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卓球男子パリ五輪代表・篠塚大登 20歳「しのぴ」が日本男子初の金メダルへ全力を尽くす

スポニチアネックス 2024年6月19日 7時1分

 【オリンピアンロードの歩き方】五輪を目指すアスリートや関係者を取り上げるコラムの今回は、卓球男子でパリ五輪代表の篠塚大登(20=愛知工大)。約2年に及んだ選考レースで3位となり、団体戦のメンバーに選ばれた。本人と、今も指導に携わる愛工大名電中の真田浩二監督(45)が本紙の取材に応じ、これまでの歩みや大舞台への思いを語った。

 1カ月後に迫った大舞台に向けて、篠塚が覚悟を口にした。「小さい頃から“五輪に行きたい”と言ってきましたが、本当に行けるとは思ってもいなかった。4年に1度しかなく誰もが行ける所ではないので、とても特別な大会。金メダルを目指して頑張ります」。現在は毎週のように行われる海外ツアーを転戦している。

 意外なきっかけからラケットを握り始めた。高校の教諭だった父が新たな赴任先へ異動となった時、部活の顧問をしてほしいと打診された。候補にあったのが剣道部と卓球部。どちらも全くの素人だったが、父は卓球部の顧問を選択。そのタイミングで当時5歳だった大登も卓球を始め、家の近くにあるクラブに通った。

 小学生になって頭角を現し、高学年になると全国大会でも結果を残すようになった。だが、トップにはなれなかった。同学年に張本智和(智和企画)がいたからだ。「こんな選手に勝てる人いるのかな…」。圧倒的な力量差から、そんなことを思っていた。一方で、あふれる才能を真田監督は感じ取っていた。

 「ボールタッチの柔らかさ。もう一つ、強い選手に大事なコンマ何秒のラリーの中で相手を見ることができる(ところを持っていた)」。勧誘が実って篠塚は愛工大名電中に入学。名門での寮生活が始まり、ほどなく大きな転機が訪れる。4学年上で圧倒的な実績を誇っていた愛工大名電高の木造勇人の姿を見て、自分の甘さに気づいた。

 4月中旬、篠塚の母から真田監督に連絡が来た。「今日、息子からLINEが来ました。木造さんは才能があるから強いと思っていたけど、それは自分の大きな間違いだった。木造さんは一番、努力している、と」。卓球への意識が変わった瞬間だった。

 その後も紆余(うよ)曲折がありながら、コツコツと才能に磨きをかけ、パリ五輪の代表に選ばれた。かなうはずがないと思っていた張本智、そして戸上隼輔(井村屋グループ)とともに戦う団体戦。愛称「しのぴ」の20歳が、日本男子初の金メダル獲得へ全力を尽くす。

 ◇篠塚 大登(しのづか・ひろと)2003年(平15)12月23日生まれ、愛知県東海市出身の20歳。5歳から卓球を始め、愛工大名電中高を経て愛知工大に入学。Tリーグでは今春、東京を退団して琉球に加入した。今年1月の全日本選手権3位。左シェーク攻撃型。1メートル67。趣味はドライブ。

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