将棋の第9期叡王戦5番勝負は20日午前9時、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で第5局が始まり、戦型は先手・藤井聡太叡王(21)=王将含む全8冠=、挑戦者・伊藤匠七段(21)共に得意の角換わりに進んだ。昼食休憩明けの77手目、藤井が王こそ穴熊だが、囲いを構成する銀矢倉の右銀を、6筋の伊藤の歩の前へ突き出した。
もちろんタダ捨てで、銀1枚の損得は勝負に直結するだけに驚きの一手だ。
シリーズ成績は4連覇を目指す藤井、伊藤ともに2勝2敗。今局の勝者がタイトルホルダーとなる。藤井は20年に自身初戴冠となる棋聖を獲得以降、22期連続してタイトル戦を制覇中。今局を制するとその記録を23に伸ばすことになるが、敗れた場合は自身初の敗退となり、同時に昨年10月11日以来の全8冠から陥落する。
その重要対局でも、緩みのない決断力。77手目時点の消費時間は持ち時間4時間から藤井が1時間12分、伊藤は2時間21分となっている。