将棋の第9期叡王戦5番勝負は20日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で第5局が指され、先手・藤井聡太叡王(21)=王将含む全8冠=が91手目、飛車銀交換に踏み込んだ。77手目、銀のタダ捨てに続く駒損の攻めだが、同学年の挑戦者・伊藤匠七段(21)を相手に形勢に自信を持っていることの表れと見られる。
駒の損得は92手目時点で飛車桂と金の交換という藤井の駒損。ただ、穴熊に収まる藤井王に対し、伊藤王は4段目でしかもほぼ裸。周囲にカナ駒の守り駒がなく、露出している。
4時間の持ち時間から藤井が2時間33分、伊藤は3時間4分消費した。
2勝2敗で迎えた最終第5局は、今局の勝者がタイトルホルダーとなる。藤井は20年に自身初戴冠となる棋聖を獲得以降、22期連続してタイトル戦を制覇中。今局を制するとその記録を23に伸ばすことになるが、敗れた場合は自身初の敗退となり、同時に昨年10月11日以来の全8冠から陥落する。