら元気をもらえる人』を意識して接客しています」

◆ホストはみんな悪人。綺麗事は言いたくない

 現在は24歳という若さながら常務取締役という役職に就き、自身の店を持つことを当面の目標としている。その一方で、「ホストはみんな悪人。立派な仕事ではないということを忘れないようにしている」と言い切る。

「当たり前のことをちゃんとできないホストはたくさんいます。実際、この仕事は自分の売り上げのためにお客様に大金を使わせるものです。『ホストのイメージを良くしたい』と言う人もいますが、自分も含めてみんな悪人だと思っています。きれいごとは言いたくないんですよね。だからこそ、女性の皆さんには不快な思いをさせたくない。自分だけでなく、一緒に働く人たちも稼げる環境であってほしいと考えています。お金とやりがいのバランスを探りながら、ホストを続けていきたいですね」

 ホストという仕事に幻想を抱かせるのではなく、シビアな現実を語る疾翔さん。自分を美化することなく、覚悟を持って仕事に向き合っている証左だろう。

<取材・文/橋本 岬>

【橋本 岬】
IT企業の広報兼フリーライター。元レースクイーン。よく書くテーマはキャリアや女性の働き方など。好きなお酒はレモンサワーです

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