最初の15分間に“超速”のスタイルは見えた。速くボールを動かすのはもちろん、目についたのは速い時間帯やフェーズで逆めへ振る、つまり攻撃方向を逆サイドへと変えるアタックを多用していたことだ。複数の選手が一斉に方向を変える意図的な動きで、速く飛び出してくる相手ディフェンスの出足を止めてギャップをつくり出せる。あと1本パスがつながれば崩せた場面も多く、急造バックスラインの中心とみられたCTBライリーの当日欠場は痛かった。
“超速ラグビー”を可能にしたのは若いFW陣の働きだ。マイボールラインアウトを一度も失わず、スクラムも奮闘してセットプレーが安定。前半18分の時点でSH斎藤はイングランドの約3倍にあたる26本のパスを出しており、それだけFWがボールを多く供給していたことになる。
このラグビーを推し進めるためには前へ出ながらパスを放り、自身も走れるSOも欲しい。イングランドのマーカス・スミスが理想だが、途中出場の山沢やBR東京のアイザック・ルーカスは自分で動けるタイプだ。(元U―23日本代表監督)