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藤田寛之 無念…シニアツアー日本人2人目制覇の夢散る 初日から首位守るも、悪天候で流れ変わる

スポニチアネックス 2024年7月2日 3時2分

 ◇米男子ゴルフシニアツアー 全米シニアオープン選手権最終日(2024年6月30日 米ロードアイランド州ニューポートCC(7024ヤード、パー70))

 首位から出た藤田寛之(55=葛城GC)が通算13アンダーで並んだリチャード・ブランド(51=英国)とのプレーオフ4ホール目に力尽きた。米シニアツアーでは13年に全米プロシニアを制した井戸木鴻樹に続く日本勢2人目のメジャー制覇が夢と散った。初日から首位を守り続けた藤田だが、前日、悪天候によるサスペンデッドで流れが変わる悲劇のV逸となった。

 メジャー制覇の夢はあと一歩でついえた。藤田は天を仰いだ。プレーオフの4ホール目。ティーショットは左のセミラフ。2打目はグリーンに届かなかった。3打目のアプローチもピンまで6メートル残した。先にブランドがピンにピタリ。決めなければ敗れる藤田のパットはカップのわずか右を通過。激闘の幕は閉じた。

 荒天に翻弄(ほんろう)された。前日、霧のためスタートが遅れた。それでも快調にスコアを伸ばし、初日から首位の座を守ってきた。だが10番を終えた時点でサスペンデッド。決着は月曜に持ち越された。迎えた運命の一日。完全に流れが変わった。ショットが乱れ、前日とは別人の藤田だった。

 11番でティーショットを右に曲げてボギーが先行。その後もショットの安定感を欠き、2位と3打あった差は消えた。何とかプレーオフに持ち込む粘りを見せたが、完全Vに突き進んでいた前日までの勢いはなかった。

 今年でプロ32年のベテラン。昨年から主戦場をシニアツアーに移した。トレーニングやケアを懸命に行い、年齢にあらがう毎日。平均飛距離300ヤード超の若手と回れば、ティーショットで約50ヤードビッグドライブされることもある。それでも「険しいところでやればやるほどゴルフもたくましくなると思う」と前を向いてきた。

 20代は国内レギュラーツアー1勝だったが、30代で5勝、40代で12勝と年を重ねるごとに輝きは増した。50代になり、海を渡った。シニアツアーで米メジャー初制覇が手の届くところまできたが、最後に、文字通り「天」に見放された。

 ◇藤田 寛之(ふじた・ひろゆき)1969年(昭44)6月16日生まれ、福岡県出身の55歳。15歳でゴルフを始め専大を経て92年にプロ転向。97年サントリーオープンでツアー初V。10年には2勝を挙げて最優秀選手賞。12年には年間4勝をマークし、43歳で賞金王に。同年の日本シリーズJT杯では大会史上初の3連覇を達成するなどツアー通算18勝。20~21年に23季守り続けた賞金シードから陥落。22年はシニアツアーで2勝した。1メートル68、70キロ。

 ▽シニアゴルフのメジャー大会 50歳以上を対象とする米シニアのチャンピオンズツアーがメジャー大会としているのは(1)リージョンズ・トラディション(2)全米プロシニア(3)全米シニアオープン(4)全英シニアオープン(5)コンステレーション・フューリック&フレンズの5大会。井戸木鴻樹が制した13年全米プロシニアが1937年創設と5大会の中で飛び抜けて古い。全米シニアオープンは80年に第1回大会が開催された。

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