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ロッテ・石川歩「絶景です」再び歩み出した669日ぶり1勝 36歳右肩手術、育成乗り越え5回零封

スポニチアネックス 2024年7月1日 5時32分

 ◇パ・リーグ ロッテ7―0オリックス(2024年6月30日 ZOZOマリン)

 回復しなかったら引退する。ロッテ・石川歩はそう決断して昨年10月、右肩の手術を受けた。有痛性ベネット病変、関節唇損傷で、医師から告げられたのは3つの大がかりな手術。669日ぶりの白星を挙げ、お立ち台で「絶景です」と決めゼリフを4度も言った。

 「ダメだったら、やめるんだろうなと思った。停滞することなく来られた。早かった」

 元エースのプライドを捨て、昨年11月に育成契約を結んだ。実戦復帰は4月。6月24日に支配下登録され1軍登板は2年ぶりだった。

 上空は風速11メートル。直球は最速144キロも、風に乗せた曲がりが大きくなったシンカーを要所で決めた。5回3安打無失点。リハビリ中に足腰を再強化し、左右にも前後にも体はブレなかった。力まず脱力の75球。22年8月31日のソフトバンク戦以来の白星には36歳の進化があった。「勝ったのは良かったけど内容はまだまだ」と謙遜したが、吉井監督は「技術は天下一品。諦めずよく頑張った」と称えた。

 石川の名字から戦国時代の大泥棒「石川五右衛門」の名ゼリフ「絶景かな」が本拠地お立ち台の名物だった。荻野とかつてのチームメートである中日・涌井から「言え」と連絡があり、照れくさそうに「絶景です」と繰り返した。昨年、開幕投手に内定しながら直前に右腕を痛めて回避。プロ10年目で初めて登板なしという試練を乗り越えて戻ってきた。

 ひょうひょうとした性格で口数は少ない。ひげ面の下の表情は変えないが「緊張はしました。粘れた。何とか耐えることができた」と本音をのぞかせた。頼もしいベテランの帰還だった。(神田 佑)

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