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「普段はできるだけ優しくする」「彼は私がいなかったらすぐに刑務所行き」女性に体を売らせる男の“心を縛る”悪質手口

日刊SPA! 2025年2月11日 15時54分

 身近な女性に対し、管理売春や売春斡旋をする男たちがいる。女性をまるで道具のように扱い、私腹を肥やす男が後を絶たない。彼らはどのような手口で女性を支配するのか。女性たちはなぜ、従ってしまうのか。その鬼畜手口を暴く。
◆トー横界隈で確立する「リアコ」システムとは?

 昨年8月、東京都渋谷区で20代男性が交際相手の女性を口論の末に暴行し死亡させる事件が起きた。警察の調べによれば、男性は交際相手に“パパ活”をさせ、自分の生活費などを稼がせていたという。

 にわかに信じがたい関係性だが、女性に売春を強要して稼ぎをかすめ取る男は、いかにして女性を従わせるのか。

 3年前からトー横に入り浸るようになった橋本裕也(仮名・20歳)。仲間の窃盗を手伝い数か月勾留された後に歌舞伎町の広場に戻ると、彼の帰りを待つ女性がいた。

「オーバードーズして錯乱状態になってるところを助けた女のコでした。彼女が『いらないから』と言って6万円をポンとくれたんです。売春でかなり儲けているのは知っていたし、普通に受け取りました。それで、『俺もイケるな』と思うようになった」

 そのとき、すでに広場で相談役的存在として影響力を持っていた橋本は、すぐに5人の「リアコ」を得た。

 リアコとは女性が男性に金銭を支払う代わりにトー横における身辺の保護や「メンケア(メンタルケア)」を受ける界隈独自のシステムだ。メンケアには性行為も含まれるそうで、女性たちはその資金を、主にパパ活や売春で稼ぐのである。

◆リアコ同士にライバル心を煽らせ貢がせる

 彼はメインのリアコとは一緒にホテル暮らしをし、月平均50万~70万円の生活費を負担させていた。

 ほかの4人に対しては、お金が必要なときに呼び出して性行為をし、1回3万円ほどを得ていた。メインのリアコはほかの4人の存在を知っており、情緒不安定になることもあったという。

「彼女は『自分がもっと売春して稼がなければ、ほかの4人に後れを取ってしまう』と考えていたと思います」

 女性を通じて得たお金はトータルで1000万円超。直接的ではなくとも、売春を誘導していた格好だ。現在はトー横とは縁を切ったが、罪悪感は特になく、「むしろ感謝のような気持ちがある」という。

「彼女たちだって、僕と寝れば広場で守ってもらえるし、癒やしも得たかったんだろうし。僕も精神面で助けられた部分も多かったしね」

◆ホスト、“ヤク漬け”……昔ながらの手法も健在

 ホストクラブの売掛金を払うため売春する女性も少なくない。一昨年までホストをしていた坂口恭二(仮名・37歳)は、「女性に売春を促したことはない」と主張するが……。

「今は売り掛けができなくなったのもあり、自発的に売春やパパ活で現金をつくってくるコが圧倒的に多いんですよ」

 ただ、色恋営業の際は「いざとなったら体を売れそうかどうか」を見ていたという。

「カネを回収するためのリスク管理です。年齢が低く、家庭環境が悪ければさらにいい」

 売掛金を払えなくなった女性には暴言ではなく、「『◯◯ちゃんが頑張ってくれてるのを思うと俺も頑張れる』という接し方をしていた」という。売春しているのを知っても、我関せずを貫くそうだ。

「女次第で一夜にしてナンバーワンになれる世界。大金を持ってきてくれる客に『もう売春はやめなよ』なんて言うヤツはいませんよ(笑)」

◆自分の“女房”すら売春で稼がせる

 売春の強要は若い男だけの話ではない。田辺辰雄(仮名・54歳)は漫画喫茶で寝泊まりしていた山田美代子さん(仮名・42歳)を5年前からアパートに住まわせ、内縁関係を結んでいる。

 二人同席で話を聞くと、覚醒剤の売人である田辺の顧客には薬物を使用する性行為をしたがる者も多く、その要望に応えるため山田さんに売春をさせているという。

「相手にするのは月に4〜5人。薬代に1万円から1万5000円を買春代として上乗せするんだよ」(田辺)

 山田さんには一回につき3000円の小遣いが与えられ、掃除、洗濯、炊事、そして田辺氏が仕入れてきた覚醒剤を秤を使って小分けにするなどの仕事をする。

 彼女がかいがいしく働くのは、「覚醒剤が欲しいから」という理由である。

 しかし家にあるクスリに勝手に手をつけたら、田辺から骨折するほどの暴力を受ける。

 田辺は「ここを追い出されたら行くとこねえだろ」、「誰がお前みたいなホームレス女を拾ってやったと思ってるんだ」と怒鳴っては殴りつけるのだ。

◆もはや「ストックホルム症候群」状態にしか見えない

 しかし、山田さんは笑いながら「もう一蓮托生で、戦友みたいなもんです」と話す。

 記者が山田さんに売春はツラくないかと尋ねると、「クスリがあるから平気だけど、切れそうになると泣き叫びたくなる。家で大暴れすることもあるけど、そのたびに彼が優しく抱きしめてくれて耳元で『今日は寿司食おうか。焼き肉のほうがいいか』って囁くからズルいんですよ」と話す。

 田辺も、「体を売らせてることで引け目もあってね。普段はできるだけ優しくして、マッサージとかもしてやってる。クスリを届けるときは特に仲良さそうに振る舞うんだ。ユニクロの袋とか持ってさ。男一人で歩くより職質されないから」と合いの手を入れる。

 暴力と甘言を使い分け、山田さんを操る田辺。山田さんは反抗したり、逃げようとするどころか、「彼は社会生活がまったくできないので、私がいなかったらすぐに刑務所行きになる。力を合わせて頑張りたい」と話す。

 恐怖で抑圧する、共犯関係をつくる、売春は自らの意思であるかのように錯覚させる……。体よりも先に心を縛るのが、彼らの手口なのだ。

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[売春強要する男]の卑劣な実態]―

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