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71歳でも連日球場に現れ、精力的なボラス代理人 「心は筋肉だ、鍛え続けろ」 目標は90代まで働くこと

スポニチアネックス 2024年6月28日 11時48分

 ロサンゼルスタイムズ紙のビル・シェイキン記者がスコット・ボラス代理人にインタビューしている。

 71歳で150人もスタッフがいるのに、日々球場に来て、顧客である選手たちと直接話す。マイナーリーグの選手たちに会うために田舎町にも行く。もう引退してリラックスしてもいい年齢なのに、なぜそうしないのか? 例えばパリで休暇を取っていても、芸術や博物館以上に野球が好きだから楽しむことができないそうだ。「私は休暇を2日早く切り上げて米国に戻った。なぜなら、毎晩3時にiPadで野球の試合を見てしまい、眠れなかったからです」と説明している。

 彼は1億ドルの契約をまとめた初の代理人(ケビン・ブラウン、1998年)で、その次に2億ドル(アレックス・ロドリゲス、2000年)を勝ち取った。19年から20年のオフには総額10億ドルを超える複数の契約をまとめた初の代理人となった。

 だが、それ以上に彼が誇りに思っているのはドラフト関連の仕事。ルールの抜け穴を次々に見つけ出し、大きな契約を勝ち取ってきたこと。1996年、マット・ホワイトという高校の投手のアドバイザーだったが、ジャイアンツからドラフト指名を受けた後、15日間何のオファーもなかった。そこでルール上、自由契約選手になれると主張。その通りになりタンパベイ・デビルレイズ(現レイズ)から1020万ドルの契約金を勝ち取り、契約している。その年のドラフトのトップ指名のクリス・ベンソン投手が得た契約金は200万ドルだった。「今のドラフトでは、誰も1000万ドルをもらっていないでしょう」とボラス。昨年のドラフトのトップ指名パイレーツのポール・スキーンズは920万ドルで契約した。

 彼の代理人としての考え方は選手の親となり、息子のために最善を尽くすことだと説明する。「息子のために最高のものを望む。最高の医療を受けさせたい、最高の情報を与え、最高の法律チームをつけたい。これが私たちが提供するものです」

 ボラスは11月2日が誕生日、今年は72歳になる。41年間一貫して野球の代理人で、他のスポーツの選手を代理したことはなく、チームを運営する側に回ることも考えたことはない。友人や家族から引退を考えるよう、あるいは仕事のペースを落とすように提案されたことはないのか? 「ないです」と彼は言う。

   彼は師匠のうちの一人にこんなアドバイスをもらったと明かす。初めて年俸調停で勝利を収めた時だ。労働関係の弁護士は祝福しアドバイスをくれた。「もし君がクライアントのために正しい仕事をしているなら、君について言われることの95%は否定的なものになる。でも忘れないでほしい。君の顧客は君を愛してくれる」。その弁護士は90代まで生き、仕事を続けた。

 ナショナルズのテッド・ラーナー・オーナーも90代まで働いた。ボラスと共に、ブライス・ハーパー、スティーブン・ストラスバーグらの契約をまとめた。ラーナーは昨年97歳で亡くなった。「彼から学んだのは、人生の60歳から95歳までの過ごし方。いつも言っていた。心は筋肉だ、使わなければ弱くなる。鍛え続けろ。体調を整えるためにしっかり時間をさき、正しい食事をし、あきらめるなと。彼は素晴らしい人生を送ったし、良いモデルです」。ボラスも引退せず、90代まで働き続けるのかもしれない。

(奥田 秀樹通信員)

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