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桑木志帆 雪辱初V「忘れものを取りに来た」 21歳・大学生、昨年PO号泣…今年は歓喜の涙

スポニチアネックス 2024年7月1日 4時36分

 1打差2位から出たプロ4年目の桑木志帆(21=大和ハウス工業)が4バーディー、1ボギーの69で回り、通算11アンダーに伸ばし、ツアー初優勝を逆転で飾った。昨年プレーオフで敗れた舞台で涙の雪辱Vとなった。大会は悪天候で3日間54ホールに短縮されたため賞金は規定により、75%の1620万円。通算9アンダーの2位には堀琴音(28=ダイセル)が続いた。

 同じ涙でも、1年前とは全く違う。ウイニングパットを入れた直後にニコニコだった桑木の表情は、時間の経過とともにウルウル。昨年プレーオフの末に敗れて号泣した舞台でつかんだ念願の初優勝だった。

 「去年の忘れものを取りにくることができて本当に良かった。素直にうれしいです」

 1打差を追った最終日。9番で13メートルを沈めて単独首位に立った。12番では右に曲げた第1打が木に当たって戻ってくる幸運も。堀に並ばれた直後の16番でバーディーを奪い返し、再びリードする強さが光った。昨季3度の2位で精神的にタフになり、今季からコーチ、トレーナーと契約して飛距離も伸びた。「成長できた」と胸を張った。

 岡山市出身の21歳。4歳上の渋野は「日向子ちゃん」と呼んで慕う目標の存在だ。19年大会で渋野が優勝した際にバッグを担いでいたのが今週タッグを組む門田実キャディーで、プロアマ戦で回ったゲストも偶然にも同じ。そんな運命も背中を押してくれた。

 「一番の味方」にやっと勝利を届けられた。ゴルフを始めたきっかけの父・正利さんは今も全試合に同行。昨年8月に会場で脳梗塞で倒れて緊急搬送されたが、回復後もサポートを継続してくれた。ケンカもするし、普段は気恥ずかしくて伝えられなかったけれど「本当にありがとう」と心を込めた。

 ≪観戦両親も万感≫父・正利さんと母・浩子さんは会場で初勝利を見守った。全試合に同行する正利さんは「よくやった」と実感を込めた。昨年プレーオフで敗れた時には「普段は言わないのに悔しい、悔しいを連発していた」と明かす。毎試合全ホール歩き、一打一打をメモして車中で“反省会”を行うのが父子の習慣だ。志帆という名前には母の「広い海に帆を広げて志を持ってこぎ出すように」との願いが込められている。浩子さんは「凄いですよね」と娘をねぎらった。

 ◇桑木 志帆(くわき・しほ)2003年(平15)1月29日生まれ、岡山市出身の21歳。倉敷芸術科学大生命科学部在学中。父・正利さんの影響で4歳でゴルフを始め、17、18年の中国女子アマ優勝。21年プロテストで一発合格し、同年の新人戦・加賀電子カップを制した。18番で祝福を受けた岩井明愛、千怜、佐久間朱莉らと同世代。オフには初めて米ロサンゼルス合宿を行った。好きな色はピンク。1メートル63。

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